リスボンの石畳を叩く雨音が、MEOアリーナの巨大な屋根に反響しています。
11月のリスボンにしては珍しく、空は厚い雲に覆われ、Web Summit開催期間中で初めての雨に見舞われました。
CityNomixです。普段はデジタルマーケティングの世界で数字と格闘していますが、今はここポルトガル・リスボンで、テクノロジーの最前線に身を置いています。
昨日の興奮がまだ冷めやりません。Qualcommが提示した「エージェント中心のAI」というビジョン(詳細記事はこちら)に感銘を受け、Microsoftが語るAI導入の課題(詳細記事はこちら)に深く頷いた初日。夜はPáteo Restauranteで絶品のポルトガル料理(レストランレビューはこちら)に舌鼓を打ち、英気を養いました。
そして迎えた2日目。あいにくの天気ですが、会場の熱気は雨をも蒸発させそうなほどです。

午前中はいくつかのスタートアップピッチを見て回りましたが、正直なところ、決定打に欠ける印象でした。
お昼時、フードトラックエリアへ向かうと、雨の影響で屋内の店舗は長蛇の列。
「なんてこった」と呟きつつ、比較的空いていた屋外のフードトラックへ。傘を差しながら手に入れたのは、シンプルなチーズバーガーでした。

雨の中で頬張るハンバーガー(2日目のランチ詳細はこちら)。
決して優雅とは言えませんが、これもまた旅のリアルな味です。
急いで腹ごしらえを済ませ、私は足早に「AI Summit」のステージへと向かいました。
これから始まるセッションこそ、今日の、いや今回のWeb Summitのハイライトになるかもしれないという予感があったからです。
熱狂のAI Summit:Manusが語る「The Frontier of Agentic AI」
会場に到着すると、そこは既に立錐の余地もないほどの人だかり。
立ち見を覚悟しましたが、運良く前のセッション終了時に入れ替わりで席を確保できました。
ステージ上のスクリーンには「The Frontier of Agentic AI」の文字。
登壇するのは、シンガポール発の注目スタートアップ「Manus」の共同創業者兼CPO、Tao Zhang氏です。

昨今のAIブームの中で、多くの企業が「AIエージェント」を謳っています。
しかし、Zhang氏のプレゼンテーションは、単なる機能紹介やバズワードの羅列とは一線を画すものでした。
彼は冒頭から、聴衆に根本的な問いを投げかけます。

AIエージェントとは何か?:チャットボットとの決別
「AIエージェントについて語るとき、皆さんは何を思い浮かべますか?」
Zhang氏は、現在市場に溢れる多くの「エージェント」に対する誤解を鋭く指摘しました。

「Chatbot + System Prompt ≠ Agent」
このスライドが表示された瞬間、会場の空気が変わりました。
チャットボットに「あなたは優秀なアシスタントです」というプロンプトを与えただけでは、それはエージェントではない。
それは依然として、指示待ちのツールに過ぎないのです。
では、真のエージェント(The True Agent)とは何か。
彼はその答えをたった一つの単語で定義しました。
「Agency(主体性)」です。

コマンドを待つのではなく、自ら考え(Think)、計画し(Plan)、自律的に行動して(Act)、プロアクティブに問題を解決する能力。
これこそが、manus aiが目指す到達点であり、私たちが求めている「パートナー」としてのAIの姿です。
Manusが提唱する「汎用エージェント」の定義
さらに彼は「General Agent(汎用エージェント)」についても言及しました。
特定のタスクに特化した自動化ツールではなく、人間のように適応力を持ち、多才で、継続的に学習しながらオープンエンドな問題を解決できるシステム。
それがManusの目指す姿です。

この定義は、私たちが普段「AIを使って業務効率化」と考えるレベルを遥かに超えています。
単にメールを自動返信するとか、予定を調整するといったレベルの話ではありません。
未知の課題に対して、自ら解決策を模索し実行する「知能」の話なのです。
Manusの動作原理:Think, Act, Learn
では、具体的にManusはどのように動くのでしょうか。
Zhang氏は、Manusを単なるアプリケーションではなく「問題解決エンジン」と位置づけ、そのプロセスを3つのステップで解説しました。

-
- Think(思考): 複雑な目標を与えられた際、それを実行可能なフェーズに分解します。
-
- Act(行動): コードの記述、ブラウザの操作、ファイル編集など、適切なツールを動的に選択して実行します。
-
- Learn(学習): その結果を評価し、反復・最適化を行うことで精度を高めます。
このサイクルを高速で回すことで、Manusは驚異的なパフォーマンスを発揮します。
実際、Scale AIの調査データによると、現在の主要なAIモデル(Gemini 2.5 Pro, GPT-5, Sonnet 4.5など)と比較しても、Manusは最も高いタスク完全自動化率を記録しているそうです。

とはいえ、グラフが示す通り、完全自動化率はまだ4%以下。
これは業界全体がまだ「初期段階」にあることを示していますが、その中で頭一つ抜けているのがManusというわけです。
この事実だけでも、manus aiへの注目度が急上昇している理由が分かります。
エージェントAIの3つのフロンティア
Zhang氏は、エージェントAIの進化には3つの境界線(フロンティア)があると語ります。

Frontier 1: Atomic Capabilities(原子的な能力)
エージェントができることの幅を広げる段階です。
コンテンツ制作、ブラウザ操作、コーディング。
将来的にはデスクトップ上のあらゆるソフトウェアを自在に制御できるようになるでしょう。

Frontier 2: Foundation Architecture(基盤アーキテクチャ)
能力が増えても、それを支える足腰が弱ければ意味がありません。
複雑なタスクを分解し、並列処理(パラレリズム)を行う堅牢なインフラが必要です。

ここで紹介されたのが「Wide Research」という機能の比較データです。
人間が数日かかるリサーチ、あるいは通常のチャットボットが数件でコンテキスト飽和を起こして破綻するようなタスクでも、Manusは並列処理によって数分で数百件を処理し、しかも品質を均一に保ちます。

「ほとんどのAIツールはスケール(規模拡大)で失敗するが、Manusは違う」
この言葉には、技術的裏付けに支えられた強い自信が滲んでいました。
Frontier 3: Proactive Agency(プロアクティブな主体性)
そして、究極のフロンティア。
それは「Even Before You Ask(あなたが頼むその前に)」行動することです。

ユーザーの意図を汲み取り、先回りして準備を整える。
これこそがエージェントAIの完成形であり、Manusが目指す未来です。
人間を「拡張」するマインドセットへ
技術的な話の後にZhang氏が語ったのは、私たち自身の「マインドセット」についてでした。
これが私にとって、今回のセッションで最も刺さった部分です。

「Replace human? Or enhance human?(人間を代替するか?それとも拡張するか?)」
AIの進化を前に、多くの人が「自分の仕事が奪われるのではないか」という不安(Replace)を抱きます。
しかし、Zhang氏はリーダーたちに対し、「Enhance Human(人間を拡張する)」という視点を持つよう強く促しました。

「トップパフォーマーの能力を10倍にするにはどうすればいいか?」
「それによってどんな新しい可能性が生まれるか?」
リスクや代替率を計算するのではなく、ベネフィットと可能性に目を向ける。
AIエージェントとの協働は、かつて人類が「車の運転」で物理的な距離を克服し、「コンピュータ」で情報の壁を越えたように、私たちの認知的・創造的な壁を打ち破る「現代の新しいリテラシー」なのです。

詳細解説:Manus AIを知るための8つのキーワード
さて、ここからはCityNomixの視点で、Manus AIについて読者の皆さんが気になるであろうポイントを、SEOキーワードに基づき徹底解説します。
Manus AI どこの国
Manus(マヌス)は、シンガポールを拠点とするスタートアップ企業です。
Web Summitのような国際的なテックカンファレンスでメインストリームに登壇することからも、その技術力が世界的に注目されていることが分かります。
アジア発、特にシンガポールというイノベーションハブから生まれたこの企業は、シリコンバレーの巨人たちとは一味違う、実用性と堅牢性を重視したアプローチをとっているように見受けられました。
Manus AI 危険性
自律型AIと聞くと、誰もが「暴走しないか?」「勝手に変な操作をされないか?」という危険性を懸念します。
Tao Zhang氏もプレゼンの中で「Barriers to Cross(乗り越えるべき壁)」として、コンテキストの共有やツールの開放には「勇気が必要だ」と認めています。

しかし、Manusは「Act」のフェーズにおいて適切なツール選択を行うロジックを組み込んでおり、ユーザーの監視下で安全に並列処理を行うアーキテクチャを採用しているようです。
危険性はゼロではありませんが、それを制御可能なリスクとし、ベネフィット(人間拡張)を最大化する設計思想が見て取れました。
Manus AI 安全性
安全性に関しては、企業のセキュリティ基準を満たすための「Foundation Architecture」が鍵となります。
Manusはエンタープライズ利用を想定しており、データの取り扱いやシステムへのアクセス権限管理において、高いセキュリティ基準を目指していることが示唆されました。
特に「Wide Research」のような機能では、外部サイトへのアクセスが発生しますが、これをセキュアなサンドボックス環境や制御されたブラウザ操作で行うことで、システム全体への悪影響を防ぐ仕組みが重要視されています。
Manus AI 無料
多くの読者が気になる「無料」プランの有無についてですが、現時点でのManusはビジネスユースやプロフェッショナル向けの高機能ツールとして位置づけられています。
公式サイトや発表内容からは、完全無料のフリープランが大々的に宣伝されているわけではありません。
高度な並列処理やAPI連携にはコストがかかるため、基本的には有料のサブスクリプションモデル、あるいは従量課金制となる可能性が高いでしょう。
ただし、初期のベータアクセスや限定的なトライアル枠が用意されることも多いため、公式サイトでのウェイティングリスト登録をお勧めします。
Manus AI 画像生成
プレゼン資料の「Frontier 1: Atomic Capabilities」の中に、「Content creation (images, videos…)」という記述がありました。
つまり、Manus AI 画像生成機能は、能力の一部として組み込まれています。
ただし、Midjourneyのような「画像生成特化ツール」ではなく、例えば「ブログ記事を書く」という大きなタスクの中で、「必要なアイキャッチ画像を生成して挿入する」といった、プロセスの一環として画像生成AIを呼び出し活用する形になるでしょう。
これこそが「エージェント」たる所以です。
Manus AI 日本語
Web Summitでの発表は英語で行われましたが、現代のAIモデル(LLM)をベースにしている以上、Manus AI 日本語対応の可能性は極めて高いと言えます。
基盤となるモデルが多言語対応であれば、Manusの「Think」や「Act」のプロセスも日本語で指示し、日本語で結果を得ることが可能です。
特に日本市場はAI活用に積極的であるため、正式リリース時またはその後の早い段階での日本語UIやサポートの実装が期待されます。
Manus AI 使い方
Manus AI 使い方の基本は、チャットボットのように会話するだけではありません。
「目標(Goal)」を与えることがスタートです。
例えば、「競合他社100社の価格設定を調査してスプレッドシートにまとめて」と指示します。
するとManusは:
1. Think: タスクを「検索」「抽出」「集計」に分解。
2. Act: ブラウザを立ち上げ各社サイトを巡回し、データを取得。
3. Learn: エラーがあれば修正し、レポートを作成。
ユーザーはプロセスを見守り、最終成果物を受け取る。これがエージェントとの新しい付き合い方です。
Manus AI アプリ
現在はWebベースのプラットフォームとして展開されているようですが、将来的な「Atomic Capabilities」にはデスクトップ操作も含まれています。
PC上の操作を自動化するManus AI アプリ(デスクトップアプリ)としての提供も視野に入っているでしょう。
スマホアプリで出先から指示を出し、クラウド上のManusがPC作業を完了させておく、といった使い方が一般的になるかもしれません。
まとめ:Manusと共に築く未来

「Join Us in Building the Future」
Tao Zhang氏は最後に、会場の全てのビルダーたちに向けてそう呼びかけました。
今回のWeb SummitでManusのセッションを聞き、私は単なるツールの進化以上のものを感じました。
それは、人間が面倒な作業から解放され、本来の「創造」や「思考」に集中できる時代の到来です。
雨のリスボンで目撃したこの熱狂は、数年後、「あの時が転換点だった」と語られることになるかもしれません。

Manusのミッションは「Extending Human Reach(人間の可能性を広げる)」こと。
私たちも、AIを恐れるのではなく、この新しいパートナーと共に自分の可能性をどこまで広げられるか、ワクワクしながら挑戦していくべきでしょう。
今回のレポートが、皆さんのAIエージェントに対する理解と、次のアクションへのヒントになれば幸いです。
CityNomixでした。



