CityNomixです。
デジタルマーケティングの仕事で頭がパンクしそうになったとき、あるいはふと過去の記憶と現在地を照らし合わせたくなったとき、僕は街へ出ます。そして、吸い寄せられるように向かう場所があります。
ディスクユニオン新宿。
東京という街が世界に誇る、アナログレコードの魔窟。今回は、学生時代から通い詰めているこの場所で、永遠のアンセムであるOasis(オアシス)のレア盤を探す「ディグ(Dig)」の旅へ、皆さんをお連れします。記録ではなく体験を。価格の高騰に直面したリアルな感情と、それでも止められないレコード愛を、Photomoの視点で綴ります。
新宿の喧騒に佇む「赤と黒」の聖域
JR新宿駅の東南口を降り、雑多な飲食店やアパレルショップがひしめくエリアを歩くこと数分。見慣れた、しかし常に胸を高鳴らせるビルが目の前に現れます。

「山田ビル」に入居するディスクユニオン新宿。黒い外壁に、鮮烈な赤で描かれた「disk union」のロゴ。このコントラストを見るだけで、パブロフの犬のように「今日は何かあるかもしれない」という予感が脳内を駆け巡ります。入り口にはマンガタッチのグラフィックアートが施され、開かれたドアの奥からは、音楽好きを誘い込むようなTシャツのディスプレイが見え隠れしています。
ここは単なるレコードショップではありません。音楽というカルチャーを愛する者たちが集う、現代のサロンであり、戦場でもあるのです。

入り口のフロアガイドを見てみましょう。地下1階の「平成J-POPストア」から7階の「パンクマーケット」まで、この細長いビル一本がまるごと音楽のジャンルごとに分かれています。東京のレコード店がいかに細分化され、専門的であるかを象徴する光景です。
僕が目指すのは、6階。「インディ・オルタナティヴロック館」です。
6階:インディ・オルタナティヴロック館の濃密な空気
エレベーターを降りた瞬間に漂う、古紙とビニール、そして微かな埃の匂い。これぞレコードショップの香りです。6階は決して広くありません。むしろ狭い。大人二人がすれ違うのがやっとの通路に、レコード棚がこれでもかと並んでいます。
しかし、この「狭さ」こそが、ディスクユニオン新宿の最大の武器なのです。
新宿という立地柄、ここには日本中、いや世界中から「分かっている」ファンが集まります。回転率が凄まじく早く、マニアックなコレクターが手放した極上のコレクションが、驚くべきスピードで棚に補充されては消えていきます。御茶ノ水店が「図書館」だとしたら、新宿店は「市場(マーケット)」のようなライブ感があります。

ふと7インチシングルのコーナーに目をやると、仕切り板には「SMITHS」「SONIC YOUTH」の文字。そして手前には、2000年代のロックリバイバルを象徴するThe Strokes(ザ・ストロークス)の『MODERN AGE』が。価格は8,850円。7インチ一枚にこの価格。しかし、この小さな円盤に込められた歴史的価値を思えば、決して高くはない……いや、高いですが、それだけの「熱」がここにはあります。
Oasis(オアシス)の聖杯を探して
さて、本日のメインイベントです。90年代、僕らの青春を定義したバンド、Oasisのコーナーへ。
ここ数年、Oasisのアナログ盤、特にオリジナルプレスの価格高騰は異常なほどです。しかし、だからこそ「実物」に出会えた時の感動はひとしお。Photomo読者の皆さんに、この日の収穫(見るだけタダですが)をシェアします。
永遠のアンセム『WHATEVER』

まず目に飛び込んできたのが、あのストリングスのイントロが脳内再生される名曲『WHATEVER』の12インチUKオリジナル盤。ジャケットの状態も良く、盤質もB判定。価格は24,850円。
「I’m free to be whatever I…」と口ずさみながら、値札を見て現実に戻ります。しかし、DAMONT刻印入りの本物のUK盤。インテリアとして飾るだけでも、その空間の空気を一変させる力があります。
ブリットポップの絶頂『SOME MIGHT SAY』

続いて、『SOME MIGHT SAY』。オアシス初の全英No.1シングル。ノエル・ギャラガーのソングライティングが神がかっていた時期の一枚です。こちらは14,850円。緑色のプライスカードが、少しだけ優しく見えますが、それでも諭吉(今は渋沢栄一ですね)が飛んでいきます。
2000年代の輝き『GO LET IT OUT』

少し時代を下って『GO LET IT OUT』。サイケデリックな要素を取り入れ始めた時期の傑作です。価格は9,850円。このあたりなら、ボーナスが出た後の自分へのご褒美として射程圏内かもしれません。
「アナログバブル」の現実と高嶺の花
レコード棚をめくる手つきは軽快ですが、心の中では冷や汗をかいています。なぜなら、想像を超える「高嶺の花」たちが鎮座しているからです。

見てください、この威風堂々たるボックスセット。ベストアルバム『TIME FLIES… 1994-2009』の5枚組LP、EUオリジナル盤。しかも未開封(Sealed)。価格は46,850円。
90年代後半から2000年代にかけて、音楽メディアの主役はCDでした。そのため、この時期のアナログレコードはプレス枚数が極端に少なく、現在では宝石のような扱いを受けています。未開封品ともなれば、それはもう文化遺産レベルです。

極め付けはこちら。ライブ盤『FAMILIAR TO MILLIONS』のUKオリジナル3枚組LP。お値段、なんと89,850円。
思わず「旅行に行けるじゃん…」と呟いてしまいました。しかし、ウェンブリー・スタジアムでのあの熱狂を、当時の空気を含んだオリジナル盤で聴く体験は、旅行以上のトリップ感をもたらすのかもしれません。買えないけれど、拝めただけで眼福。そう思わせてくれるのが、ディスクユニオン新宿の凄みです。
現行インディへの目配せも忘れずに
懐古趣味だけで終わらないのが、CityNomixの流儀であり、この店の良心です。

Jack White(ジャック・ホワイト)の『BOARDING HOUSE REACH』USオリジナル盤を発見。黒地にホログラムが輝くアートワークは、部屋に飾れば最高にクールなアクセントになります。価格は5,450円。先ほどのOasisを見た後だと、実質タダのように錯覚してしまいます(危険な思考です)。
CityNomixの視点:新宿店と御茶ノ水店の使い分け
最後に、東京でレコード巡りをする際の実践的なアドバイスを。
もしあなたが、「とにかく安く、量を掘りたい」のであれば、学生街である御茶ノ水の店舗をおすすめします。あちらは在庫量が膨大で、価格設定も比較的マイルドな傾向があります。
しかし、「高くてもいいから、とにかくレアな盤に出会いたい」「状態の良いコレクターズアイテムを探している」のであれば、迷わずここ新宿店へ来てください。回転が早いため、一期一会の出会いが待っています。「あったら買う」ではなく、「ある時に買わないと二度と会えない」。そんなヒリヒリするような宝探しが楽しめます。
おわりに:デジタル時代に「モノ」を持つ意味
ストリーミングで数千万曲が聴き放題の時代に、なぜ私たちは数万円を払って、重くてかさばる黒い円盤を買い求めるのでしょうか。
それは、音楽を「データ」として消費するのではなく、「体験」として所有したいからだと思います。ジャケットのアートワークを眺め、針を落とす儀式を経て、スピーカーから流れる音に身を委ねる。ディスクユニオン新宿は、そんな贅沢な時間を手に入れるための入り口です。
皆さんも、新宿の喧騒を抜け出して、赤と黒のビルの6階へ上がってみてください。そこには、あなたの人生のサウンドトラックが待っているかもしれません。
Photomo 補足情報:ディスクユニオン新宿を深く知る
ディスクユニオン新宿 営業 時間
基本的には平日・土曜は11:00~21:00、日曜・祝日は11:00~20:00です。ただし、棚卸し等で変更になる場合があるため、訪問前には公式サイトやX(旧Twitter)での確認を推奨します。特にレア盤放出セールがある日は、開店前から行列ができることも珍しくありません。
ディスク ユニオン 新宿 行き方
JR新宿駅「東南口」が最短ルートです。改札を出て階段を降り、広場を抜けて甲州街道の高架下方面へ向かうと、すぐ右手にGAPがあります。その並び、少し進んだ先の「山田ビル」です。1階がアパレルのテナントになっていることが多いですが、見上げれば赤い看板が見つかります。
ディスクユニオン新宿 ブログ & 入荷情報
各フロア(ジャンル)ごとに独自のアメブロやSNSアカウントを持っています。「インディ・オルタナティヴロック館」のブログは、新入荷情報の更新頻度が高く、画像付きでコンディションを確認できるため、マニアはRSS購読必須です。狙っている盤がある場合は、ブログ更新のタイミング(夕方が多い)をチェックしましょう。
ディスクユニオン新宿 アニメ・ソウル・ヒップホップ
今回はロック館を紹介しましたが、同じビルや近隣の別館には他ジャンルの専門フロアがあります。「アニメ館」ではサントラや声優のレア盤、「ソウル・ダンスミュージック館」ではディスコやファンクの12インチ、「ヒップホップ館」では90s名盤から現行トラップまで網羅されています。ジャンルを横断して「ハシゴ」できるのも新宿エリアの魅力です。
公式サイト:https://diskunion-shinjukuindiealternativerock.blog.jp/
Google Map:






