リスボンに降り立ち、まず僕たちが目指すべき場所。それは、この街の「リビングルーム」とも呼ばれる場所です。石畳の路地を抜け、視界が一気に開けた瞬間に飛び込んでくる圧倒的な「広さ」と「光」。そこにあるのは、テージョ川の風と、鮮やかな黄色の回廊、そして空を突き刺すような凱旋門です。
今回は、デジタルマーケターとして「Web Summit」の熱気を感じつつ、一人のトラベラーとしてその建築美に心奪われたコルメシオ広場(Praça do Comércio)と勝利のアーチ(Arco da Rua Augusta)について、CityNomixの視点で綴ります。単なる観光スポットとして通り過ぎるには惜しい、この場所が持つドラマチックな風景と、撮影のヒントをシェアしましょう。
1. 圧倒的な開放感:リスボンの玄関口「コルメシオ広場」へ
「テレイロ・ド・パソ(宮殿広場)」という別名を持つこの広場は、かつてマヌエル1世の王宮があった場所です。1755年のリスボン大震災で王宮は崩壊しましたが、宰相ポンバル侯爵の手によって、幾何学的で整然とした美しい広場へと生まれ変わりました。

広場に足を踏み入れると、まずそのスケール感に圧倒されます。2026年2月の曇り空の下でも、その荘厳さは健在でした。コの字型に広場を囲む政府庁舎の黄色いファサード、足元に広がる石畳、そしてそこを横切るトラムの線路。これらすべてが、リスボンという街の歴史の厚みを物語っています。

広場の南側はテージョ川に面しており、かつては船で訪れる王族や大使を迎える「海の玄関口」でした。川沿いに立つと、対岸の景色と広い空が一体となり、ここがヨーロッパの西の果てであることを実感させてくれます。この開放感こそが、コルメシオ広場の最大の魅力です。
2. 【建築美】勝利のアーチ:見上げるディテールとフレーム構図
広場の北側、メインストリートであるアウグスタ通りの入り口にそびえ立つのが、勝利のアーチ(Arco da Rua Augusta)です。大震災からの復興を記念して建てられたこのアーチは、単なる門ではなく、不屈の精神の象徴でもあります。
石造りの精巧なレリーフを見上げる

多くの観光客は通り過ぎるだけですが、ぜひアーチの真下で足を止めて、真上を見上げてみてください。そこには、驚くほど精緻な石造りの世界が広がっています。時計のデザイン、ポルトガルの紋章、そしてアーチ内部の格天井(ごうてんじょう)のような装飾。モノトーンに近い石の質感が、曇り空の光を浴びて重厚な陰影を作り出しています。

さらに視線を上げると、頂上には「栄光(Glory)」の女神が、「天才(Genius)」と「勇気(Valor)」に冠を授ける群像彫刻が鎮座しています。青空を背景にしたその姿は、まさに圧巻の一言。望遠レンズを持っているなら、この彫刻の表情まで切り取ってみるのも面白いでしょう。
アーチを「額縁」にするフレーム構図

写真好きにおすすめしたいのが、アーチを「額縁」として使う構図です。アウグスタ通り側から広場の方を向くと、アーチの開口部が巨大なフレームとなり、その奥にあるジョゼ1世の騎馬像を切り取ることができます。建物のパースペクティブが視線を中央へと導き、奥行きのあるドラマチックな一枚になります。

逆に、アーチの真下から広場を望むアングルも素晴らしいです。巨大な石柱が左右を固め、その向こうに広がる広場と騎馬像、そして空のコントラスト。これぞ「リスボンの顔」と呼べる風景です。
3. 【色彩美】「ポンバル様式」の黄色い回廊(アーケード)
コルメシオ広場を特徴づけているのが、広場を囲む建物の鮮やかな「黄色」です。これは18世紀の復興期に採用された「ポンバル様式」の特徴的な色彩であり、リスボンの青い空や白い石畳と絶妙なコントラストを生み出しています。

建物の1階部分は回廊(アーケード)になっており、ここがまたフォトジェニックなスポットです。白いアーチと黄色い壁が規則正しくどこまでも続く様子は、幾何学的な美しさに満ちています。天井から吊るされた黒いランタンがアクセントになり、クラシックな雰囲気を醸し出しています。
撮影のポイント:
回廊の中で、あえて中心を外して奥行きを強調するようなアングルで撮ってみましょう。あるいは、人物を立たせてポートレートを撮るのもおすすめです。光と影のリズムが、被写体を美しく引き立ててくれます。
4. 【歴史×現代】Web Summitと広場の賑わい
コルメシオ広場は、単なる歴史遺産ではありません。現代においては、世界最大級のテクノロジーカンファレンス「Web Summit」の開催都市・リスボンを象徴する場所でもあります。

私が訪れた際、歴史ある勝利のアーチを背景に、巨大な「Web Summit」のロゴオブジェが設置されていました。18世紀の凱旋門と、21世紀のテックイベントの象徴。この「新旧の対比」こそが、今のリスボンの面白さです。多くのテック関係者がここで記念撮影をしていましたが、それは単なる「映え」写真ではなく、歴史の上に新しい文化が積み重なっていることの証明のように感じられました。

その喧騒の中心で、静かに街を見守っているのが、広場の中央に立つドン・ジョゼ1世(D. José I)の騎馬像です。彼は大震災当時の王であり、この像もまた復興のシンボル。足元の台座に施された彫刻も非常に立派で、象が描かれているなど、かつての大航海時代の栄光も感じさせます。
5. リスボン観光を深めるためのTipsと周辺情報
最後に、このエリアをより深く楽しむための情報を、よく検索されるキーワードに基づいて整理しておきます。
コルメシオ広場の銅像について
広場の中央にある騎馬像は、前述の通りジョゼ1世です。彫刻家マシャード・デ・カストロによる傑作で、戦わずして威厳を示す王の姿が表現されています。夜にはライトアップされ、昼間とは違った幻想的な雰囲気になるので、ディナーの後に立ち寄るのもおすすめです。
コメルシオ広場とリスボアカード
広場内には観光案内所「Ask Me Lisboa」があり、ここで観光に便利な「リスボアカード(Lisboa Card)」を購入・引き換えが可能です。リスボアカードがあれば、勝利のアーチの展望台(Elevador)への入場が無料になるほか、トラムや地下鉄も乗り放題になります。効率よく観光するなら、まずはここでカードを入手しましょう。
周辺のポルトガル広場巡り:ロシオ広場
コルメシオ広場からアウグスタ通りを北へまっすぐ歩くと、もう一つの重要な広場、ロシオ広場(Praça do Rossio)に到着します。正式名称はペドロ4世広場。波打つような石畳の模様が特徴的で、より庶民的で賑やかな雰囲気です。この2つの広場を結ぶアウグスタ通りは、カフェやショップが立ち並ぶ歩行者天国なので、散策に最適です。
サン・ジョルジェ城とリスボン大聖堂
コルメシオ広場から東側の丘を見上げると、サン・ジョルジェ城(Castelo de São Jorge)が見えます。広場から徒歩(またはトラム28番)でアクセスでき、城壁からは広場とテージョ川を一望する絶景が楽しめます。また、その途中にはリスボン最古の教会であるリスボン大聖堂(Sé de Lisboa)もあります。広場を起点に、アルファマ地区の歴史散策へ出かけるのも良いでしょう。
発見のモニュメントへのアクセス
大航海時代の偉人たちが並ぶ発見のモニュメント(Padrão dos Descobrimentos)は、ここから少し離れたベレン地区にあります。コルメシオ広場前の電停からトラム15番に乗れば、約20〜30分でアクセス可能です。「海の玄関口」の歴史繋がりで、セットで訪れるのが定番のモデルコースです。
まとめ:リスボンの「光」を感じる場所
コルメシオ広場は、リスボンの過去と現在が交差する、まさに街の心臓部です。建築好きならそのポンバル様式の美しさに、テック業界人ならWeb Summitの熱気に、そして旅人ならテージョ川の風に、それぞれの魅力を感じるはずです。
アクセスは、私が宿泊した「ホテル サンタ ジュスタ」からも徒歩圏内で、朝の散歩にも最適でした。ぜひ、カメラを片手に、このドラマチックな広場を歩いてみてください。そこには、ガイドブックには載っていない、あなただけの発見が待っているはずです。
公式サイト:https://castelodesaojorge.pt/
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