はじめに:雨のロンドン、Oasis聖地巡礼へ
2024年11月13日、小雨がぱらつく午後。私はイギリス・ロンドンのBerwick Streetに立っていました。ここは、英国ロックの金字塔、Oasisの2ndアルバム「(What’s The Story) Morning Glory?」のジャケット写真が撮影された場所です。Oasisは昨年再結成を果たし、今年ワールドツアーを行う予定です。10月の日本公演を心待ちにしながら、ファンとしてこの聖地を訪れることは、私にとって特別な意味を持ちます。実際、この通りを歩くだけで満たされる、そんな感覚に包まれました。

Berwick Streetの魅力とOasisの記憶

Berwick Streetは、かつて多くのレコード店が軒を連ねた、音楽ファンには有名な通りでした。しかし、時代の流れとともにその数は減りました。それでもなお、今も輝きを放つ人気店がここには残っています。その中でも特に外せないのが、アルバムジャケットにも写っている老舗レコードショップ「Sister Ray」です。私が初めて訪れたのは2000年のこと。そして今回が4回目の訪問となります。毎回、その魅力的なたたずまいと音楽愛にあふれるディスプレイに心惹かれてきました。
通りの雰囲気を肌で感じながら、期待に胸を膨らませてSister Rayの扉を開きました。さあ、どんな出会いが待っているのでしょうか。
Sister Ray探訪:音楽の宝庫を巡る

Sister Rayの魅力は、まずその外観から始まります。音楽への深い愛情が感じられるウィンドウディスプレイは、訪れるたびに新たな発見があり、つい足を止めて見入ってしまいます。まさに、音楽好きの心をくすぐる仕掛けです。
1階:CDの森とプロモ盤への期待
1階はCDが中心のフロアです。壁一面に広がるCDの棚は圧巻で、まるで音楽の森に迷い込んだかのよう。また、レジ前にはお得な新品CDが並んでいることもあり、見逃せません。中古コーナーでは、時折レアなプロモーション盤に出会えることもあります。プロモーション盤とは、アーティストがメディアや店舗へのプロモーション用に制作したもので、通常盤とは異なるデザインやフォーマットのCDやレコードなどを指します。しかしながら、年々そういった貴重なアイテムや中古盤が少なくなってきているのは、デジタル化の波を感じ、少し寂しい気もします。
地下:アナログレコード天国へ
そして、階段を降りると現れるのが、待ちに待った地下のアナログレコードフロアです。Sister Rayの素晴らしいところは、新品も中古もアーティストごとに整理されていて、非常に探しやすい点にあります。特に、新品の品揃えは充実しており、時間を忘れて没頭してしまうほどです。まさに、レコード愛好家にとっては至福の空間と言えるでしょう。
もちろん、私が真っ先に向かったのはOasisのセクションでした。期待通り、今回も貴重なプロモ盤を発見することができました。その瞬間は、まさに宝探しで大当たりを見つけたような高揚感がありました。
戦利品紹介:心躍るレコードたちとの出会い
今回のSister Rayでの最大の収穫は、やはりOasisのプロモ盤レコードです。これらはコレクターズアイテムとしても非常に価値があります。
Oasisプロモ盤:ファン垂涎の逸品

まず見つけたのは、「(What’s The Story) Morning Glory?」のリマスター盤リリースを記念して配布された「Acquiesce」の片面12インチプロモ盤(RKID74T)です。裏面がホワイトレーベル仕様になっている点は、コレクター心をくすぐります。

続いて、アルバム「Be Here Now」のリマスター盤リリース時にプロモーション用に制作された「Stand by me」の12インチプロモ盤も発見しました。B面には「(I Got) The Fever」が収録されています。これらの発見は、ロンドンまで来た甲斐があったと心から思える瞬間でした。
Liam GallagherソロとSmashing Pumpkins:運命の出会い

さらに、7インチコーナーを物色していると、元Oasisのフロントマン、Liam Gallagherのソロ活動からのシングルレコードが4枚、ちょうどよく揃っているのを発見しました。彼のソロキャリアも追いかけているファンとしては見逃せず、こちらも迷わず購入しました。まさに、嬉しい偶然です。

そして、次に目に飛び込んできたのはThe Smashing Pumpkinsの2001年にリリースされたベストアルバム「Rotten Apples: Greatest Hits」の初アナログ盤(180グラム重量盤)が目に飛び込んできました。実は、「(What’s The Story) Morning Glory?」とThe Smashing Pumpkinsの諸作品は、ほぼ同時期に夢中になって聴いていたのです。そのため、これは運命的な出会いだと感じ、こちらも購入リストに加えました。
現地のスタッフとレコード愛好家たち:共鳴する音楽愛
Sister Rayのスタッフは、いつもフレンドリーで親切な方が多い印象です。探しているレコードが見つからない、おすすめを尋ねたい時など、気軽に声をかけられます。今回も、Oasisのプロモ盤について少し話を伺うことができ、音楽談義に花が咲きました。彼らの音楽に対する情熱が、お店の温かい雰囲気を作り出しているのだと改めて感じました。
店内には、私と同じように熱心にレコードを探す人々の姿がありました。国籍も年齢も様々です。しかし、真剣な眼差しで棚を眺め、お目当ての一枚を見つけた時の嬉しい表情は共通でした。こうした光景を見ているだけでも、音楽の持つ力を再認識させられます。
まとめと再訪を誓う理由:SOHOの音楽的魅力とSister Ray
Sister Rayは、Oasisファンにとっての聖地であることはもちろん、全ての音楽好きにとって訪れる価値のある素晴らしいレコードショップです。豊富な品揃えと見やすい店内、そしてフレンドリーなスタッフ。これらの要素が完璧に融合し、最高のレコード探しの体験を提供してくれます。
SOHO地区の音楽ハブとしての魅力
また、Sister Rayが位置するロンドンのSOHO地区は、まさに音楽のハブと言えるでしょう。例えば、Reckless Records(ここについては、また別の記事で詳しくご紹介します!)、Phonica Records、Sounds of the Universe、Rough Trade Vintage、さらにはThird Man Records Londonなど、個性豊かなレコードショップが点在しています。そのため、一日中音楽探訪を楽しむことができます。特に、Oasisファンなら、このエリアを訪れない手はありません。
周辺には美味しいレストランやカフェもたくさんあります。さらに、END.やAimé Leon Doreといった人気のファッションセレクトショップなども充実しており、音楽以外の楽しみも満載です。雨の日の訪問となりましたが、心は晴れやかでした。手に入れたレコードの重みとともに、次回の訪問を固く誓い、Sister Rayを後にしました。
Photomoでは、これからも「歩いて、撮って、書く」をテーマに、世界の街角で見つけたカルチャーを発信していきます。次回のレポートもお楽しみに。
訪問場所情報
店名: Sister Ray
住所: 75 Berwick St, London W1F 8RP イギリス
公式サイト: http://www.sisterray.co.uk/