Web Summit 2024での刺激的なカンファレンスを終え、日本への帰路、私はロンドンを経由することを選びました。なぜなら、11月のロンドンは特別な意味を持つからです。そう、毎年恒例のLondon Jazz Festivalが開催されるのです。
旅の目的は、魂を揺さぶる音楽体験
出張が決まる前から、今年のLondon Jazz Festival 体験は私の密かな楽しみでした。「どのアーティストの演奏を聴こうか」。PhotomoのCityNomixとして、せっかくなら現地の、それも私がまだ深く知らない才能に触れたい。そんな思いでLondon Jazz festivalの公式サイトを巡り、ピアノかサックスのアーティストを探しました。
運命の出会い:Fergus McCreadie
そこで目に留まったのが、スコットランド出身のピアニスト、Fergus McCreadie。彼の音楽に触れ、直感的に「これだ」と感じました。チケットの発売を心待ちにしていたのですが、多忙な日々に紛れ、気づいた時には無情にも「SOLD OUT」の文字が…。一瞬、目の前が真っ暗になりました。自分の不注意を猛省しつつも、諦めきれない私は「Waiting List」の存在に気づき、最後の望みを託して登録しました。
そして待つこと12日。ある日、リセールチケットの通知が舞い込んできたのです! 急いでサイトにアクセスし、無事にチケットを確保。安堵感とともに、期待で胸が高鳴りました。座席はバルコニー席、しかもステージに近い位置。本当にこんな場所で見られるのだろうか? そんな疑問と興奮を抱えながら、当日を迎えました。
Kings Placeへ:ハリー・ポッターの街からジャズの聖地へ
降り立ったのは、キングス・クロス駅。そう、あの有名なハリー・ポッターの「9と4分の3番線」がある駅です。しかし、今日の私の目的地はホグワーツではなく、Kings Place London。駅からは少し歩きましたが、周囲には特に目立つものはなく、迷うことなくモダンな外観の建物にたどり着きました。

中へ足を踏み入れると、洗練された内装が迎えてくれます。まるで現代アートのデザインセンターのような、クリーンでミニマルな空間。期待に胸を膨らませ、ホールへと向かいました。
開演前の高揚感と、嬉しいサプライズ
ホールはまだ開場前で、ロビーには私と同じようにライブを待ちわびる人々が集っていました。併設されたカフェには行列ができており、多くの人がビールを片手に談笑しています。「ライブ前に一杯、最高じゃないか」。私も迷わずビールを注文。先日のアメックススタジアムでのサッカー観戦ではスタジアム内へのビール持ち込みは禁止でしたが、今回はどうだろう? コンサートホールだし、きっとダメだろうな…と思っていたら、なんと持ち込みOK! ビールを片手にジャズを堪能できるなんて、これ以上の贅沢があるでしょうか。
想像を超える音の世界へ
いよいよホールの中へ。事前にウェブサイトで確認していた通り、クラシックコンサートにも使われるような、美しく整備された空間です。こぢんまりとしていながらも、音響の良さが伝わってくるような造り。ライトアップも幻想的で、これから始まる音楽体験への期待を一層高めてくれます。

自分の席を探すと、バルコニーのステージ側、ほぼ真ん中。ステージが驚くほど近い!「本当にここから見ていいの?」と思わず呟いてしまうほどでした。

前座から心奪われる:Juliette Lemoine & Chris Amer
ほどなくして、前座のJuliette Lemoine & Chris Amerが登場し、演奏が始まりました。その瞬間、私は息を呑みました。「え、待って。めちゃくちゃいい…」。スコティッシュ・ミュージックと聞いて、どこか長閑なフォークソングを想像していた私は、良い意味で裏切られました。彼らの音楽はオリジナリティに溢れ、エネルギッシュでありながら深く、そして何よりも二人が心から楽しそうに演奏している姿が印象的でした。伝統へのリスペクトを感じさせつつも、全く新しいスコティッシュ・ミュージックの世界。Fergus McCreadie ライブの前に、すでに素晴らしいロンドン 音楽体験が始まっていました。

本命登場:Fergus McCreadie Trioの躍動
短いインターバルを挟み、カフェで再びビールを調達し、いよいよ本命、Fergus McCreadie Trioの登場です。事前にアルバムで予習はしていましたが、やはり生演奏は別物。ドラムもベースも、まるで普段着で散歩でもするかのように自然体で演奏しているかと思えば、次の瞬間には熱を帯びた激しいプレイを繰り広げる。Fergus McCreadieのピアノは、その二つの楽器を時に優しく繋ぎ、時にさらなるエネルギーへと昇華させ、鍵盤の上を自由に踊っているかのようでした。

特にソロパートでは、これでもかというほどの情熱をぶつけてくるFergus McCreadie。アルバムでは聴くことのできない、その場で生まれる即興と感情のほとばしり。これこそがライブの醍醐味です。「本当に来て良かった」。心の底からそう思いました。

忘れられないロンドンの夜
演奏の余韻に浸りながら、Kings Placeを後にしました。この素晴らしい体験は、また必ずLondon Jazz Festivalに戻ってきたい、そう思わせるのに十分すぎるものでした。
もしあなたが11月にロンドンを訪れるなら、そして少しでも音楽に興味があるなら、ぜひLondon Jazz Festivalに足を運んでみてください。お気に入りのアーティストのライブを、五感を刺激するロンドンの街で体験するのも良いでしょう。あるいは、私のように、まだ見ぬ才能との出会いを求めてみるのも素晴らしい経験になるはずです。
London Jazz Festivalを楽しむために:私の体験からのアドバイス
最後に、私のLondon Jazz Festival 体験から得た実践的なアドバイスをいくつか。まず、人気アーティストのチケットは本当に早く売り切れます。気になる公演があれば、発売開始と同時にアクションを起こすのが鉄則です。もしソールドアウトでも、私のようにウェイティングリストに登録すれば、チャンスが巡ってくるかもしれません。諦めずに情報をチェックすることが大切です。今回のロンドンジャズフェスティバル チケット騒動は、まさに教訓でした。
会場となるKings Place Londonは、キングス・クロス駅から徒歩圏内でアクセスも良く、モダンで清潔な施設です。カフェも併設されており、開演前にリラックスできます。そして、何よりビール片手にジャズを楽しめるのは最高でした(会場や公演によってルールが異なる可能性もあるので、事前に確認をおすすめします)。
費用感としては、チケット代はアーティストや席によって異なりますが、私が見た公演は£20〜£40程度でした。所要時間は、前座とメインアクト合わせて2時間半〜3時間ほど。十分に満足できるボリュームです。
この体験が、あなたの次のロンドン旅行、そして新たな音楽との出会いのきっかけになれば幸いです。
Kings Place London
公式サイト: https://www.kingsplace.co.uk/
今回のコンサート情報: https://www.kingsplace.co.uk/whats-on/jazz/fergus-mccreadie/
EFG London Jazz Festival
公式サイト: https://efglondonjazzfestival.org.uk/
Kings Placeの場所 :