記憶に刻まれた味を求めて、再び日本橋兜町「Bistro yen」へ
秋晴れの午後、日本橋兜町での打ち合わせを終えた私の足は、迷うことなくひとつの場所へ向かっていました。その名は「Bistro yen」。金融の街という硬質なイメージを刷新し、今やクリエイティブなエネルギーに満ち溢れるこのエリアで、以前訪れた際に受けた食の衝撃が忘れられなかったのです。記録ではなく体験を、日常ではなく感覚を。Photomoのテーマを体現するような、あの感動をもう一度味わいたい。そんな想いに駆られての再訪でした。
時刻は13時過ぎ。ランチタイムの喧騒が少し落ち着きを取り戻す頃合いです。幸いにも13時30分までランチを受け付けているとのことで、安堵のため息をつきながら店内へ。今日は迷わず、この店の真髄を味わえるランチコースをお願いすることにしました。メニューに目をやると、パスタはアンコウ、メインは豚のコンフィ。どちらも魅力的で選びきれない。そこで、同行者とシェアすることに決め、期待に胸を膨らませました。
乾杯は心と身体を潤す一杯から
料理を待つ間、喉を潤すために選んだのは、コンブチャとホワイトティースパークリング。アルコールではなくとも、特別な時間を演出してくれる美しい佇まいのドリンクです。琥珀色のコンブチャと、淡い黄色のスパークリングが、窓から差し込む陽光にきらめいていました。ヘルシーでありながら、しっかりとした味わいが、これからはじまる美食体験へのプロローグとして完璧な選択でした。

五感を刺激する、Bistro yenのランチコースメニューという名の旅
Bistro yenのランチコースは、単なる食事ではありません。それは、一皿ごとに新たな発見と感動が待ち受ける、計算され尽くした食の旅路のようでした。その驚きに満ちた体験を、順を追ってご紹介しましょう。
始まりを告げる、濃厚な甘みとスパイスの協演
まず運ばれてきたのは、鮮やかな黄色が美しいバターナッツかぼちゃのスープと、中東のスパイスが香るサラダ。スープを一口含むと、かぼちゃ本来の濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。そこに添えられたリコッタチーズが、まろやかなコクをプラスして、味わいに奥行きを与えていました。一方で、サラダは実に斬新。トルティーヤ・チップスのクリスピーな食感と、エキゾチックなスパイスの組み合わせは、まさに初体験の味。これから始まるコースへの期待感を一気に高めてくれる、見事なアペタイザーでした。

メインへの序曲、隣店「Bank」が誇る絶品パンの世界
スープとサラダを味わっていると、温かいパンが運ばれてきました。Bistro yenの魅力の一つは、隣接するベーカリー「Bank」のパンがいただけることです。最初に登場したのは、少し酸味の効いたフィンランド系のハードパン。外はカリッと、中は驚くほどしっとりとしています。
続いて、鮮やかな色合いのトマトパン。口にすると、凝縮されたトマトの旨味と香りが鮮烈に広がります。これは素晴らしい。

そして、あんこうのパスタが運ばれてきたタイミングで、ビーツと杏のパンが登場。ビーツの素朴な甘さと、ぎっしりと詰まった杏のフルーツ感が絶妙なバランスです。

さらに「もうひとついかがですか?」と勧められたのは、カカオアーモンドチョコパン。デザートのようなリッチな味わいですが、甘すぎず、食事の合間のアクセントとしても秀逸でした。Bistro yenのパンは、常に温めて提供されます。水分を多く含んでいるため、温めてもパサつかず、ジューシーささえ感じるのが特徴です。このパンたちは、食後にBankで購入して帰ることもできるのが嬉しいポイントです。

記憶を塗り替える逸品、アンコウとトマトのスパゲッティ
そして、パスタの登場です。アンコウとトマトという組み合わせから、てっきりトマトソースを想像していましたが、目の前に現れたのは美しいオイルベースのスパゲッティ、ペペロンチーノでした。淡白で上品なアンコウの身は、火入れが絶妙で驚くほどふっくら。トマトの爽やかな酸味とニンニクの香りが食欲をそそり、トップにかけられたカリカリのパン粉が、食感に楽しいリズムを加えてくれます。素材の良さが際立つ、シンプルながらも奥深い一皿。アンコウのパスタがこんなにも美味しいものだったとは、新たな発見でした。

豚の概念を覆す、驚くほどジューシーなコンフィ
メインディッシュは、「豚のコンフィ オレンジのコンフィチュールを添えて」。これがまた、衝撃的な一皿でした。ナイフを入れると、抵抗なくスッと切れる柔らかさ。口に運ぶと、豚肉とは思えないほどプリプリでジューシーな食感が広がります。まるで上質な鶏肉のよう。濃厚なソースが絡み、食欲をさらに掻き立てます。そして、皿の縁に添えられたオレンジのコンフィチュール。この甘酸っぱいアクセントが、豚の脂の旨味を爽やかに引き締め、最後まで飽きさせない見事な構成でした。

締めくくりのデザートは、Bistro yenで味わう至福のフィーカ
素晴らしい料理の数々に満たされた後には、お待ちかねのデザートタイム。スウェーデンの文化「フィーカ」のように、甘いものと向き合う時間は、心を豊かにしてくれます。Bistro yenのデザートは、その期待を遥かに超えるものでした。
期待を裏切らない「おなじみプリン」
まずは、前回もいただいて感動したプリン。メニューには「おなじみプリン」と書かれています。これは、同じ系列のチョコレートショップ「Teal」で提供されているものと同じかもしれません。しっかりとした固さのあるカスタードプリンに、ラムレーズンと濃厚なバニラアイスクリームが添えられています。ほろ苦いカラメルと、プリンの優しい甘さ、そしてラムレーズンの芳醇な香りが織りなす大人の味わい。いつ食べても、このプリンは期待に完璧に応えてくれます。

忘れられない、バニラ香る究極の滑らかバスクチーズケーキ
そして、本日の締めくくりにして、再訪の大きな目的でもあったバスクチーズケーキです。こんがりと焼かれた表面の香ばしさと、中のとろけるような滑らかさ。Bistro yenのバスクチーズケーキは、口に入れた瞬間にバニラの豊かな香りが鼻腔を抜けていくのが特徴です。濃厚でありながら、後味は驚くほど軽やか。この唯一無二の味わいは、まさに至福。やはり、このためにまたここへ来たいと思わせる、圧倒的な存在感を放っていました。

ビストロyenのランチメニューとディナーメニュー
今回私がいただいたのはランチコースですが、ビストロyenのランチセットも気軽に楽しめるメニューとして人気です。内容は日によって変わるため、訪れるたびに新しい味に出会えるでしょう。また、ビストロ yenのディナーメニューは、さらに趣向を凝らしたアラカルトやコースが用意されており、特別な夜を過ごすのに最適です。スタッフの方に伺ったところ、メニューは季節感を大切にし、約2ヶ月周期で変わるとのこと。同じコースを味わいたいなら1ヶ月以内に、新しい味を求めるなら2ヶ月以上空けて訪れるのが良さそうです。
記念日を彩る、bistro yenの誕生日プレートとフラワーボックス
洗練された空間と美味しい料理が揃うBistro yenは、誕生日や記念日のお祝いにもぴったりです。事前に予約すれば、メッセージを添えたbistro yenの誕生日プレートを用意してもらうことも可能です。また、系列店と連携したビストロyenのフラワーボックスといった、サプライズ演出の相談もできるかもしれません。大切な人との特別な時間を、より一層思い出深いものにしてくれるでしょう。
Bistro yenへのアクセスと確実な予約方法
ビストロyenへのアクセスは、東京メトロ日比谷線・東西線の「茅場町」駅や、都営浅草線の「日本橋」駅から徒歩数分と非常に便利です。東京証券取引所のすぐ近くに位置しています。人気店のため、特に週末やディナータイムは事前の予約がおすすめです。Bistro yenの予約は、公式サイトからオンラインで行うのが最もスムーズで確実です。
予約はこちらから: Bistro yen 公式予約サイト
まとめ:私が再びBistro yenに足を運んだ理由
今回のBistro yenでの再訪は、初回の感動がフロックではなかったことを証明する、素晴らしい体験となりました。一皿一皿に込められたシェフの哲学、驚きに満ちた味の組み合わせ、そして「Bank」のパンや「Teal」のデザートといった系列店の強みが見事に融合した、唯一無二の世界観。特に、バニラが香るあの滑らかなバスクチーズケーキは、何度でも食べたくなります。2ヶ月ごとにメニューが変わるという事実は、次なる訪問への期待を抱かせてくれます。ごちそうさまでした。また必ず、新しい感動を探しに訪れたいと思います。