ノッティングヒルの誘惑:Music & Video Exchangeで探す、私だけのロンドン音楽旅行の宝物

ノッティングヒルの喧騒と静寂、そしてMusic & Video Exchangeへの変わらぬ引力

ロンドンのノッティングヒル。その名を耳にするだけで、カラフルな家並みや活気あるポートベロー・マーケット、そして映画『ノッティングヒルの恋人』のロマンティックなシーンを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、私、CityNomixにとって、この街はそれだけではありません。学生時代、Oasisへの熱狂と共に初めてこの地を訪れて以来、特別な思い入れのある場所なのです。

当時はスマートフォンもGoogle Mapもなく、頼りになるのはホテルの分厚い電話帳だけ。そのページをめくり、「Music & Video Exchange」という名前を見つけた時の高揚感は、今でも鮮明に覚えています。Oasisのレアなレコードを求め、期待に胸を膨らませて向かったあの日。それが、この店との長い付き合いの始まりでした。

Music & Video Exchangeとの再会:看板は変わらず。しかし、時代の変化も感じる

Music & Video Exchange の赤い店舗看板のクローズアップ写真
かつてお宝探しに胸を躍らせた、ロンドンの Music & Video Exchange の看板。

2023年11月11日、土曜日の夕暮れ時。曇り空の下、久しぶりにその店の前に立ちました。鮮やかな赤い看板は、記憶の中のそれと少しも変わっていません。まるで時が止まったかのような錯覚を覚えますが、周囲の風景や店の佇まいには、確実に歳月の流れが刻まれていました。

かつての賑わいと現在の姿

私が初めて訪れた頃、Music & Video Exchangeはノッティングヒル界隈に5店舗以上を展開する、まさに中古音楽メディアの帝国でした。それぞれの店が異なるジャンルやフォーマットを専門とし、一日中巡っても飽き足りないほどの品揃えを誇っていたのです。しかし、現在はこの目の前にある1店舗と、系列店が数えるほどに。時代の移り変わりと共に、その姿を変えてきたことは否めません。

それでも、この赤い看板を見上げると、胸が躍るのです。それは、かつてここで体験した「発見の喜び」が、今も鮮やかに蘇るからでしょう。単なる中古店ではなく、音楽への探求心を満たしてくれる特別な場所。それが私にとってのMusic & Video Exchangeなのです。

店内の探索:レコードの海へダイブ

一歩足を踏み入れると、そこはまさに中古レコードの海。壁一面にぎっしりと並べられたレコードジャケットは、それだけで圧巻の光景です。CDやカセットテープも豊富に揃っており、オールジャンルを網羅するその品揃えは健在。どのレコードショップよりも中古の取り扱いが多いという印象は、今も変わりません。

プロモーション盤探しの記憶と現実

学生時代の私は、ここでいわゆる「プロモーション盤」「レア盤」と呼ばれる貴重なアイテムを血眼になって探していました。アーティストがラジオ局や雑誌社にプロモーション用に配布する、通常盤とはデザインが異なるレコードやCDのことです。これらがイギリスではコレクターズアイテムとして流通しており、ここMusic & Video Exchangeでは驚くほど手頃な価格で見つけることができたのです。

Oasisの片面のみ収録されたプロモ盤や、真っ白なレーベルのテストプレス盤を見つけた時の興奮は、筆舌に尽くしがたいものがありました。日本で買うよりも格段に安く手に入るため、限られた予算の中で最大限の戦利品を得ようと必死でした。それは、まさに宝探しの冒険そのものだったのです。

しかし、近年は世界的なレコードブームの影響もあり、ここMusic & Video Exchangeでも、かつてのようなお宝に巡り合うのは容易ではなくなりました。ロンドン 中古レコード市場全体で良質な盤が減っているのを感じます。今回も1時間ほど念入りに棚を物色しましたが、残念ながら「これぞ!」という一枚には出会えませんでした。

Coldplayのカセットテープ事件:一瞬の逡巡が招いた小さな後悔

店内を巡っていると、ふとColdplayの初期のカセットテープが目に留まりました。「お、これは珍しいな。欲しいかも…」と思った瞬間、隣にいた別のお客さんがそれを手に取り、レジへと向かってしまったのです。ほんの一瞬の逡巡が招いた、小さな、しかし確かな後悔。この店では、気になるものを見つけたら迷わず確保するべきだ、という教訓を改めて胸に刻みました。価格が良心的なだけに、競争率も高いのです。

この体験は、まさにPhotomoが伝えたい「感覚」そのもの。手に入れられなかった悔しさ、一期一会の切なさ。これらもまた、街歩きとショッピングの醍醐味と言えるでしょう。

レコードハンティングのリアル:ロンドンの現状とMusic & Video Exchangeの価値

ロンドン全体で中古レコードの数が減少し、価格も上昇傾向にある中で、Music & Video Exchangeのような存在はますます貴重になっています。確かに、以前のように誰もが驚くようなレア盤がゴロゴロしているわけではないかもしれません。それでも、他店では見かけないような珍しいタイトルや、手頃な価格の掘り出し物に出会える可能性は十分にあります。

特に、これからロンドンでレコードハンティングをしたい人や、特定のアーティスト、例えばOasisのレコードをロンドンで探しているファンにとっては、依然として訪れる価値のある場所です。デジタルでは味わえない、フィジカルなメディアを探す喜び。それを体験できる数少ない聖地の一つと言えるでしょう。

もしあなたがイギリスでレア盤やプロモ盤を探しているのであれば、根気強く棚をチェックすることをおすすめします。いつ、どんなお宝に出会えるかは、その時の運とタイミング次第。それもまた、この店の魅力なのです。

それでも、また足を運びたくなる理由:CityNomix的視点

結局のところ、今回の訪問では目当てのレコードを手にすることはありませんでした。しかし、店を出る私の心は不思議と満たされていました。それは、この場所が単なる「モノ」を売る店ではなく、音楽を通じた「体験」や「記憶」と深く結びついているからでしょう。

学生時代の興奮、Oasisへの情熱、プロモ盤を発見した時の喜び。それらが蘇るこの空間に身を置くだけで、私は満たされるのです。そして、「次こそは!」という新たな期待が湧いてくる。だから、私の足は自然とまたこの店へ向かうのでしょう。

これは、単なるロンドン 音楽旅行の一コマに留まらない、私自身の歴史と繋がるパーソナルな体験なのです。

訪問を考えているあなたへ:Music & Video Exchangeを楽しむためのヒント

もしあなたがMusic & Video Exchangeを訪れるなら、いくつか心に留めておいてほしいことがあります。

おすすめポイント

  • 圧倒的な中古レコードの在庫量:オールジャンルを網羅。じっくり時間をかけて探す価値あり。
  • 良心的な価格設定:予算が限られている学生や、多くのレコードを求めるコレクターにも優しい。
  • レア盤との出会いの可能性:プロモーション盤など、思わぬお宝が見つかることも。根気と運が試されます。
  • CDやカセットテープも充実:レコードだけでなく、他のフォーマットの音楽メディアも探せます。

訪問の際の注意点

  • 欲しいものは即確保:良心的な価格のため、人気商品はすぐに売れてしまう可能性があります。迷ったらまずキープ。
  • 時間に余裕を持って:膨大な在庫の中からお目当ての一枚を探すには時間が必要です。最低でも1時間は見ておくと良いでしょう。
  • 期待しすぎない、でも諦めない:必ずしもお宝に出会えるとは限りませんが、探すプロセス自体を楽しむ心構えで。

ノッティングヒルという魅力的なエリアに位置するMusic & Video Exchangeは、音楽好きなら一度は訪れてみる価値のある場所です。映画のロケ地巡りやマーケット散策の合間に、ぜひ立ち寄ってみてください。あなただけの特別な一枚との出会いが待っているかもしれません。

店舗情報

Music & Video Exchange (Notting Hill)
公式サイト: https://www.mfeshops.com/musicvideonh

詳しい場所はこちらの地図でご確認ください。

また、ロンドンへ行く際には必ず立ち寄ろう。そう心に誓い、私はMusic & Video Exchangeを後にしました。次回の訪問では、どんな音楽との出会いが待っているのでしょうか。その日を、今から楽しみにしています。

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