ロンドンの一日のはじまりに選ぶ、Booking Office 1869の朝食
ロンドンでの日々は、常に発見と感動に満ちている。昨日は特に濃密な一日だった。大英図書館でビートルズの息遣いを感じ(記事はこちら)、ロンドン自然史博物館では巨大なシロナガスクジラの骨格に生命の神秘を想い(記事はこちら)、V&Aではトラヤヌス記念柱の巨大なレプリカに圧倒された(記事はこちら)。
夜には、聖地ロイヤル・アルバート・ホールでノエル・ギャラガーの名演に想いを馳せ(記事はこちら)、その感動を引きずったまま訪れた中古レコード店では、まさにそのライブのプロモ盤を奇跡的に手に入れた(記事はこちら)。スニーカー探しの冒険(Dover Street Market編、Foot Patrol編)を経て、Waitroseで自分へのお土産(ビスケットティー)を確保し、ようやくホテルへ戻ったのだった。
そして今日。この旅のハイライトとも言えるビッグイベント、プレミアリーグ観戦が待っている。自力でチケットを確保した自分を褒めてあげたい。その闘いの記録は、また別の記事に譲ろう。今は、これから始まる熱狂の瞬間に向けて、心と身体を最高の状態に整えなくてはならない。そのためには、完璧な朝食が必要不可欠だ。
もちろん、今日も向かう先は決まっている。滞在するSt. Pancras London Autograph Collectionの中にある、Booking Office 1869だ。
荘厳な空間で味わうBooking Office 1869の朝食体験レビュー
この場所は単なるレストランではない。ヴィクトリア朝の壮麗な建築美と現代的な感性が融合した、特別な時間が流れる空間だ。歴史ある駅のチケットホールを改装した店内は、息を呑むほど高い天井と、そこから吊り下がる巨大なシャンデリアが象徴的だ。

アーチ型の窓から差し込む朝の光が、重厚な木の梁と真鍮の輝きを柔らかく照らし出す。この荘厳な雰囲気の中で一日を始められること自体が、旅の贅沢と言えるだろう。さて、最高の観戦コンディションを整えるため、今日も慎重にメニューを選ぶことにしよう。
お気に入りのアーモンドミルクラテから始まる至福のひととき
まずはいつもの一杯、アーモンドミルクラテを注文する。ここのラテは、ただのコーヒーではない。バリスタが丁寧に淹れたエスプレッソと、スチームされたアーモンドミルクの自然な甘みが絶妙なバランスで混ざり合っている。そして、カップの表面には美しいハートのラテアート。この小さな心遣いが、一日の始まりをより豊かなものにしてくれる。

一口飲むと、香ばしい香りと優しい甘さが口いっぱいに広がる。この味を知ってしまってから、ロンドンの朝はこれがなくては始まらない、とさえ思うようになった。まさにロンドンのおしゃれカフェを代表する一杯だ。
フレッシュなベリーが彩る、濃厚ギリシャヨーグルト
続いては、僕の朝食に欠かせないギリシャヨーグルト。今日はグラノーラとベリーが添えられたものを選んだ。ガラスのジャーに美しく盛り付けられたヨーグルトは、見た目にも鮮やかだ。

スプーンを入れると、その濃厚さが伝わってくる。フレッシュなイチゴとブラックベリーの酸味、そしてザクザクとしたグラノーラの食感が、クリーミーなヨーグルトと完璧なハーモニーを奏でる。甘すぎず、素材の良さが際立つ一品。これから始まる長い一日に向けて、身体が内側から目覚めていく感覚だ。
シンプルかつ贅沢なオムレツでエネルギーをチャージ
そしてメインディッシュ。これまで色々と試してきたが、そういえばシンプルなオムレツはまだだった。今日はこれに決めた。運ばれてきたのは、黄金色に輝く、見るからにふわふわのオムレツ。ナイフを入れると、中からチーズとほうれん草などの具材がとろりと顔を出す。

口に運ぶと、卵の豊かな風味と具材の旨味が一体となって広がる。シンプルだからこそ、素材の質とシェフの腕が問われる一皿だ。たっぷりの卵と野菜で、タンパク質もビタミンも満点。これで今日のプレミアリーグ観戦を最後まで戦い抜くエネルギーは十分にチャージされた。さあ、スタジアムへ向かおう。
偶然の発見!St. Pancras London Autograph Collectionの秘密の階段
スタジアムへ出発する前、レストランの外にあるトイレに立ち寄ることにした。いつもは使わない通路を抜けると、ふと視界が開け、信じられない光景が目に飛び込んできた。そこには、まるで宮殿へと続くかのような、壮麗な大階段が広がっていたのだ。

深紅の壁紙に金の紋様が浮かび上がり、高いアーチ窓から差し込む朝の光が、複雑なゴシック様式の天井をドラマチックに照らし出している。カーペットが敷かれた階段は、まるで映画のワンシーンのよう。こんな空間が、このホテルの、しかもトイレへの通り道に隠されていたなんて。まさに灯台下暗しだ。
このセント パンクラス オート グラフ コレクションが、単なる宿泊施設ではなく、生きた歴史的建造物であることを改めて実感した瞬間だった。この予期せぬ発見は、今日の幸運を予感させる素晴らしいサプライズとなった。さて、感動を胸に、今度こそ国鉄に乗ってセルハースト・パーク・スタジアムへ向かうとしよう。
キングス・クロス/セント・パンクラス駅周辺のおすすめレストラン情報
Booking Office 1869は私のお気に入りだが、このエリアには他にも魅力的なレストランが数多く存在する。旅のスタイルや気分に合わせて選べるよう、いくつかピックアップしておこう。
Coal Office restaurant
キングス・クロス駅の再開発エリア「Coal Drops Yard」にある、イスラエル料理のレストラン。モダンでインダストリアルな空間デザインが特徴で、活気あふれる雰囲気の中で独創的な中東料理を楽しめる。テラス席からの運河の眺めも素晴らしい。
The Hansom
Booking Office 1869と同じくSt. Pancras London Autograph Collection内にあるラウンジ。こちらはアフタヌーンティーが有名で、より落ち着いた雰囲気の中で優雅なひとときを過ごしたい場合におすすめだ。The Hansom menuは伝統的な英国スタイルを踏襲しつつ、洗練されたアレンジが加えられている。
Carluccio’s
手軽に本格的なイタリアンを楽しみたいなら、セント・パンクラス駅構内にあるこのレストランが便利だ。パスタやピザなど、親しみやすいメニューが揃っており、長距離列車に乗る前の腹ごしらえにも最適。家族連れにも人気がある。
セントパンクラス駅構内イタリアンCarluccio’s体験記:旅の喧騒と味わう絶品ディナー
Nonos London
よりカジュアルに、ヘルシーな食事を求めるならNonos Londonが良い選択肢だ。新鮮なサラダやサンドイッチ、スムージーなどを提供しており、テイクアウトして近くの公園で食べるのも気持ちがいい。忙しい旅行者にとって心強い味方となるだろう。
Booking Office 1869へのアクセスと基本情報
ロンドン セントパンクラス駅直結という最高のロケーション
Booking Office 1869の最大の魅力の一つは、そのアクセスの良さだ。ユーロスターが発着する国際的なハブ、ロンドン セントパンクラス駅に直結している。つまり、雨に濡れることなく、迷うこともなくたどり着ける。ロンドン市内の移動はもちろん、パリやブリュッセルからの到着後、あるいは出発前に立ち寄るのにも完璧な場所だ。
セント パンクラス オート グラフ コレクション内のダイニング
このレストランは、壮麗なホテル「セント パンクラス オート グラフ コレクション」(正式にはSt. Pancras Renaissance Hotel London)の一部だ。しかし、宿泊者でなくても誰でも気軽に利用できる。歴史的建築の雰囲気を味わいながら食事をするという体験は、ロンドン滞在の忘れられない思い出になるはずだ。公式サイトから予約も可能なので、特に週末は事前に席を確保しておくことをお勧めする。
公式サイト: Booking Office 1869
まとめ:最高の体験を約束するBooking Office 1869の朝食
今回のBooking Office 1869 朝食体験は、単に美味しい食事をしたというだけではない。荘厳な空間で過ごす時間、丁寧に作られた料理、そしてその後の予期せぬ発見。そのすべてが、これから始まる特別な一日への完璧な序章となった。ここは、旅人にインスピレーションとエネルギーを与えてくれる場所だ。ロンドンを訪れるなら、ぜひこの特別な空間で一日を始めてみてほしい。そして、もし時間があれば、ホテルの廊下を少し散策してみてほしい。あなたも、私が見つけたような宮殿への入り口に迷い込むかもしれないから。



