ロンドンの冷たい風が頬を刺す季節、オックスフォード・ストリートのイルミネーションは、いつ見ても心が躍ります。しかし、その華やかな光の下で、私たちはある種の「無力感」を味わうことになります。財布に入っているポンド紙幣が、単なる紙切れ同然に扱われる瞬間があるからです。
CityNomixです。今回は、デジタルマーケティングの仕事と趣味のストリートフォトグラフィーで訪れた2025年冬のロンドン滞在記をお届けします。テーマは、旅の生命線とも言える「お金」、具体的にはクレジットカードについてです。
結論から申し上げましょう。2026年現在、イギリス・ロンドンへの旅行に現金はほとんど必要ありません。その代わり、「正しいクレジットカード」を持っていなければ、地下鉄に乗ることも、水一本買うこともままならないのが現実です。そして、多くの日本人旅行者が陥る「メインカードが使えない」という致命的なトラブルについても、私の冷や汗が出るような実体験(失敗談)を交えてお話しします。

もしあなたが、「JCBカードしか持っていない」、あるいは「メインのVISAカードがあるから大丈夫」と高を括っているなら、この記事はあなたの旅を救うことになるでしょう。ロンドンの完全キャッシュレス社会を快適に泳ぎ切るための、リアルな生存戦略をお伝えします。
結論!イギリス旅行に必須のクレジットカードはこの2枚
時間のない旅行前のあなたのために、まずは結論から提示します。ロンドン旅行において、クレジットカードは「決済手段」ではなく「インフラ」そのものです。以下の2枚体制で臨むことが、トラブルを回避する最適解です。
1. メインカード(VISA または Mastercard)
普段使っている高還元率のカード。ただし、JCBやAMEXはサブとしては機能しても、メインとしては不十分です(理由は後述します)。
2. サブカード(エポスカード等の年会費無料VISA)
これが今回の記事の最重要ポイントです。メインカードが「AIセキュリティロック」で停止した際の命綱となります。「予備のVISA」がないと、現地で詰みます。
なぜこれほどまでに「予備」を強調するのか。それは、ロンドンの街が想像以上にキャッシュレス化しており、カードが使えないことが即、行動不能を意味するからです。
【実体験】現金は不要?ロンドンの最新キャッシュレス事情
「イギリスに行くなら、いくらくらい両替すべき?」
友人によく聞かれますが、私の答えは常に「0円、もしくは記念に20ポンド程度」です。今回の滞在でも、現金を使ったのはチップを手渡した1回きり。それ以外は全て、カードかスマホのタッチ決済で完結しました。
1秒で乗車!ロンドン地下鉄(Tube)のタッチ決済
ロンドン移動の要、地下鉄(Tube)。かつては「オイスターカード」というICカードを購入し、トップアップ(チャージ)するのが常識でした。しかし、2026年の今、その常識は過去のものとなりつつあります。

現在のロンドン地下鉄は、手持ちのコンタクトレス決済対応クレジットカード(またはApple Pay / Google Pay)を改札の黄色いリーダーにタッチするだけで乗車可能です。切符を買う列に並ぶ必要も、オイスターカードのデポジットを払う必要もありません。
「本当に日本のカードでそのまま改札を通れるの?」と不安に思う方もいるかもしれません。私自身、最初は半信半疑でしたが、改札機の反応速度は日本のSuicaと遜色ないレベルです。ゲートが開く瞬間のスムーズさは、まさに「暮らすように旅する」感覚を味わせてくれます。

さらに嬉しいのが「キャップ制度(Price Cap)」です。1日に何度乗っても、一定額(ゾーン1-2なら約£8.50程度)以上は課金されません。つまり、使いすぎを心配することなく、ロンドンの街を縦横無尽に移動できるのです。ただし、これには条件があります。「同じカード(またはデバイス)を使い続けること」。行きの改札はカード現物、帰りはスマホでタッチしてしまうと、別々の乗車とみなされキャップが適用されない可能性があります。
スーパー(M&S)のセルフレジも完全キャッシュレス
ロンドンっ子に愛されるスーパーマーケット、マークス&スペンサー(Marks & Spencer)。バラマキ土産に最適なショートブレッドやお茶を買うために立ち寄る方も多いでしょう。しかし、ここでも「現金」の居場所はありません。
特に都心の店舗では、有人レジが極端に少なく、セルフレジ(Self Checkout)が主流です。そしてその多くが「Card Only(カード支払いのみ)」。カゴいっぱいに商品を入れてレジに並び、いざ支払おうとした時に現金しか持っていなければ、その商品は棚に戻すしかありません。
操作は簡単です。商品をスキャンし、「Finish & Pay」を押し、端末にカードをかざすだけ。店員と言葉を交わす必要がない分、気楽でもありますが、決済手段がないと何も買えないというシビアな現実がそこにあります。
要注意!ロンドンで「使えない」クレジットカードの罠
ここからが本題です。私がロンドンで実際に冷や汗をかいた体験に基づき、クレジットカードにまつわる「2つの罠」についてお話しします。
罠①:JCBとAMEXはローカル店舗で弾かれる
日本発の国際ブランドJCB。日本人としては応援したいところですが、残念ながらロンドン、特に個人商店や小さなカフェ、地方都市において、JCBの加盟店網はVISA/Mastercardに比べて圧倒的に劣ります。

例えば、セント・パンクラス駅のような主要ターミナルのお土産屋さんであっても、レジ横のアクセプタンスマークにJCBがないことは珍しくありません。AMEXはJCBよりはマシですが、それでも「Sorry, Visa or Mastercard only」と言われる確率は体感で2割〜3割ほどあります。
混雑するレジで、後ろに並ぶ現地の人々の視線を感じながら「カードが使えない」と告げられた時の気まずさ。これは何度経験しても慣れるものではありません。
罠②:日本のカードは「AIセキュリティロック」の餌食に
そして、最も恐ろしいのがこの罠です。「VISAだから大丈夫」だと思っていませんか? 実は、日本のメインカードこそが、一番危険なのです。
日本のカード会社は近年、不正利用検知システム(AI)の感度を極限まで高めています。「普段日本で生活している人間が、突然ロンドンのスーパーで高額決済をしようとしている」という挙動を、AIは「不正利用の疑いあり」と判断し、即座にカードをロックします。

これは私がM&Sで実際に体験した悲劇の記録です。家族や友人へのお土産、自分用の紅茶やコーヒー豆、総額2万円分ほどをカゴに入れ、意気揚々とセルフレジへ向かいました。しかし、端末に表示されたのは「Declined(拒否)」の文字。
限度額には余裕があるはず。暗証番号も間違っていない。しかし何度やっても弾かれる。スマホを確認すると、カード会社から「不正利用の疑いがあるため利用を制限しました」というメールが届いていました。
ロックを解除するには、日本のコールセンターに電話をするか、SMS認証が必要な場合があります。しかし、現地でSIMカードを入れ替えていたり、時差の関係で窓口が閉まっていたりすると、手詰まりです。私は泣く泣く、厳選したお土産をその場に置いて店を出る羽目になりました。
トラブル回避!最強のサブカード「エポスカード(VISA)」
メインカードが止まる。JCBが使えない。そんな絶望的な状況を救ってくれたのが、日本出国前に「念のため」と作っておいたサブカード、エポスカードでした。
世界中で使えるVISAブランドの絶大な安心感
M&Sでの失敗の後、私は別の店舗で買い直しを試みました。今度はメインカードではなく、財布の奥に入れていたエポスカードを取り出しました。タッチ決済端末にかざすと、「Approved(承認)」の緑色のランプが一瞬で点灯。あの時の安堵感は、言葉では言い表せません。
エポスカードはVISAブランドを採用しているため、ロンドン市内で使えない店はほぼ皆無です。地下鉄も、カフェも、スーパーも、これ一枚で全て突破できました。
年会費永年無料&手厚い海外サポート
私がサブカードとしてエポスカードを推す理由は、単にVISAだからというだけではありません。
- 年会費が永年無料: 維持費がゼロなので、使わなくても損をしません。
- 海外旅行傷害保険が自動付帯(※): 持っているだけで保険が適用される(※現在は利用付帯の場合もあるため要確認ですが、旅費の一部を決済するだけで適用されるなど条件は緩い)。
- 即日発行も可能: 旅行直前でも間に合うスピード感。

ホテルのベッドに広げた大量の戦利品。これらは全て、メインカードが止まった後にエポスカードで購入したものです。もし予備を持っていなければ、これらの思い出を日本に持ち帰ることはできませんでした。
まとめ:ロンドン旅行はVISAの予備カードでお守りを
ロンドンの街は美しく、刺激的ですが、そのインフラはシビアなデジタル社会でもあります。「現金があればなんとかなる」という時代は終わりました。そして、「メインカード1枚あれば大丈夫」という過信も、AIセキュリティの前では脆くも崩れ去ります。
あなたの旅を最高のものにするために、そして現地での不要なトラブルで時間を無駄にしないために。メインカードに加え、必ず「別のカード会社が発行するVISAブランドのサブカード(おすすめはエポスカード)」を財布に忍ばせておいてください。その1枚が、あなたのロンドン体験を守る最強のお守りになるはずです。
イギリスのクレジットカード事情:よくある疑問と詳細解説
ここからは、さらに詳しく知りたい方のために、よくある疑問をQ&A形式で深掘りしていきます。
1. イギリスでのVISAブランドの重要性と使い方
Q: なぜVISAブランドが必須なのですか?
A: イギリスにおけるVISAとMastercardのシェアは圧倒的で、ほぼ100%の店舗で利用可能です。使い方は日本と同じく、ICチップ読み取り(暗証番号入力)か、コンタクトレス(タッチ決済)が主流です。特にタッチ決済は”Contactless”と呼ばれ、店員に「Contactless, please」と伝えれば通じます。上限額(現在は£100まで引き上げられていることが多い)まではPINコード不要で決済できるため、スピーディーです。
2. ロンドンでのJCBブランドのリアルな現状
Q: JCBカードしか持っていませんが、ロンドン旅行は可能ですか?
A: 正直に申し上げると、非常に厳しいです。高級デパート(HarrodsやSelfridges)や一部の観光地では使えますが、地下鉄の券売機、ローカルなレストラン、スーパーマーケットでは非対応のケースが大半です。JCB1枚での渡航は、移動手段や食事の選択肢を著しく狭めることになります。必ずVISAかMastercardを別途用意してください。
3. ロンドン地下鉄のタッチ決済(コンタクトレス)事情
Q: クレジットカードで地下鉄に乗る際、事前の登録は必要ですか?
A: 不要です。お手持ちのコンタクトレス対応カード(券面に電波マークがあるもの)をそのまま改札の黄色いリーダーにかざすだけで乗車できます。Apple PayやGoogle Payに登録したカードでも同様です。ただし、海外事務手数料が発生する場合があるため、長期滞在の場合は手数料の安いカードを選ぶか、Wiseなどのデビットカードを利用するのも賢い方法です。
4. イギリスでのクレジットカード手数料について
Q: 日本のカードを使うと手数料はどれくらいかかりますか?
A: 一般的な日本のクレジットカードの場合、海外利用時の事務手数料として決済額の1.6%〜2.2%程度が加算されます。これは両替所の手数料(レートに含まれるスプレッド)と比較しても割安な場合が多く、現金を両替するよりもカード決済の方が経済的です。ただし、決済時に端末で「GBP(ポンド)」か「JPY(円)」かを選択できる場合、必ず「GBP(ポンド)」を選択してください。円建てを選ぶと、店舗側が設定した不利なレートが適用され、割高になることがあります。
5. デビットカードとの違いと推奨される使い方
Q: クレジットカードではなくデビットカードでも大丈夫ですか?
A: はい、VISAやMastercardブランドのデビットカードであれば問題なく利用できます。特にSony Bank WALLETやWiseデビットカードは、為替手数料が格安で、アプリで即時に利用履歴を確認できるため、ロンドン旅行者や留学生に非常に人気があります。ただし、ホテルやレンタカーのデポジット(保証金)としてはデビットカードが受け付けられない場合があるため、クレジットカードも1枚持っておくのが安全です。
6. 駐在員・イギリス留学生向けのおすすめカード
Q: 長期滞在する場合、日本のカードだけで生活できますか?
A: 当面は可能ですが、長期的には現地の銀行口座(Monzo, Revolut, Lloydsなど)を開設し、現地のデビットカードを持つことを強くお勧めします。家賃の支払いや給与の受け取りに必要になるためです。渡航直後は、日本のクレジットカードで生活を立ち上げつつ、住所が決まり次第現地口座を開設するのが一般的な流れです。その際も、Wiseのような送金サービスと連動したカードがあると非常に便利です。
7. イギリスの最新キャッシュレス普及率
Q: 現金しか使えない場所は本当にないのですか?
A: UK Financeのデータによると、イギリスの成人の半数以上がほとんど現金を使わない生活をしています。しかし、完全なゼロではありません。例えば、地方の田舎町の小さなB&B、一部の屋台(マーケット)、古い有料公衆トイレ、チップの一部などでは現金が必要な場合があります。とはいえ、ロンドン観光に限れば99%キャッシュレスで完結します。念のため£20札を1枚持っておけば十分でしょう。






