有楽町、喧騒の先にある「本物」との出会い
2025年5月25日、日曜日。少し雲が空を覆う、穏やかな午前11時。私が向かったのは、東京・有楽町に佇む阪急メンズ東京。目的はただ一つ、ナイジェル・ケーボンのフロアへ足を運ぶこと。なぜなら、その日は待ちに待ったペルソナカードの15%優待が適用される日。そう、今日はナイジェル・ケーボンのアイテムたちと心ゆくまで向き合う、特別な日なのです。
ナイジェル・ケーボンというブランドについて、少し語らせてください。デザイナーのナイジェル・ケーボン氏は、1967年から1971年にかけて英国ノーザンブリア大学に在籍し、卒業を待たずして自身のブランドCRICKET(後のNigel Cabourn)を始動させました。彼は世界的に著名なヴィンテージクロージングコレクターであり、その膨大なコレクションは4000点を超えると言われています。まさに圧巻です。
そのコレクションからインスピレーションを受け、ミリタリーやワークウェアをルーツに持つ数々の名作を生み出してきました。エベレスト登頂を目指した登山家ジョージ・マロリーの名を冠した「マロリージャケット」や、英国陸軍のヴィンテージと米軍のM-43、M-51カーゴパンツを融合させた「アーミーカーゴパンツ」などは、彼の探究心と創造性の結晶と言えるでしょう。その哲学は、店舗のサインにも見て取れます。「Nigel Cabourn THE ARMY GYM」という言葉には、ブランドの核となる精神性が凝縮されているように感じます。
阪急メンズ東京7階、静謐な空間に息づく歴史の断片
阪急メンズ東京に到着し、迷わずエレベーターで7階へ。扉が開くと、そこはもうナイジェル・ケーボンの世界。いつもながら、重厚で落ち着いた雰囲気に包まれた店内は、まるで時が止まったかのようです。並べられた衣服たちは、単なる商品ではなく、一つひとつが物語を秘めた作品のように見えます。

早速、馴染みのスタッフさんに声をかけ、25SSシーズンで予約していた商品の受け取りを告げます。予約会で触れたのはサンプル品。そのため、製品版の仕上がりを自身で確かめるこの瞬間は、いつも胸が高鳴ります。これぞナイジェルケーボン レビューの醍醐味とも言えるでしょう。
予約アイテムとの対面:ディテールに宿る魂
まず目の前に現れたのは「バトルドレスショーツ」。私の記憶ではデニム色を予約したつもりでしたが、スタッフさんから「グリーンですよ」と優しく訂正が。記憶とは曖昧なものです。試しにデニムも見せていただき、やはりグリーンだったことを再確認。普段はサイズ34を愛用していますが、スタッフの方がワンサイズ、時にはツーサイズアップして着用されていると聞き、今回は36を試してみることに。
最初は少し大きく感じましたが、これが不思議と全体のバランスを取りやすくしてくれるのです。スタッフさん曰く「裾が広がることで、夏場は涼しく過ごせますよ」とのこと。長年ブランドに携わる彼らのアドバイスは、いつも的確で信頼できます。ショーツは36で決定。ちなみに、このブランドを代表する「ブリティッシュアーミーパンツ」や「レイルマンデニムパンツ」も、その堅牢な作りと普遍的なデザインで知られ、いつかは手に入れたい逸品です。
次に「ナイジェル・ケーボン × スイコック モギサンダル」。予約会ではサイズサンプルが一つしかなく、8と9を履き比べて小さい方に。足元から個性を演出してくれる、頼もしい相棒になりそうです。
続いては、絶妙な色合いが魅力の「7.8オンス ベーシックTシャツ(ピグメント)」。これは定番中の定番。間違いのない選択です。サイズもぴったり。
そして、本日のメインディッシュ、「キャップスリーブワッペンジャケット(コットンナイロンピンオックス)」。袖や胸元にあしらわれたヴィンテージ調のワッペンが、たまらなく格好良い。カタログでは襟を折っていましたが、個人的には立てて着るのが好み。これも問題なく、私のワードローブに加わることになりました。このジャケットの細部を見れば見るほど、ナイジェル・ケーボンのこだわりが伝わってきます。
予期せぬ出会い:店内に広がる物欲の森
予約品の確認という「儀式」を終え、店内をゆっくりと見て回る時間。これもまた、ナイジェル・ケーボン訪問の大きな楽しみの一つです。すると、ふと目に飛び込んできた「コットンビーニー」。以前COMME des GARÇONSで購入したばかりだというのに、またしても手が伸びてしまう。しかし、これはリネン混で、特にブラックは驚くほど柔らかい。デニム色も試しましたが、こちらはやや硬めの質感。スタッフさんも個人で購入し、少し伸ばして使っているとのこと。こういうリアルな情報交換も、専門店ならではの魅力です。
さらに、スタッフさん一押しの「ブリティッシュオフィサーズシャツ(タイプ2 チェック)」。ナイジェル・ケーボンの製品は、「今買えるヴィンテージ」を標榜するだけあって、地厚で重厚なものが多い印象です。しかし、このシャツは驚くほど薄手。どこか懐かしい、既視感を覚える風合いです。「昔、古着屋で見たラルフローレンのシャツに似ていませんか?」とスタッフさん。まさにその通り。その言葉に背中を押され、柄も気に入ったため、こちらも購入決定。ナイジェルケーボン レビューとして、このシャツの軽やかさとヴィンテージ感は特筆すべき点です。
店内には他にも、「ヘンプキャンバスパンツ」のような名作や、上質なレザーベルト、雰囲気のあるバッグ、サスペンダーといった小物類も充実しています。どれもこれも、ブランドの世界観を雄弁に物語っています。




ちなみに、阪急メンズ東京の店舗では、同じ会社が運営するアメリカのアウトドアブランド「フィルソン(FILSON)」の製品も一部取り扱っているようです。無骨ながらも洗練されたフィルソンのアイテムも、ナイジェル・ケーボンのファンならきっと琴線に触れるはず。

ナイジェル・ケーボンの真髄:受け継がれるべき価値
今回手に入れたアイテムたちを並べてみると、実に壮観です。ジャケット、サンダル、ビーニー、Tシャツ、ショーツ、そしてシャツ。どれもが、これから長い時間を共に過ごすであろう、信頼できる相棒です。


ナイジェル・ケーボンの洋服は、とにかく丈夫で機能的。そして何よりも、着心地が良い。特にボトムスの快適さは格別で、私のクローゼットのボトムスは、そのほとんどがケーボン製品と言っても過言ではありません。「今買えるビンテージ」を目指し、細部のディテールまで徹底的に作り込まれています。そして、商品一つひとつに、デザイナーの情熱や歴史的背景といったストーリーが宿っているのです。
だからこそ、根強いファンが多く、二次流通市場でも非常に高値で取引されるブランドとして知られています。初めてその価格を目にすると、少し驚くかもしれません。しかし、ペルソナカードの優待などを賢く利用したり、二次流通での価値を考慮したりすれば、決して高い買い物ではないと私は思います。
最後に、最も重要なことを。ナイジェル・ケーボンの洋服は、着れば着るほど体に馴染みます。着心地が向上するだけでなく、まるで長年連れ添ったヴィンテージウェアのような、深みのある表情へと変化していくのです。まさに「洋服を育てる」という感覚。これこそが、多くの人々を魅了し、二次流通市場でも高い評価を得る最大の理由なのでしょう。
今回も素晴らしい品々との出会い、そしてスタッフの方々との心地よい時間に感謝です。また必ず訪れたい、そう思わせてくれる場所。有楽町でのショッピングは、東京で体験できるbest things to do in Tokyo(東京で体験すべき最高のこと)の一つとして、私の心に深く刻まれました。次回の訪問は、いつになるでしょうか。その日を心待ちにしたいと思います。
公式サイト: https://cabourn.jp/
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