リスボンのMEOアリーナで開催された世界最大級のテックカンファレンス、Web Summit 2025。最先端のAI技術やスタートアップの熱気に包まれた会場で、私の脳みそはフル回転していました。Qualcommの基調講演で語られた「AIと共存する未来」に想いを馳せ、知的好奇心が満たされたその瞬間、ふと別の種類の強烈な欲求が私を襲いました。
そう、空腹です。
どんなにテクノロジーが進化しても、私たちの身体はアナログなエネルギー補給を必要とします。頭を使えばお腹が減る。これは人類不変の理です。私は混雑するアリーナを抜け出し、もうひとつのサミット、すなわち「Food Summit(フード・サミット)」へと足を運びました。今回は、Web Summitの楽しみの一つである会場ランチの魅力と、混雑を回避するための実践的な攻略法を、CityNomixの視点でレポートします。
テックの祭典は「食の祭典」でもある
Web Summit 会場 ランチと検索してこのページにたどり着いたあなたは、きっと次回の参加を計画しているか、あるいは今まさに会場でお腹を空かせている同志でしょう。Web Summitの魅力は、セッションの内容だけではありません。会場外に広がる広大なフードコートエリア、通称「Food Summit」には、ポルトガル国内のみならず、世界各国の料理を提供するフードトラックが集結します。

一歩外に出ると、そこは香りの万国博覧会。リスボンの穏やかな日差しの下、炭火で肉が焼ける匂い、スパイスの刺激的な香り、そして甘いスイーツの香りが潮風に混じって漂ってきます。ベージュの巨大なテント屋根の下には、数え切れないほどのキッチンカーが並び、参加者たちが列を作っています。
迷う楽しみ、選ぶ苦しみ
「何を食べるか」という問いは、スタートアップが「どの市場を攻めるか」を決めるのと同じくらい重要で悩ましい問題です。ハンバーガー、ピザ、タコス、ポルトガル伝統のビファナ……。選択肢は無限にあります。そんな中、私の目に留まったのは鮮やかな黄色のフードトラックでした。
ヘルシー志向の救世主:STREET POKE
連日のカンファレンス参加と夜のネットワーキング(という名の飲み会)で、胃腸は少々お疲れ気味。そんなコンディションの私に、「POKE(ポケ)」の文字は輝いて見えました。ハワイ発祥のポケ丼は、野菜とタンパク質をバランスよく摂取でき、午後のセッションに向けて眠くなりにくい、まさにビジネスパーソンのためのパワーフードです。

今回選んだのは、モダンな赤い看板とスタイリッシュな外観が目を引く「STREET POKE」。ピンクのエプロンをしたスタッフがテキパキと注文をさばいています。メニューボードには「Salmon(サーモン)」と「Vegetarian(ベジタリアン)」の文字。価格はどちらも15ユーロ。イベント価格としては標準的、あるいは昨今のリスボンの物価上昇を考えると妥当なラインでしょう。
実食:ベジタリアンポケの鮮烈な味わい
迷った末に私がオーダーしたのは、ベジタリアンポケです。「せっかくだから魚を」という気持ちもありましたが、直感が「野菜を摂れ」と叫んでいました。そして、この選択は大正解でした。

受け取ったボウルはずっしりと重く、彩り豊か。たっぷりの葉野菜をベースに、甘みのあるマンゴー、クリーミーなクリームチーズ、そして食感のアクセントとなるフライドオニオンと白ごまがこれでもかとトッピングされています。一口食べると、シャキシャキとした野菜の鮮度と、香ばしいオニオンの風味が口いっぱいに広がります。
特筆すべきは、素材の組み合わせの妙です。マンゴーのフルーティーな甘さがドレッシングの酸味と絶妙にマッチし、クリームチーズが全体をまろやかにまとめ上げています。「ベジタリアン=物足りない」という固定観念を、テクノロジーが古いビジネスモデルを破壊するように、見事に打ち砕いてくれました。
Web Summitにおけるビールの重要性
さて、ランチにおいて忘れてはならないパートナーがいます。そう、ビールです。「Web Summitといえばビール、ビールといえばWeb Summit」と言っても過言ではありません(笑)。

会場内で提供されるビールは、Web Summitのロゴが入ったリユースカップで提供されます。このカップを手にして飲む一杯は、単なるアルコール摂取以上の意味を持ちます。それは「ここにいる」という所属感の確認であり、世界中から集まった参加者との無言の乾杯でもあります。ロゴ入りのカップは「Please reuse this cup」と書かれており、サステナビリティへの配慮も感じられます。
青空の下、最先端の議論をBGMに飲む冷たいビールと、体に優しいポケボウル。これぞ、リスボンまで来た甲斐があるというものです。
食後の誘惑:Crepologyのクレープ
メインディッシュとビールで満たされたはずなのに、甘いものは別腹です。Food Summitエリアを歩いていると、見覚えのある黒いキッチンカーを発見しました。「crepology(クレポロジー)」です。

このお店はWeb Summitの常連で、毎年この場所で甘い香りを振りまいています。ピンクのネオンライトが光るおしゃれなトラックの前には、常に甘味を求める人だかりが。私は例年、ここでワッフルを頼むのがルーティンでした。カリッとしたワッフルの食感がたまらないのです。しかし、2025年の私は一味違います。「変化を恐れるな」というスタートアップ精神に則り、今回はあえてクレープを注文してみることにしました。

渡されたのは、「CRÊPES」と書かれた茶色のコーンに入った、焼きたてのクレープ。シンプルに粉砂糖だけをまぶしたスタイルです。熱々の生地を頬張ると、素朴な小麦の香りと砂糖の優しい甘さが広がります。派手なトッピングはありませんが、それゆえに生地の美味しさが際立ちます。アリーナを背景に、粉砂糖で口の周りを白くしながら食べるクレープ。これまた至福の時間でした。
【攻略法】ランチ難民にならないために
ここまでFood Summitの魅力をお伝えしてきましたが、一つだけ注意すべき点があります。それは「混雑」です。Web Summitには7万人以上の参加者が集まります。全員が同じ時間帯に食事をしようとすれば、どうなるかは想像に難くありません。

ご覧の通り、ピークタイム(12:30〜13:30頃)には、どのフードトラックにも長蛇の列ができます。人気店であれば30分以上待つこともザラです。「並んでいるだけでお昼休みが終わってしまった」なんてことになれば、午後のセッションへのエネルギーチャージどころではありません。
CityNomix流:ランチを制する3つのポイント
自身の失敗談から学んだ、Web Summitでのランチ攻略法を伝授します。
- 時間をずらす(オフピークを狙う): 最も効果的なのは、時間をずらすことです。11:30頃の早めのランチ、もしくは14:00以降の遅めのランチに設定すれば、待ち時間は劇的に短縮されます。私は今回、11:45に行動を開始したため、比較的スムーズに購入できました。
- 事前偵察をしておく: 会場入りした際や移動の合間に、どのあたりにどんなお店があるかざっと見ておきましょう。「あの辺りにポケ丼があったな」と記憶しておくだけで、空腹時に彷徨う時間を減らせます。
- 「Grab & Go」を活用する: 時間がない時は、座って食べる食事よりも、片手で食べられるサンドイッチやラップサンドなどを選び、次のセッション会場へ移動しながら食べるのも一つの手です。
まとめ:体験としてのランチを
Web Summitにおける食事は、単なる栄養補給ではありません。リスボンの空気を感じ、多国籍な料理を味わい、偶然隣り合った参加者とビールを片手に会話を弾ませる。それら全てが、カンファレンスの体験の一部です。
今回味わったベジタリアンポケの新鮮な驚きや、クレープの素朴な甘さは、AIの未来に関する講演と同じくらい、私の記憶に鮮明に残りました。もしあなたが次回Web Summitに参加するなら、ぜひFood Summitでの冒険も楽しんでください。そして、混雑回避のテクニックもお忘れなく。
さて、お腹も心も満たされた私は、再びアリーナへと戻ります。次はどんな革新的なアイデアに出会えるのか、あるいはどんな美味しいディナーが待っているのか。CityNomixの旅はまだまだ続きます。



