SOHOの喧騒に佇む、音楽の探求者を誘う光
CityNomixです。デジタルマーケティングの喧騒から離れ、街の鼓動を肌で感じる旅。今回は、ロンドンの心臓部、SOHO地区のPoland Streetに足を運びました。時刻は2024年11月17日の18時過ぎ、空はロンドンらしい曇り空。この時間帯のSOHOは、仕事帰りの人々や観光客で賑わいを見せ始め、独特の活気に満ちています。そんな喧騒の中に、ひっそりと、しかし確かな存在感を放つ一軒のレコード店があります。それが、Phonica Recordsです。
エレクトロニックミュージックを中心に、新旧問わず幅広いジャンルのレコードを取り扱うこの店は、ロンドンの音楽シーンにおいて重要な役割を担ってきました。DJや熱心な音楽コレクターはもちろん、私のように新たな音楽との出会いを求める者にとっても、ここはまさに聖地のような場所。ウィンドウに並ぶレコードジャケットは、まるでアートギャラリーのようで、道行く人々の足を止めさせます。
私がPhonica Recordsに惹きつけられる2つの理由
私がロンドンを訪れるたびに、必ずPhonica Recordsのドアを叩くのには、明確な理由が2つあります。まず一つ目は、新品のカセットテープの充実したセレクションです。近年、世界的にアナログ回帰の流れがあるとはいえ、ロンドン市内でも新品のカセットテープをこれほどまで幅広く、かつセンス良く取り揃えている店は稀有な存在。特にPhonicaのセレクトは、インディペンデントレーベルの先鋭的な作品が多く、「こんな音楽があったのか!」という新鮮な驚きと発見に満ちています。
そして二つ目の理由は、中古レコードの豊富なラインナップ。最近は新品の取り扱いも増えてきましたが、依然として質の高い中古レコードが多く眠っているのがPhonicaの魅力です。じっくりと棚を掘り進めれば、思わぬお宝に出会えるかもしれません。
心地よい音楽探索をサポートする試聴環境
さらに特筆すべきは、充実した試聴コーナー。気になるレコードがあれば、気兼ねなく試聴できる環境が整っています。スタッフの方も非常にフレンドリーで、「試聴しますか?」と声をかけてくれることもしばしば。このホスピタリティが、心ゆくまで音楽と向き合える時間を提供してくれるのです。
今回の邂逅:カセットテープとの運命的な出会い
さて、今回の訪問で私の心を掴んだのは、やはりカセットテープでした。店の入口すぐ右手にあるショーケースには、まるで宝石のようにカセットテープが並んでいます。

そこで出会ったのが、Dane Law & Chantsの「Gurum Triads」。Dane Lawはロンドンのミュージシャン、Chantsも同じくロンドンのドラマーとのこと。お恥ずかしながら、この時まで彼らの名前を知りませんでした。アコースティックギターのサンプルを、Dane Law自身が開発したソフトウェアに取り込み即興演奏するという斬新な手法。そこに、セルフサンプリングされたビートと生ドラムがレイヤーされる。デジタル技術のクールさと、アコースティック楽器の温もりが絶妙に化学反応を起こし、まさに「近未来チェンバージャズ」「電子フォークセッション」と評されるにふさわしい、未知の音風景が広がります。〈THE TRILOGY TAPES〉からの限定盤ということもあり、迷わず購入。帰国後、作業中のBGMとして流してみると、エモーショナルでありながらも集中力を高めてくれる、不思議な魅力に満ちた一本でした。
ジャケットに一目惚れ!Text Chunk「New Reality」
もう一つ、運命的な出会いがありました。Text Chunkの「New Reality」です。

こちらは完全に「ジャケ買い」。白地に赤と黒のラインが走るメカニカルなデザインは、どこか日本のロボットアニメ、そう、ガンダムを彷彿とさせます。このジャケットからどんな音が飛び出すのか、期待に胸を膨らませて購入しましたが、その期待は裏切られませんでした。アップテンポでエッジの効いたエレクトリックビートは、まさにジャケットのイメージ通り。こちらも限定盤で、仕事のテンションを上げたい時に最適な、最高にクールな一本です。
買っておけばよかった?一期一会の出会い
実は、他にも気になるカセットテープがありました。店頭で見つけた「Discrete Records Mixtape」です。

その時は限定盤を優先して見送ったのですが、今になって「あれも買っておけば良かったかな…」と少し後悔しています。音楽との出会いは、まさに一期一会。この小さな後悔もまた、次回の訪問への楽しみに繋がるのかもしれません。店内には、ヒップホップのレジェンド、De La Soulの貴重なカセットテープなども並んでおり、ファンにはたまらない光景が広がっていました。

残念ながら、今回は中古レコードで「これぞ!」という掘り出し物には出会えませんでしたが、素晴らしいカセットテープとの出会いに心満たされ、Phonica Records Londonを後にしました。
Phonica Recordsが愛される理由:おすすめポイントまとめ
改めて、私がPhonica Recordsをおすすめするポイントをまとめてみましょう。
- ダンスミュージック中心でありながらオールジャンルをカバー: エレクトロニックミュージックに強いですが、ロック、ジャズ、ソウル、ワールドミュージックなど、幅広いジャンルの良質な音楽が見つかります。
- 中古レコードの豊富な品揃え: 他のレコード店と比較しても、中古の割合が高く、ディープな音楽探求が可能です。
- 充実した試聴コーナー: 気になる音楽を自分の耳で確かめられるのは、音楽ファンにとって何よりの喜びです。
- 貴重な新品カセットテープの取り扱い: 先進的で個性的なレーベルのカセットテープは、ここでしか出会えないものも多いでしょう。
Phonica Recordsへのアクセスと基本情報
Phonica Recordsは、ロンドンのSOHO地区、Poland Streetにあります。最寄り駅はOxford Circus駅やTottenham Court Road駅で、どちらの駅からも徒歩数分とアクセスも便利です。音楽好きなら、ロンドン滞在中にぜひ訪れてみてください。
公式サイト: https://www.phonicarecords.com/
Google Map :
SOHOの鼓動を感じる、音楽探求の旅は続く
Phonica Records Poland Street Londonは、単にレコードを売る場所ではなく、新たな音楽との出会いや発見、そして感動を与えてくれる特別な空間です。CityNomixとして、これからも国内外の街を歩き、こうしたローカルな視点から掬い上げたカルチャーを発信していきたいと思います。今回のロンドン・SOHOでの音楽探求が、あなたの知的好奇心を刺激し、次の行動を後押しするきっかけとなれば幸いです。そして、いつかあなたもPhonica Recordsで、自分だけの特別な一枚を見つけてみてください。