CityNomixです。
東京、御茶ノ水。この街には独特の磁場があります。楽器店が連なる坂道を下り、古書店街の匂いが混じり合うその場所に、私たち音楽好きを引き寄せてやまない聖地があります。
そう、ディスクユニオン お茶の水です。
以前、Photomoの記事で1996年のオアシス伝説のカーディフ公演のブートレグ『JILY』をこの場所で発掘した話をしました。あの時の興奮は、単なる「買い物」の枠を超えた、ある種のタイムトラベルのような体験でした。
(前回の記事はこちら:ディスクユニオン御茶ノ水で出会ったOasisの伝説『JILY』)
そして2026年1月。まるで何かに導かれるように、私は再びこの店の階段を降りていました。そこで私を待っていたのは、またしても「カーディフ」というキーワード、そして30年という時を超えた奇妙なシンクロニシティでした。
今回は、コレクターとしての「スルーする美学」、運命的なブートレグとの出会い、そしてジャンルを越境するディグの醍醐味について、少し長めに語らせてください。
プロローグ:再び、吸い寄せられるように御茶ノ水へ
11月の冷たい風が吹く日でした。本来の目的は別の用事だったはずですが、気がつけば私はJR御茶ノ水駅の聖橋口を出ていました。
ディスクユニオン お茶の水駅前店。この黄色い看板と赤いロゴを見ると、パブロフの犬のように心拍数が上がります。デジタルマーケティングの仕事で疲れた脳を癒やすのは、いつだってアナログレコードの重みと、ジャケットインクの匂いです。
店内に入ると、そこは相変わらずの「ジャングル」でした。壁一面を埋め尽くすCDとレコード、そして獲物を狙う鋭い目つきのディガーたち。この緊張感と高揚感が入り混じった空気こそ、実店舗でしか味わえない体験です。

洋楽ロックの棚の前に立ちます。オアシス、ピクシーズ、ザ・スミス……。背表紙を指でなぞるリズム。この一瞬に、全ての感覚を集中させます。
余裕の検盤:1万円のレア盤を「棚に戻す」という快感
Oasisのコーナーで、指が止まりました。
真っ白なジャケット。中央にバンドロゴだけのシンプルなデザイン。これは……。

『Columbia (Instore Sampler)』の12インチプロモ盤です。センターレーベルには「FOR PROMOTIONAL USE ONLY」の文字。収録曲は「Columbia (Demo)」と「You’ve Got To Hide Your Love Away (Acoustic)」。
震える手で右上の黄色いプライスカードを確認します。「UK-ORIGINAL」「¥10,850」。
安くはありません。いや、むしろ高い。しかし、この盤が市場に出回る頻度を考えれば、決して不当な価格ではないでしょう。90年代初頭、デビュー直後のオアシスの熱狂を伝える貴重な遺物です。
私は盤を手に取り、しばらく眺めました。そして、静かに、本当に静かに、元の棚へと戻しました。
「ふっ、これは家の棚にあるな」
心の中でそう呟いた瞬間、奇妙な優越感がこみ上げてきました。かつての私なら、借金をしてでもレジに走っていたかもしれません。しかし、今の私は「既に持っている」という余裕があります。
同じアイテムに出会い、その価値を再確認し、そして「所有している」という事実を噛み締めながらスルーする。これもまた、長くコレクションを続けてきた者だけが味わえる、歪んだ、しかし極上の喜びなのです。これを読んでいるあなたなら、この感覚、分かってくれますよね?
運命のリンク:1996年から2024年のカーディフへ
コレクターとしての矜持を確認した直後、CDコーナーへ移動した私の目に、あるタイトルが飛び込んできました。

『Definitely Maybe 30 Years Live In Cardiff 2024』。
リアム・ギャラガーのソロライブ盤です。日付は2024年6月3日。場所はカーディフ。
背筋に電流が走りました。前回、このディスクユニオン お茶の水で私が手に入れたのは、1996年のオアシス・カーディフ公演のブートレグ『JILY』でした。
1996年のカーディフと、2024年のカーディフ。
場所は同じウェールズの首都(会場はCIAからUtilita Arenaへと変わっていますが)。そして『Definitely Maybe』というアルバムを軸にしたライブ。30年近い時を経て、同じ場所で録音された兄と弟(あるいは弟だけ)の歌声が、ここ御茶ノ水の同じ棚で交差しているのです。

裏ジャケットを見ます。セットリストには「Rock ‘n’ Roll Star」「Columbia」「Supersonic」といった不朽の名曲が並びます。しかし、私が最も心を揺さぶられたのは、そこにある文脈です。
この2024年6月の時点では、まだオアシスの再結成(リユニオン)は正式には発表されていませんでした。世界中のファンが「もしかしたら」という淡い期待と、「もう無理だろう」という諦めの間で揺れ動いていた時期です。
そんな中、リアムは一人で『Definitely Maybe』の30周年を祝い、兄ノエルが書いた曲を歌い続けていました。このブートレグには、そんな「リユニオン前夜」特有の、熱狂と切なさが入り混じった空気が真空パックされているはずです。

特に注目すべきは、兄ノエル・ギャラガーがボーカルをとることで知られる名曲「Half the World Away」を、リアムが歌っている点です。この事実だけで、購入を決定するには十分すぎました。
私は興奮のあまり、店内でThreadsに投稿しました。「1996年のカーディフを買った店で、2024年のカーディフを買う」。このストーリーの完結を見るために、私は今日ここに来たのだと確信しました。
ジャンルレスな嗅覚:ロックの隣にある電子音
オアシスの物語に浸る一方で、私の「ディグ」のアンテナは別の周波数もキャッチしていました。
ふと下段の棚に目をやると、黒いジャケットにメタリックなロゴが光っています。

Daft Punkの『Discovery』。2001年の名盤です。
プライスカードには「EU ORIGINAL」「¥8,850」の文字。これもまた、近年価格高騰が著しいアイテムです。ゼロ年代を代表するフレンチ・タッチの金字塔であり、松本零士のアニメーション『インターステラ5555』とのコラボレーションでも知られる作品です。

ロック好きの私がなぜ? と思われるかもしれません。しかし、ディスクユニオン お茶の水の良いところは、ジャンルの垣根を超えて「良い音楽」が並列に存在していることです。
盤面を確認します。「Something About Us」が収録されたC面。美しい。針を落とせば、あの甘美でメランコリックなエレクトロ・ファンクが流れる様が容易に想像できます。
Oasisで英国ロックの土臭さを感じ、Daft Punkで洗練された電子音の宇宙へ飛ぶ。この振れ幅こそが、私の音楽生活を豊かにしてくれます。迷わずこれも「救出(購入)」しました。
エピローグ:物理メディアが繋ぐ記憶
店を出ると、御茶ノ水の街はすっかり日が暮れていました。
バッグの中には、リアム・ギャラガーの2024年カーディフ公演のCDと、ダフト・パンクのオリジナルLP。そして心の中には、スルーしたオアシスのプロモ盤への誇らしい記憶。
ストリーミングで数千万曲が聴ける時代に、わざわざ足を運び、限られた在庫の中から「出会い」を探す。それは非効率かもしれません。しかし、1996年のカーディフと2024年のカーディフが私の手元で物理的に繋がったように、レコードやCDには「物語」を所有する喜びがあります。
もしあなたが、音楽に「情報」以上の何かを求めているのなら、ぜひディスクユニオン お茶の水へ足を運んでみてください。そこには、あなただけのストーリーが埋もれているはずです。
ディスクユニオンお茶の水店 完全ガイド
ここからは、実際に店舗を訪れる方や、より深く知りたい方のために、皆さんがよく検索されているキーワードに基づいて、CityNomixならではの視点で解説を加えます。
ディスクユニオン お茶の水 閉店の噂と真実
「ディスクユニオン お茶の水 閉店」と検索されることがありますが、ご安心ください。御茶ノ水エリアのディスクユニオンは健在です。ただし、過去にいくつかの店舗再編やフロアの移動、近隣店舗(例えばハードロック/ヘヴィメタル館の移転など)があったため、久しぶりに訪れる方は「あれ、あのお店がない?」と錯覚することがあるかもしれません。常に最新の店舗情報を公式サイトで確認することをお勧めします。形を変えながらも、この街の音楽文化の灯は消えていません。
ディスクユニオン新宿・渋谷との違い
「ディスクユニオン新宿」や「ディスクユニオン渋谷」と何が違うのか? これはよくある質問です。私見ですが、新宿は「圧倒的な物量とマニアックさの総本山」、渋谷は「トレンドとクラブカルチャー寄り」であるのに対し、お茶の水は「ロック、ジャズ、ソウルの歴史を深く掘り下げる、いぶし銀のラインナップ」という印象があります。特にクラシックロックや70年代以前の音源を探すなら、お茶の水エリアの落ち着いた雰囲気は格別です。学生街という土地柄か、アカデミックな探究心を満たしてくれる品揃えが魅力です。
ディスクユニオン お茶の水 営業時間とアクセス
基本的な営業時間は、平日は12:00〜20:00、土日祝は11:00〜20:00というパターンが多いですが、店舗によって異なります(駅前店は11:00オープンの日も多いです)。仕事帰りに寄る際は、20時閉店という点に注意が必要です。「あと10分!」というギリギリの駆け込みディグは焦りを生み、冷静な判断(レア盤の傷を見落とすなど)を鈍らせます。余裕を持って、できれば休日の昼下がりに訪れるのがベストです。
ディスクユニオン お茶の水 ブログで最新入荷をチェック
私が足繁く通う理由の一つに、各店が発信している「ブログ」の存在があります。「ディスクユニオン お茶の水 ブログ」で検索すると、駅前店やソウル/レアグルーヴ館などの入荷情報がヒットします。ここには、オンラインショップに掲載される前の「店頭出し」情報が載ることがあります。特に廃盤や一点物のレア盤情報は、ブログでの告知直後に売り切れることも。RSSリーダーに登録するなりして、ライバルに差をつけるのがディガーの鉄則です。
ディスクユニオン お茶の水 ジャズ館の深淵
今回はロック中心の紹介でしたが、御茶ノ水といえば「ジャズ」も外せません。「ディスクユニオン お茶の水 ジャズ」で検索されるJazzTOKYOは、世界屈指の在庫量を誇ります。CD、レコードはもちろん、ジャズ関連の書籍やグッズも充実。ロックファンの私でも、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンのオリジナル盤を拝みに立ち寄ることがあります。静謐な空間で、紫煙の匂いがしそうなジャケットを眺める時間は、大人の贅沢と言えるでしょう。
ディスクユニオン お茶の水 移転の歴史
御茶ノ水エリアのディスクユニオンは、細かな「移転」や「リニューアル」を繰り返して現在の形になっています。かつての場所に行ったらビルが建て替わっていた、ということも珍しくありません。しかし、それは新陳代謝の証。移転するたびに棚が見やすくなったり、ジャンル分けが整理されたりと、ポジティブな変化も多いです。変化を恐れず、新しい店舗配置を楽しむのも、この街を歩くコツです。
ディスクユニオン お茶の水 ソウル ブログとブラックミュージック
最後に、「ディスクユニオン お茶の水 ソウル ブログ」についても触れておきましょう。お茶の水にはソウル/レアグルーヴ専門の素晴らしい館があります。Daft Punkの元ネタを探す旅や、ヒップホップのサンプリングソースを探すならここです。ブログでは、専門スタッフによる愛のある解説(時には暑苦しいほどの!)が読めます。単なる商品リストではなく、音楽への愛が詰まった読み物としても楽しめるのが、ユニオンブログの魅力ですね。
さて、次の週末はあなたも御茶ノ水へ出かけてみませんか? もしかしたら、あなたが探していた「運命の一枚」が、棚の奥であなたを待っているかもしれません。
公式サイト: https://diskunion.net/shop/ct/ocha_ekimae
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