【スマパン 来日 ライブレポ】武道館に響くオルタナの魂。グッズTシャツのデザインから座席の注意点まで徹底解説

偶然が導いた、スマパン来日公演への道

物語の始まりは、いつだって些細な偶然からだ。Netflixで配信されている『エイリアン・アース』の第5話を見終えた、ある夜のこと。心を揺さぶるエンディングに流れてきたのは、紛れもなくThe Smashing Pumpkinsの楽曲だった。その瞬間、脳裏に電流が走る。「そういえば、今月だったはずだ」。彼らの来日公演。チケットはとうの昔に完売し、落胆した記憶が鮮明に蘇る。

諦めきれない想いを抱え、半ば惰性で検索窓にキーワードを打ち込む。すると、信じられない言葉が目に飛び込んできた。「機材解放席、販売中」。どうやら、ステージセットの設営が完了し、見切れ席として想定されていたエリアに余裕が生まれたらしい。これは運命以外の何物でもない。迷わず南の2階席を確保した。高校時代、友人が「Oasisは絶対好きになる。でも、スマパンも絶対好きになるよ」と熱っぽく語っていたのを思い出す。彼の言葉の真価を、今、確かめる時が来たのだ。

スマパン 来日 2025:九段下から武道館へ、開演前の熱気

公演当日、2025年9月17日。リモート会議を駆け足で終わらせ、夕暮れ時の街へ飛び出す。時刻は17時過ぎ。東京メトロ東西線の九段下駅に降り立つと、同じ目的地を目指す人々の流れが、否が応でも期待感を高めてくれる。北の丸公園の緑を抜け、重厚な門をくぐると、そこには聖地・日本武道館が鎮座していた。

既にグッズ販売のテント前には、長い列が形成されている。本来は15時から販売が開始されていたが、仕事の都合でこの時間になってしまったのは少し悔やまれる。それでも、この場の空気に身を置くだけで、胸が高鳴るのを止められない。

スマパン 武道館 グッズの列と売り切れ状況

早速、グッズ販売の列の最後尾につく。周囲の会話から、いくつかのアイテムは既に売り切れの可能性があることがわかる。特に人気のデザインやサイズは早い段階でなくなってしまうのが常だ。私が並び始めた17時半頃の時点では、まだ多くの商品が残っているように見えたが、油断はできない。これから参加する読者の皆さんには、可能であれば販売開始時間に合わせて会場入りすることをおすすめしたい。

夕暮れ時の屋外イベント会場にあるグッズ販売のテント。陳列されたTシャツを見るために人々が集まっている。
グッズ売り場はもうすぐそこだ。

列はゆっくりと、しかし着実に前に進んでいく。夕暮れの涼しい風が心地よい。テントが近づくにつれて、ディスプレイされたグッズのデザインが徐々に見えてきた。期待と少しの不安が入り混じる、この時間もまたライブ体験の一部なのだ。

スマパンのTシャツはダサい? 2025年 来日ツアーTシャツのデザインを徹底レビュー

ファンの間では半ば定説となっている、「スマパンのツアーTシャツはダサい」という説。正直なところ、私もその一人だった。しかし、今回ばかりは違ったかもしれない。販売会場の横からTシャツの実物を目にすると、その考えは良い意味で裏切られた。

屋外の物販ブースに並べられたスマッシング・パンプキンズのコンサートグッズ。様々なデザインのTシャツやパーカーがハンガーにかけられており、値段とサイズの札が付いている。
スマッシング・パンプキンズの来日公演グッズ売り場の様子。

もちろん、一癖も二癖もあるデザインは健在だ。だが、中にはっとさせられるようなクールなものも紛れている。特に目を引いたのは、鮮やかなブルーの生地に、日本のアニメやコミックを彷彿とさせる少女が描かれたデザイン。これは、ある種の「一周回ってカッコイイ」領域に達しているのではないか。着こなすのは難しいかもしれない。だからこそ、誰もが手を出さないかもしれない。そこに価値が生まれるのでは?そんなデジタルマーケター的な思考が頭をよぎる。

迷った末、その青いTシャツを購入することに決めた。価格は6,500円。アイコニックな『ZERO』のロゴが入ったパーカーは10,000円だった。これも魅力的だったが、今回はTシャツに絞る。

グッズTシャツのサイズ感と失敗談

サイズはLを選んだ。しかし、これが少しばかりの誤算だった。後ほど会場内のトイレで着替えてみると、ジャストサイズ。悪くはないが、現代的な着こなしを考えると、もう少し大きめに着たかった。XLにすればよかった、と少し後悔。この体験から得た教訓は、バンドTシャツは試着ができない分、サイズ選びは慎重に、そして可能であれば普段よりワンサイズ上を選ぶのが吉、ということだ。特に海外のバンドの場合、サイズ規格が日本と異なることもあるので注意が必要だ。

スマッシング・パンプキンズの青いツアーTシャツのクローズアップ。金髪ツインテールのマスクをした少女の、コミック風イラストが描かれている。
視線を集める、スマパンのツアーTシャツ

着替えてロビーを歩いていると、すれ違う人々の視線を感じる。特に若い世代からの注目度が高いようだ。そして、意外にも同じ青いTシャツを着ている人を何人も見かけた。私が考えた「誰も買わないかも」という仮説は、見事に外れたわけだ。皆、考えることは同じらしい。

開演前のエネルギーチャージと座席での珍事

開演までまだ時間がある。外の売店でビールとカレーパンを買い、束の間の腹ごしらえ。ライブという長丁場に備えて、エネルギーチャージは欠かせない。仕事終わりの体に、冷たいビールが染み渡る。

木目調のテーブルに置かれた紙コップのビールと、「瀬戸内レモンチーズ」というシールが貼られた紙袋に入ったカレーパン。
ビールとカレーパンでエネルギーチャージ。

さて、いよいよ会場内へ。私の席は南の2階席。武道館はどの席からでもステージが見やすいと聞くが、噂通りだ。ステージ全体を俯瞰でき、それでいて演者の表情もなんとか捉えられそうな絶妙な距離感。天井から吊るされた巨大な日の丸が、この場所が特別な空間であることを物語っている。

日本武道館の2階席からステージとアリーナ席を見下ろした俯瞰写真。八角形の天井から大きな日の丸が吊るされ、ステージには照明と楽器がセットされている。緑色の椅子が並んだアリーナ席には、開演を待つ観客が座り始めている。
南2階席から見るとこんな感じです。近いな。

席に着いて開演を待っていると、奇妙な出来事が起こった。次々と外国人の観客が私の元へやってきて、「そこは私の席だ」と主張するのだ。チケットを確認させてもらうと、列と番号は合っている。しかし、方角が違う。ある人は「南東」、またある人は「南西」。チケットには日本語で「南東(South East)」「南西(South West)」と併記すべきだったのかもしれないが、日本語表記のみだったため、彼らは「南(South)」という文字だけを頼りに来てしまったようだ。片言の英語で「Your seat is South East, over there.」と案内する、ちょっとした国際交流。武道館の座席は方角でエリアが分かれていることを、海外からの訪問者は知らない場合が多い。これは、今後のイベント運営における改善点かもしれない。

オルタナキング降臨!スマパン 来日 武道館ライブレポ

19時。定刻きっかりに会場の照明が落ちる。前座なし。オルタナティブ・ロックのキングは、時間にも正確らしい。地鳴りのような歓声の中、ビリー・コーガン、ジェームス・イハ、ジミー・チェンバレン、そして新加入のギタリスト、キキ・ウォンがステージに現れた。

その瞬間、武道館は90年代のロックシーンへとタイムスリップした。ビリー・コーガンがマイクに向かって両手を広げる。まるで、この空間のすべてを抱きしめるかのように。待ってたぜ、ビリー。

スモークがかった薄暗いステージの中央で、坊主頭のボーカリストがマイクに向かって両手を広げている。背景にはドラマーと、赤と白に光る縦長の照明が見える。
待ってたぜ、ビリー。

2025年9月17日 セットリストとハイライト

この日のセットリストは、新旧の楽曲を織り交ぜた、まさにベスト・オブ・スマパンと呼ぶにふさわしい内容だった。

  1. Glass’ Theme:オープニングを飾った荘厳なインスト。徐々に熱を帯びていくサウンドが、これから始まる長い夜への期待感を一気に高める。
  2. Heavy Metal Machine:重低音のリフとノイジーなサウンドが炸裂。武道館の床が振動するほどの音圧に観客も圧倒される。
  3. Today:あのあまりにも有名なアルペジオが鳴り響いた瞬間、歓声が爆発した。世代を超えて愛される名曲の力は絶大だ。
  4. Bullet With Butterfly Wings:「The world is a vampire!」のシャウトと共に、会場は再び熱狂の渦に。この曲の持つ破壊力は、今もなお健在だ。
  5. Muzzle:力強さとメロディアスさが同居する演奏。ビリーの歌声が会場を包み、観客は静かに聴き入りながらも拳を突き上げる。
  6. 1979:ノスタルジックでメロウなサウンドが、会場を心地よいグルーヴで包み込む。観客は体を揺らし、過ぎ去りし日々に思いを馳せる。
  7. Edin:実験的なムードを漂わせる楽曲。幻想的な照明演出とともに、空間が一瞬異世界のような雰囲気に変わる。
  8. Pentagrams:ダークでヘビーな響きが印象的。観客は重厚なリズムに身を委ね、じっとステージに釘付けになる。
  9. Take My Breath Away:静かでセンチメンタルな展開。観客は息を呑むように聴き入り、曲名通りに心を奪われる。
  10. Mayonaise:ファン待望の名曲。切なくも力強いギターが響き、観客の間からは小さな歓声と涙ぐむ姿も。
  11. Disarm:アコースティックの響きと鐘の音が会場に染み渡る。武道館全体が静まり返り、観客はじっと聴き入る特別な瞬間。
  12. Tonight, Tonight:壮大なストリングスとドラマチックな展開が美しい一曲。照明も相まって、幻想的な空間が創り出される。
  13. Cherub Rock:個人的なハイライト。Disney+で聴いたばかりのこの曲を生で体験できるとは。歪んだギターサウンドと疾走感が、脳を直接揺さぶる。これぞオルタナティブ。
  14. Sighommi:不穏で実験的な音の連なり。観客も耳を澄まし、バンドの新しい表現に引き込まれていく。
  15. Bodies:激しいシャウトと重厚なリフが炸裂。観客の中には頭を振る人も多く、場内の熱気が一気に高まる。
  16. Porcelina of the Vast Oceans:長尺の大作。静と動を行き来する展開に観客も身を委ね、広大な音の海に漂うような感覚に。
  17. Jellybelly:疾走感あふれるナンバー。バンドの勢いに観客も飛び跳ねるように応え、会場は熱狂の渦に。
  18. 999:硬質なリフと突き刺さるようなビートが印象的。実験的ながらもライブならではの迫力で圧倒する。
  19. Ava Adore:ダークで妖艶な雰囲気が魅力。ビリーがロングコートを纏い、まるで若き日のダースベイダーのようにステージを支配する。
  20. Stand Inside Your Love:ロマンティックで力強いバラード。観客同士が寄り添うように聴き入り、場内に優しい一体感が生まれる。
  21. Zero:アイコニックなリフと攻撃的なサウンド。観客は拳を突き上げ、バンドの演奏に応える。
  22. The Everlasting Gaze:重厚なギターリフが武道館を揺らす。ビリーのカリスマ性が炸裂する。
紫色の照明に照らされたステージで、ビリー・コーガンがギターを弾きながら歌い、その後ろでドラマーが演奏しているコンサートの様子。
ビリーのギタープレイは凄かった!幻想的な光の中、情熱的なパフォーマンスが繰り広げられる。
巨大なコンサート会場のステージ。天井には日本の国旗が大きく映し出され、ステージからは無数の白いスポットライトが客席に向かって放射状に伸びている。
日の丸の下で繰り広げられる、光と音の圧巻のパフォーマンス。
赤い照明に照らされたコンサート会場。ステージではフード付きのコートを着た歌手がスポットライトを浴び、その下には大勢の観客が集まっている。
まるで若き日のダースベイダーのような登場シーン
赤い照明に照らされたステージ上で、フードを被ったボーカルとギタリストがパフォーマンスしている様子。
赤い光の中、フードを被ったボーカルが熱唱。その姿はまるで未来の戦士のようだ。
薄暗いコンサート会場のステージで、力強いスポットライトを浴びながらパフォーマンスするビリー・アイリッシュとバンド。手前には大勢の観客が腕を上げて盛り上がっている。
光のシャワーが降り注ぐステージ
緑色の照明に照らされたステージで演奏するスマッシング・パンプキンズ。左にビリー・コーガン、右にジェームス・イハ、奥にドラマーが見える。
カンペを見ながら歌うイハ

メンバーそれぞれの輝き

ビリー・コーガンの声とギターは、まさに「オルタナキング」そのものだった。時に攻撃的に、時に優しく、その音色は驚くほど多彩だ。そして、ジェームス・イハのクールな佇まいと繊細なギター、ジミー・チェンバレンのパワフルかつ正確無比なドラム。この3人が揃ってこそ、スマッシング・パンプキンズなのだと再認識させられた。

新加入のキキ・ウォンも素晴らしかった。彼女はバンドに新しい風を吹き込んでいる。常に笑顔で、心から演奏を楽しんでいる姿は、見ているこちらも幸せな気持ちにさせてくれる。彼女の存在が、バンド全体のムードをよりポジティブなものにしているように感じた。

パフォーマンスの最後、ビリーはステージの中央に立ち、鳴り止まない拍手の中、会場の隅々まで見渡すように深々とお辞儀をした。その姿に、長年シーンの第一線を走り続けてきた王者の風格と、ファンへの誠実な感謝が滲み出ていた。

コンサートのステージに立つビリー・コーガン。背後にはドラマーと縦に並んだ白い照明があり、目の前の観客に両手を広げて感謝を伝えている。
鳴り止まない拍手の中、観客に深々と感謝を伝えるビリー・コーガン。

【Q&A】スマパン来日公演に関する疑問を解決

ここでは、読者の皆さんが抱えるであろう疑問について、今回の体験を元に回答していきたい。

スマパン 来日 チケットの入手方法は?

今回のように、一度完売しても機材解放席が後日販売されるケースがある。公式のアナウンスをこまめにチェックすることが重要だ。また、公式リセールサービスが利用できる場合もあるので、諦めずに情報を追い続けよう。

スマパン 来日 過去の公演は?

スマッシング・パンプキンズは過去に何度も来日公演を行っている。特にフジロック・フェスティバルなどの大型フェスへの出演も多く、日本のファンとの繋がりは深い。今回の武道館公演も、彼らの日本での歴史に新たな1ページを刻む、記念碑的なライブとなった。

スマパンはもう来日しない?

「スマパン 来日しない」という噂を耳にすることもあるが、今回の熱狂的なライブを見る限り、その可能性は低いと感じる。バンドは精力的に活動しており、ビリー・コーガンも日本のファンを大切に思っているはずだ。次回の来日を期待して待ちたい。

まとめ:伝説を目撃した夜、そして次なる旅へ

今回のスマパン 来日公演で得た最高の体験

偶然から始まったスマッシング・パンプキンズ、初のライブ体験。それは、私の音楽史に深く刻まれる、忘れられない夜となった。高校時代の友人の言葉は、正しかった。彼らの音楽は、CDで聴くのとは全く違う、生々しいエネルギーと生命力に満ちていた。武道館という特別な場所で、伝説のバンドの圧巻のパフォーマンスを体感できたことは、この上ない幸運だ。

そして、あの青いTシャツ。最初は少し気恥ずかしかったが、今ではこの夜を共にした戦友のように愛おしい。これを着て街を歩けば、きっと誰かが声をかけてくれるかもしれない。「昨日のライブ、最高でしたね」と。音楽は、人と人とを繋ぐ魔法だ。

さて、スマパンの次は、我らがOasisだ。決戦の地は東京ドーム。準備は万端。渋谷で開催されたポップアップストアのレポートも既に済ませ、グッズも手に入れた。最高の夜が、またやってくる。その模様も、もちろんPhotomoでお届けするつもりだ。お楽しみに。

→ Oasisとadidasのポップアップストア潜入レポートはこちら

日本武道館へのアクセス

場所: 日本武道館

住所: 〒102-8321 東京都千代田区北の丸公園2−3

公式サイト: https://www.creativeman.co.jp/artist/2025/09tsp/

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