CityNomixです。デジタルマーケティングの世界でデータと格闘する日々を送る私が、週末に求めるのは「ノイズ」です。それも、心地よいノイズ。今回は、東京・御茶ノ水で出会った、ある種のノイズ——ビースティボーイズのハードコア・パンクな側面に触れるレコードハントの記録をお届けします。
御茶ノ水という街は不思議な磁場を持っています。学生街であり、古書店街であり、そして世界有数の楽器店街。ここには、何かを探求する人々の熱気が蓄積されているように感じます。そんな街の一角にある「ディスクユニオン御茶ノ水駅前店」は、私の定期巡回ルートの一つです。
HIP HOPとPUNKの境界線で出会う
2026年2月3日、夕暮れ時の御茶ノ水。ふらりと立ち寄ったディスクユニオンで、私はある違和感に引き寄せられました。それは「USED HIP HOP」の棚と「PUNK/HARDCORE」の棚のちょうど境界線あたり。ジャンル分け不能なエネルギーを発する数枚のレコードが、私を呼んでいたのです。
手に取ってみると、それは90年代ストリートカルチャーのアイコン、ビースティボーイズのアナログ盤たちでした。しかし、これらはただのヒットアルバムではありません。彼らのルーツであるハードコア・パンクへの回帰や、実験精神が色濃く反映された「裏」名盤とも呼べるEPやシングルたち。しかも全てUSオリジナル盤です。
1. 衝動のハードコア回帰『Aglio E Olio』
まず最初に目に飛び込んできたのがこちら。

1995年リリースのEP『Aglio E Olio』。イタリア語で「ニンニクと油」を意味するこのタイトル通り、シンプルで刺激的なハードコア・パンク・トラックが詰め込まれています。『Ill Communication』での成功の裏で、彼らがどれほど純粋に「バンドで音を出すこと」を楽しんでいたかが伝わってくる一枚。
ジャケットの万力で締め付けられるイラストのラフさも、当時のスケートカルチャーやZINE(ジン)の空気感を纏っていて最高です。針を落とすと、わずか10分強で駆け抜ける疾走感。デジタル全盛の今だからこそ、この「初期衝動」のアナログな手触りは貴重です。価格は2,650円。この歴史的ピースを手に入れる対価としては、あまりに安すぎると感じました。
2. 若き日の暴走の記録『Some Old Bullshit』
続いて確保したのが、この犬のジャケット。

『Some Old Bullshit』は、彼らがヒップホップ・スターになる前、まだ悪ガキパンクスだった頃の音源(「Polly Wog Stew」EPなど)をまとめたコンピレーション盤です。タイトルからして「昔のたわごと」と自嘲していますが、中身は本物のハードコア。
3,650円という価格も魅力的。現在のビースティボーイズの洗練されたイメージとは対極にある、粗削りで暴力的なエネルギー。しかし、その中にも既に彼ら特有のユーモアやセンスの萌芽が見て取れます。これを聴かずして彼らの歴史は語れません。
3. 武道館の熱狂を刻む『Gratitude』
そして最後の一枚は、個人的に最もテンションが上がった発見です。

名曲「Gratitude」の12インチシングル。MCA(アダム・ヤウク)が鳴らす、あの極太のファズベースが脳髄を揺らします。しかし、この盤の真の価値はB面にあります。なんと、日本の武道館でのライブ音源が収録されているのです。
4,650円と今回の中では最高値でしたが、日本で発見することに意味がある一枚。USオリジナル盤でありながら、日本の空気を含んでいる。このストーリー性こそが、レコードディグの醍醐味です。
CityNomix的視点:なぜ今、90年代USオリジナル盤なのか
今回の収穫から、読者の皆さんに共有したい「実践的な価値」は以下の3点です。
1. 手の届く「本物」のヴィンテージ体験
60年代や70年代のロック名盤のオリジナルは高騰しすぎて手が出にくいですが、90年代のビースティボーイズ周辺のレコードは、まだ2,000円〜5,000円程度で良質なオリジナル盤が手に入ります。投資価値としても、純粋なリスニング体験としても、今が狙い目です。
2. 「聴く」だけではないインテリアとしての価値
今回紹介した3枚を見ても分かる通り、Grand Royal(彼らのレーベル)時代のデザインワークは秀逸です。ビースティボーイズ Tシャツのデザインにも通じる、クールでキッチュなアートワークは、部屋に飾るだけで空間を90年代の空気感に変えてくれます。
3. 御茶ノ水でのディグのコツ
ディスクユニオン御茶ノ水駅前店は、商品の回転が早いです。特に「新着コーナー」だけでなく、ジャンルの境目(今回のようにHIP HOPとPUNKの間など)を重点的にチェックすることをおすすめします。店員さんが分類に迷うようなジャンルレスな名盤が眠っていることが多いからです。
ビースティ・ボーイズをさらに深く楽しむために
ここからは、今回の記事に関連するキーワードを深掘りし、ビースティ・ボーイズの世界をより多角的に楽しむための情報をお届けします。
ビースティ・ボーイズ Tシャツとストリートファッション
彼らの音楽と同様に、ファッションもまた強烈な影響力を持ち続けています。ヴィンテージのビースティ ボーイズ Tシャツは現在、古着市場で高騰していますが、その魅力は色褪せません。特に90年代の「Grand Royal」ロゴや、今回紹介した『Aglio E Olio』のようなラフなグラフィックがプリントされたものは、シンプルなデニムスタイルに合わせるだけで様になります。現行の復刻版も多く出ているので、レコードジャケットのアートワークとリンクさせたコーディネートを楽しむのも一興です。
名曲の数々と映画的な世界観
ビースティ ボーイズ 曲といえば、「Sabotage」や「Fight For Your Right」が有名ですが、今回紹介した「Gratitude」やハードコア・トラックも彼らの真骨頂です。また、彼らのミュージックビデオは短編映画のような完成度を誇ります。スパイク・ジョーンズが監督した「Sabotage」のMVは、70年代刑事ドラマのパロディとしてあまりに有名。ビースティ ボーイズ 映画としての側面から彼らを追うのも面白いでしょう。ドキュメンタリー映画『ビースティ・ボーイズ・ストーリー』では、メンバー自身がその歴史を語っており、必見です。
メンバーの現在と「インターギャラクティック」な遺産
残念ながらMCAの逝去によりバンド活動は終了しましたが、ビースティ ボーイズ メンバーであるAd-RockとMike Dは、現在も様々な形でカルチャーに関わり続けています。彼らが残した音楽は、代表曲ビースティ ボーイズ インター ギャラクティックのように、世代や国境を超えて響き続けています。今回手に入れたレコードのように、彼らの遺産は物理的な形でも残り続け、私たちリスナーの手元で回り続けるのです。「シュア ショット」を狙って、ぜひ皆さんもレコード店へ足を運んでみてください。



