渋谷の聖地マンハッタンレコードでカセットテープを探す旅|ヒップホップのグルーヴと一期一会の出会い

渋谷の喧騒に佇むヒップホップの聖地、マンハッタンレコード

東京、渋谷。スクランブル交差点の喧騒を抜け、センター街を少し外れた宇田川町エリアに足を踏み入れると、街の空気が少しだけ変わるのを感じます。ここは、日本のストリートカルチャーが生まれ、育まれてきた場所。そして、その中心に長年鎮座するのが、今回訪れたマンハッタンレコードです。金曜日の午後、少し汗ばむ陽気の中、僕は今日のミュージックハンティングの締めくくりとして、この赤い看板を目指していました。

渋谷PARCOの「Oddtape」でBillie EilishとBedrriddenの限定カセットを手に入れHMV record shop Shibuyaで品揃えの広さに感嘆した後、なぜ最後にこの場所を選んだのか。それは、ここが単なるレコード屋ではないからです。マンハッタンレコードは、日本のヒップホップやR&Bの歴史そのものであり、多くのアーティストやDJ、そして僕のような音楽ファンにとっての「聖地」なのです。

渋谷にある老舗レコード店「マンハッタンレコード」の外観。特徴的な赤い看板が目印となっている。
ヒップホップの聖地、渋谷・マンハッタンレコード。

目の前にある、あの特徴的な赤い看板。何十年も前から変わらず、この場所にあり続けています。この看板を見るたびに、僕は少しだけ背筋が伸びるような、それでいて故郷に帰ってきたような不思議な感覚に包まれます。デジタルが主流のこの時代に、アナログの温もりとカルチャーの重みを守り続ける。その揺るぎない姿勢が、この店のオーラを形作っているのでしょう。さあ、中に入ってみましょう。今日の僕の目当ては、カセットテープ。この聖地には、どんな宝が眠っているのでしょうか。

進化を続ける老舗、マンハッタンレコードの今を探る

ドアを開けると、まず耳に飛び込んでくるのは心地よい低音。そして、ビニールと紙の匂いが混じり合った、レコード屋特有の香りが鼻をくすぐります。店内に足を踏み入れると、そこは音楽好きにとっては楽園そのもの。壁一面に並べられたレコード、ターンテーブル、そして音楽への情熱に満ちた空気。この感覚こそ、オンラインストアでは決して味わえないものです。

1階:最新ヴァイナルと見逃せないマンハッタンレコードのアパレル・グッズ

1階は、主に新品のレコードが中心です。ヒップホップやR&Bの最新リリースはもちろん、ソウル、ファンク、ジャズの名盤リイシューまで、そのセレクトは流石の一言。バイヤーの確かな耳と審美眼が光ります。しかし、ここで見逃せないのが、レコードだけではありません。レジカウンターの周りには、オリジナルグッズがずらりと並んでいます。

特に人気なのが、マンハッタンレコード アパレルです。アイコニックなロゴをあしらったパーカーやTシャツは、音楽好きのアイデンティティを表現するアイテムとして長年愛されています。また、シンプルなデザインのマンハッタンレコード キャップも定番。さりげなくカルチャーへの敬意を示せる、まさに「わかっている」大人のためのアイテムと言えるでしょう。この日も、数人の客が熱心にマンハッタンレコード パーカーを吟味していました。音楽を「聴く」だけでなく「纏う」という楽しみ方も、この店は提供してくれるのです。

2階:宝探しが始まる。中古レコードとカセットテープの宇宙

僕の本当の目的は2階にあります。少し急な階段を上ると、空気がさらに濃密になるのを感じます。ここには、時間というフィルターを通過してきた中古レコードたちが、新たな持ち主を待っているのです。壁という壁を埋め尽くすレコードの棚は、まさに圧巻。一枚一枚に、前の所有者の物語が宿っているかのようです。

そして、階段を上がってすぐ右手。そこに、僕が探していたカセットテープのコーナーがありました。以前訪れた時よりも、明らかにスペースが拡張されています。これは嬉しい発見でした。アナログ回帰の流れはレコードだけでなく、カセットテープにも確実に押し寄せている。そのトレンドを、この老舗がしっかりと捉えている証拠です。

Hip-Hop/R&B好き必見!拡張されたカセットテープコーナーと出会い(マンハッタンレコード 東京・渋谷店)

マンハッタンレコード 東京・渋谷店のカセットコーナーは、まさに宝の山でした。木製の棚には、新品から中古まで、びっしりとカセットが並んでいます。

Hip-HopやR&Bと書かれた手書きのポップがある、カセットテープがずらりと並んだ木製の棚。
Hip-HopやR&Bの名盤が揃うカセットテープコーナー。

「Hip-Hop, R&B, etc…」と書かれた手書きのポップが、なんとも言えない温かみを醸し出しています。こういう手触り感のあるディテールが、ディグる(=レコードやテープを掘り探す)楽しみを何倍にもしてくれるのです。デジタルでアルゴリズムに推薦される音楽も便利ですが、自分の手と目で未知の音楽を発見する喜びは、何物にも代えがたい体験です。

レコード店の棚にずらりと並べられたヒップホップ中心のカセットテープ。
カセットテープコーナーは新品だけでなく中古も展開増えてました。Hip-Hop中心。

棚をじっくりと見ていくと、やはりヒップホップとR&Bの品揃えが圧倒的。90年代のゴールデンエイジの名盤から、最近のインディーアーティストの作品まで、新旧が入り乱れています。さらに、中古のコーナーには、思わぬ掘り出し物が眠っている可能性も。ケースに収納されたテープを一つ一つ手に取り、ジャケットを眺め、曲目を確認する。このプロセス自体が、至福の時間です。

ふと、映画のサウンドトラックを集めた一角に目が留まりました。そこにあったのは、アイザック・ヘイズが手掛けた映画『シャフト』のサウンドトラック。あのクールでファンキーなテーマ曲が頭の中で鳴り響きます。「これは…!」と一瞬手が伸びましたが、なぜかその日は「また今度でいいか」と思って棚に戻してしまったのです。店を出てから数分後、僕は激しく後悔することになります。「なぜ買わなかったんだ…」。そう、ミュージックハンティングは一期一会。その瞬間に心が動いたなら、迷わず手に取るべきだったのです。これは、今日の旅で得た最大の教訓かもしれません。

マンハッタンレコードでのディグ体験から得た教訓

結局、この日は何も買わずに店を後にしました。しかし、心は奇妙な満足感で満たされていました。それは、単に音楽を探しただけでなく、カルチャーの深層に触れ、自分なりの発見と教訓を得られたからでしょう。この体験は、他のレコード店では得難い、マンハッタンレコードならではのものです。

なぜ「マンハッタンレコード 大阪」のファンも東京店を訪れるべきか?

僕は西日本に住む友人から、よくマンハッタンレコード 大阪店の話を聞きます。もちろん、大阪店も素晴らしいセレクションで知られていますが、もしあなたが真の音楽好きなら、一度は渋谷の本店に足を運ぶべきだと断言します。なぜなら、ここには東京、いや日本のストリートカルチャーの「今」が凝縮されているからです。品揃えの深さはもちろん、店内に流れる空気、スタッフと客が交わす会話、窓の外に見える渋谷の街並み。そのすべてが一体となって、独特のグルーヴを生み出しています。大阪店で培った耳と感性を、この渋谷の地で試してみる。それは、あなたの音楽ライフをさらに豊かにする、刺激的な体験になるはずです。

伝説の「マンハッタンレコード MIX CD」のDNAは今も健在か?

かつて、マンハッタンレコードの名を世に知らしめたものの一つに、オリジナルのMIX CDがありました。有名DJたちが手掛けるそのMIXは、新たな音楽への最高の入り口であり、多くのリスナーの耳を育ててきました。現在ではMIX CDのコーナーは縮小しましたが、その「キュレーションの精神」は、店全体に脈々と受け継がれているように感じます。

レコードのセレクト、棚の並べ方、スタッフのおすすめ。そのすべてに、「これを聴いてほしい」という強いメッセージが込められています。アルゴリズムでは決して到達できない、人間の情熱と知識に基づいたレコメンド。それこそが、伝説のマンハッタンレコード MIX CDが持っていたDNAであり、今もこの店の最大の魅力であり続けているのです。

まとめ:次なる一期一会を求めて、再び訪れたいマンハッタンレコード

『シャフト』のサントラを買い逃した後悔は、しかし、次への期待感にも繋がっています。次にこの場所を訪れる時、僕はどんな音楽と出会うのだろうか。そして、その出会いを逃さずに掴むことができるだろうか。マンハッタンレコードは、ただ音楽を売る場所ではありません。それは、訪れる者すべてに「発見する喜び」と「一期一会の尊さ」を教えてくれる、生きたミュージアムのような空間です。僕はまた近いうちに、この赤い看板のドアを開けることになるでしょう。次なる宝物を探しに。

店舗情報

マンハッタンレコード (Manhattan Records)
公式サイト: https://manhattanrecords.jp/
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