プロローグ:カセットテープへの回帰、そしてWaltzとの出会い
デジタルの波が日常を覆う現代。しかし、ふとした瞬間にアナログの温もりが恋しくなることはありませんか。私、CityNomixが再びミックステープ、そしてカセットテープというメディアに強く惹かれるようになったのは、C.Eというファッションブランドの世界観に触れたのがきっかけでした。かつて学生時代に愛用していたウォークマンはもう手元にはなく、どうせ聴くなら良い音で、と手に取ったのがフランス発のカセットテーププレーヤー「we are rewind」。少し値は張りましたが、そのクリアで深みのあるサウンドは、カセットテープへの情熱を再燃させるには十分すぎるほどでした。
そこから、まるで宝探しのようなカセットテープ収集の旅が始まりました。しかし、現実は思った以上に厳しく、新品のカセットテープはもちろん、心惹かれるミックステープにもなかなか出会えません。インターネットの海を漂う中で、一筋の光のように見つけたのが、今回ご紹介する中目黒 Walts カセットテープ専門店でした。

中目黒の隠れ家、Waltzの静謐な空間
東急東横線の中目黒駅の閑静な住宅街の一角。そこにWaltsは静かに佇んでいます。コンクリート打ちっ放しの壁に、ミニマルなロゴ。その洗練された外観は、道行く人の目を惹きつけます。以前、店主の方がAmazon出身であると何かの記事で拝見し、デジタルマーケティングを生業とする私としては、どこか勝手な親近感を覚えていました。

一歩足を踏み入れると、そこはまさにカセットテープの聖域。整然と、しかし温かみをもって並べられた棚には、古今東西の音楽が詰まったカセットたちが息づいています。BGMとして流れるのは、店主自らがセレクトしたカセットテープ。その選曲センスもまた、訪れるたびに新たな音楽との出会いを予感させてくれます。派手な装飾はないものの、隅々までこだわりが感じられる店内は、時間を忘れてじっくりと音楽を選べる、心地よい安心感に満ちています。まさに、探し求めていた空間でした。
Waltzの真髄:厳選された新譜と、一期一会の中古セレクション
Waltsの魅力は、その圧倒的なセレクションにあります。新譜に関しては、タワーレコード渋谷店などでも見かけるものはありつつも、Walts独自の視点でセレクトされたものが並びます。特に注目したいのは、彼らのInstagramアカウント。新入荷情報がアップされるのですが、その商品説明が単なるデータではなく、音楽への深い愛情が滲み出る「推薦文」なのです。その言葉に心を動かされ、「欲しい!」と思った時には既に完売、ということもしばしば。特にロックやオルタナティブのライブ盤は人気が高く、入荷してもすぐに姿を消してしまいます。
店内に足を運べば、そのInstagramで見た「推薦文」が手書きPOPとして添えられており、それを読んでいると、また新たなカセットとの出会いが生まれ、ついつい手が伸びてしまうのです。
そして、Waltsを語る上で欠かせないのが、中古カセットの充実ぶりです。ジャンルごと、アーティストごとに meticulously に整理された棚は、まさに壮観。雑多な印象は一切なく、目的のものを探しやすい配慮が嬉しいポイント。学生時代に夢中になったMr.BIGのアルバムや、映画『トップガン』『カクテル』のサウンドトラックなど、懐かしいタイトルとの再会も。この中古セレクションの幅広さと質の高さもまた、カセットテープ専門店 東京の中でもWaltsが際立つ理由の一つでしょう。
Waltsで手に入れた珠玉のコレクションたち
この日も、いくつかの宝物を手にすることができました。アナログサウンドで聴く音楽体験は、デジタルとはまた違った趣があり、ジャケットを眺めながら音楽に浸る時間は格別です。
ライブの熱狂を再び:RAMONES, Nirvana, Smashing Pumpkins
まずは、音楽史にその名を刻むバンドたちの貴重なライブ音源。RAMONESの「WBUF FM Broadcast, Buffalo, NY, February 8th 1979」、Nirvanaの「Live At Nakano Sun Plaza, Tokyo, Japan, 19th Feb 1992」、そしてSmashing Pumpkinsの「Tell Me Your Secrets (Broadcast From Tower Records, July 1993)」。当時の空気感まで伝わってくるような生々しいサウンドは、ライブ盤ならではの魅力です。

時代を超えて愛される名盤たち:Eric Clapton, Mr.BIG, Bruce Springsteen
学生時代にCDで聴き込んだ名盤たちも、カセットテープで新たな魅力を発見。エリック・クラプトンのアコースティックな名演が心に染みる「MTV Unplugged」、テクニカルなプレイとキャッチーなメロディが融合したMr.BIGの初期作品、そしてブルース・スプリングスティーンの魂を揺さぶるアメリカン・ロック。カセット特有の温かみのある音質が、これらの名曲たちをより一層引き立てます。

入手困難なレア盤との出会い:Frank Ocean, Mac Miller
Frank Oceanの衝撃的なデビュー作「Nostalgia, Ultra」のカセット版や、Mac Millerの「Swimming」のヨーロッパ非公式版といった、なかなかお目にかかれないアイテムとの出会いもWaltsならでは。「Swimming」のカセットは、現在正規では入手困難とのこと。こうした一期一会の出会いがあるからこそ、足繁く通ってしまうのです。

さらに、Mac Millerの初期キャリアを代表する「K.I.D.S. (Kickin Incredibly Dope Shit)」、「Best Day Ever」、「Blue Slide Park」の新品カセット3本セットも発見。アナログサウンドで彼の世界観に浸るのは、また格別な体験です。
ノスタルジーを誘う映画音楽:『カクテル』『トップガン』
そして、80年代の熱気を真空パックしたような映画『カクテル』と『トップガン』のサウンドトラック。トム・クルーズの若き日の姿と共に、当時の名曲たちが蘇ります。カセットテープというメディアが、より一層ノスタルジックな気分を高めてくれます。

Waltsが提供する、五感を満たす音楽体験
店内でカセットテープを選んでいると、本当にあっという間に時間が過ぎていきます。それは、ただ商品を「買う」のではなく、音楽と「出会う」体験ができるからでしょう。一定金額以上の購入でいただけるオリジナルのトートバッグも、レコードやカセットを持ち運ぶのに丁度良いサイズ感とシンプルなデザインで、普段使いにも重宝しています。

Waltsはオンラインストアも展開しており、送料も良心的なので、ついつい利用してしまうことも。しかし、やはり実店舗に足を運ぶことで得られる発見や、店主との何気ない会話から広がる音楽の世界は、何物にも代えがたい魅力があります。この感覚こそ、Photomoが伝えたい「体験」そのものです。
エピローグ:Waltzから始まる、カセットテープと音楽の新たな旅
中目黒 Walts カセットテープとの出会いは、私にとって、単に音楽を聴く手段が増えたということ以上の意味を持っています。それは、音楽との向き合い方、そして新たな音楽を発見する喜びを再認識させてくれる貴重な体験でした。デジタルが主流の今だからこそ、アナログの持つ温もりや、モノとしての存在感が、私たちの日常に豊かさをもたらしてくれるのかもしれません。
この記事を読んで、少しでもカセットテープの世界に興味を持っていただけたなら、ぜひ一度、中目黒のWaltsを訪れてみてください。きっとそこには、あなただけの特別な一本との出会いが待っているはずです。そして、それは新たな音楽の旅の始まりになるかもしれません。このような素晴らしい体験ができる場所は音楽好きにはたまらない、価値ある情報となるでしょう。
公式サイト: https://waltz-store.co.jp/
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