鳴り止まない興奮、涙腺の決壊。oasis 東京ドーム ライブレポ 2日目
はじめに、正直に告白しなければならない。そして、謝罪をさせてほしい。昨夜の記録は、あまりにも断片的だ。なぜなら、そのほとんどの時間を、僕は泣きながら過ごしていたからだ。もしこのレポートに記憶違いや感情の先走りがあったなら、それはすべて、あの空間に満ちていた純粋な感動のせいだと、どうか許してほしい。
(未読の方はアディダスコラボ、ファンストア、通販グッズの記事もぜひ)
昨日に引き続き(1日目のレポートはこちら)、幸運にもチケットを手に入れることができた東京ドーム2日目。Oasisと、ノエルとリアムと、5万人のオーディエンスが同じ歌を口ずさむ。この途方もない幸福感が、僕の感情の堤をいとも簡単に破壊してしまったのだ。
しかし、1日目と同じような記事を書いても意味がない。だからこそ、このレポートでは、2日目だからこそ目撃できた光景、昨日とは違う感情の波、そして伝えきれなかったディテールを中心に、この奇跡の夜を再構築していきたいと思う。
ドーム全体を見渡す席から見えた、もう一つの景色
この日の僕の席は、1階三塁側の一番後ろ。ステージからは昨日より少し遠いが、その距離が逆に、この夜の全体像を鮮明に映し出してくれた。ステージ上の照明が、巨大な生き物のようにうねりながらアリーナを照らし、スタンドの隅々まで埋め尽くしたオーディエンス一人ひとりの熱気が、巨大なエネルギーの渦となって立ち上るのが見える。

開演を待つ人々の高揚感が、音もなく空気を震わせている。昨日はステージ上の兄弟に釘付けだったが、今日はこの空間そのものが主役だ。Oasisという現象を、構成するすべての要素を、この目に焼き付けようと決めた。
前座の衝撃:おとぼけビーバーの感想
ビールを片手に席に着いたのは、前座が始まるギリギリの時間だった。ステージに現れたのは「おとぼけビ~バ~」。正直に言うと、彼女たちの音楽に触れるのはこれが初めてだった。そして、そのパフォーマンスは衝撃的だった。

緻密でありながら、嵐のように荒々しい。そのエネルギッシュなサウンドは、Oasisを待つ巨大なドームの空気を一瞬で掌握した。メインアクトに勝るとも劣らない、圧巻のステージ。彼女たちの名前は、この日の記憶に深く刻み込まれた。
涙と大合唱、そしてポズナン。oasis 東京ドーム ライブレポ 2日目詳細
18時。客電が落ち、SEの「Fucking in the Bushes」が鳴り響く。そして、リアムの「Hello」。昨日なら「Morning Glory」あたりまで保てた冷静さが、今日はもうこの時点で崩壊寸前だ。動悸がする。そして「Acquiesce」のイントロが始まった瞬間、僕の涙腺は決壊した。
伝説の儀式「ポズナン」に初挑戦
「Morning Glory」「Some Might Say」と続くアンセムの洪水。5万人の歌声が地鳴りのように響く。もう、泣く以外の選択肢がない。疾走感溢れる「Bring It On Down」に体を揺らしたあと、ついにあの曲がやってきた。「Cigarettes & Alcohol」だ。
昨日、僕が認識できていなかった儀式。リアムがオーディエンスに求めていたのは「ポズナン」だった。マンチェスター・シティがゴールを決めた際、サポーターがピッチに背を向け、肩を組んでジャンプする、あの祝福の儀式だ。
こんな最高の儀式に参加しない手はない。曲が始まるやいなや、僕も周りの見知らぬファンたちと視線を交わし、ステージに背を向け、肩を組む。そして、あの象徴的なギターリフが鳴り響いた瞬間、一斉にジャンプ、ジャンプ、ジャンプ! ドームが揺れる。リアムも上機嫌な様子で、僕たちのポズナンは成功したようだった。
親になったからこそ刺さる「Fade Away」の歌詞
Oasisの魅力は、ヒット曲だけではない。B面の楽曲にこそ、彼らの真髄が宿っている。「Fade Away」もそんな一曲だ。スクリーンに映し出されるリアムの姿を見ながら、その歌詞が深く胸に突き刺さる。

「While we’re living the dreams we have as children fade away(俺たちが生きている間に、子供の頃に見た夢は消えていく)」
ノエルもリアムも親だ。そして僕にも子供がいる。だからこそ、この一節が重く響く。子供の頃の夢を、忘れないように、消してしまわないように、必死に生きなければ。そんな思いを噛み締めながら、続く「Roll With It」では、すべてを振り払うように高く飛び跳ねた。
ノエル 泣く…?The Chiefが見せたエモーショナルな瞬間
リアムがステージを去り、ノエルの時間がやってきた。今回のツアー、ノエルの歌声は、まるで円熟したワインのように深く、心を揺さぶる力があった。「Talk Tonight」では、オーディエンスのスマートフォンのライトが、ドームに満点の星空を描き出す。あまりにも美しい光景だ。

そして、事件は「Half the World Away」で起きた。アコースティックギターを構えたノエルが、何かを言いかけて、やめた。歌い出そうとマイクに近づくが、また離れる。何度も、何度も。会場がざわめく。もしかして…。
「Chief! 泣いていいんだぜ!」
誰かが叫んだ。そうだ、泣いて当然だ。こんな奇跡の夜に、感情が昂らないはずがない。オーディエンスは静かに彼を待った。そして、絞り出すように始まった歌声は、今日一番エモーショナルだった。スクリーンに映るその表情は、僕たちの心を鷲掴みにした。

その感情を爆発させるかのように始まった「Little by Little」。オーディエンスのボルテージは最高潮に達し、ドーム全体が揺れるほどの大合唱となった。

記憶が溶けていくほどの多幸感
リアムが再びステージへ。パーカーにサングラス姿で歌う「D’you Know What I Mean?」は、反則的なほどにかっこいい。あのMVを見てモッズコートに憧れたファンは、きっと僕だけではないはずだ。

しかし、正直に言うと、「Stand By Me」あたりからの記憶は、涙と興奮でほとんど溶けてしまっている。気づけば、隣のファンと肩を組み、声を枯らしながら歌っていた。「Cast No Shadow」の美しさに涙し、「Slide Away」の力強さに魂を震わせた。「Whatever」がもたらす無限の自由と希望を全身で浴び、「Live Forever」では、ただただ、この瞬間が永遠に続くことを願った。
そして、「Rock ‘n’ Roll Star」。この曲を歌うために生まれてきた男、リアム・ギャラガー。その姿は、まさしくロックンロール・スターそのものだった。

そういえば、ステージの奥にボーンヘッドの姿が見えたが、その隣にもそっくりな人物が。一瞬混乱したが、どうやらマンチェスター・シティのペップ監督らしい。サッカー狂のリアムらしい、粋な計らいだ。

アンコール、そして奇跡の兄弟ハグ
鳴り止まない拍手に応えて、彼らは再びステージに現れた。アンコールの始まりは「The Masterplan」。サビに向かって感情が駆け上がっていくあの感覚は、何度味わっても鳥肌が立つ。

「Don’t Look Back In Anger」の大合唱は、この祭りが終わってしまうことへの寂しさを伴う。それでも歌う。次に会える日を信じて、声を振り絞る。

ラストスパートは「Wonderwall」。リアムがリードし、サビをオーディエンスが歌う。完璧な夜だ。そして、最後の曲「Champagne Supernova」。この曲が持つ圧倒的な多幸感が、すべての感情を優しく包み込んでいく。Oasisがいるこの世界を、祝福するかのように。
演奏が終わり、ステージの中央へ歩み寄るリアムとノエル。そして、次の瞬間、二人は固く、力強く抱き合った。昨日よりもずっと長い、ガッツリとしたハグ。割れんばかりの歓声がドームを揺るがす。僕の涙腺は、この日何度目かの完全崩壊を迎えた。

なんて夜だ。生きててよかった。Oasisを好きで、本当によかった。

【まとめ】次を期待せずにはいられない、oasis 東京ドーム ライブレポ 2日目
「どうせまた兄弟喧嘩して解散する」と、冷めた目で見る人もいる。でも、僕はそうは思わない。彼らは二人とも、もう親なのだ。完璧な親などいない。それでも、子供たちのために、より良い自分であろうと努力する。このワールドツアーも、彼らにとっての大きな経験のはずだ。
何が正しくて、何が間違っているか。彼らはもう、身をもって知っているはずだ。だから僕は、次があると信じたい。この奇跡の続きを、期待せずにはいられないのだ。



