ロンドンでOasisレア盤探し!聖地Music & Video Exchangeはレコード屋の最終回答か?

ロンドン屈指のレコード屋でオアシス(Oasis)のレア盤を探す旅

ロイヤル・アルバート・ホールでノエル・ギャラガーの伝説的なパフォーマンスに想いを馳せた後、私の足は自然とある場所へ向かっていました。それは、ロンドンが世界に誇る名レコード店、Music & Video Exchangeです。この場所は、私がまだ学生だった2001年に初めてロンドンを訪れて以来、通い続けている個人的な聖地でもあります。

 

単に中古レコードの品揃えが豊富なだけではありません。時には、目を疑うようなプロモーション盤がひっそりと棚に眠っていることもある、まさに宝探しのための店なのです。しかし、近年はその状況も少しずつ変化しています。世界的なレコード回帰ブーム、そしてOasisのリユニオンの噂が絶えない状況が重なり、彼らのレア盤を発見することは年々困難になっているのが現実です。

 

それでも、諦めるわけにはいきません。「諦めたらそこで試合終了ですよ」という言葉が頭をよぎります。ロンドンまで来て、Oasisのパトロールを怠るわけにはいかないのです。それが、私にとっての儀式のようなものですから。

 

ノッティングヒルの名店、Music & Video Exchangeへ

店に到着したのは、土曜の午後2時。扉を開けると、むせ返るようなレコードの匂いと、熱気に満ちた空気が私を包み込みました。店内は週末を楽しむ音楽ファンでごった返しており、身動きを取るのも一苦労です。しかし、誰もが真剣な眼差しで、そして何より楽しそうに棚を掘っている。その光景を見ているだけで、この店がいかに愛され、期待されているかが伝わってきます。

Music and Video Exchangeの店舗外観。黒い看板に白文字でRECORDS, CDS, DVDSと書かれ、ウィンドウにはThe Smithsのレコードや買取の案内が貼られている。
昼間に再訪したMusic and Video Exchange。土曜日の午後は多くの音楽ファンで賑わいを見せていた。

 

黒いファサードに白抜きの文字が映える店の外観は、昔から変わりません。昼間に訪れるのは久しぶりですが、この雑多で活気のある雰囲気は、夜とはまた違った魅力がありますね。

 

中古レコードの棚から始まった宝探し

さて、感傷に浸っている暇はありません。私もこのレコードの海に飛び込まねば。真っ先に向かうのは、もちろん「INDIE」のコーナーです。Oasisの「O」の仕切り板を探し、指で一枚一枚レコードをめくっていきます。しかし、残念ながらアルバムも12インチシングルも見当たりません。近年の需要の高さを物語っています。

レコード店の棚に並ぶOasisのシングル『The Shock of the Lightning』の7インチレコード
INDIEコーナーで見つけたOasisの『The Shock of the Lightning』7インチ盤

 

気を取り直して、7インチシングルの箱に手を伸ばします。すると、ありました。『The Shock Of The Lightning』の7インチ。これは既に私のコレクションに加わっていますが、実物を目にするとやはり嬉しいものです。

 

レコード店の「INDIE M-R」コーナーで、リアム・ギャラガーの『Wall of Glass』7インチシングルを手に取っている様子
レコード棚で見つけたリアム・ギャラガーのソロ7インチ『Wall of Glass』

隣には、リアム・ギャラガーのソロデビューシングル『WALL OF GLASS』の7インチも。こちらも既に持っていますが、6ポンドという手頃な価格は魅力的です。ここには、兄弟それぞれの足跡が確かに残っていました。

 

商品管理カードの上に置かれたBlurのアルバム『The Ballad of Darren』のカセットテープ
9ポンドで販売されていたBlur『The Ballad of Darren』のカセットテープ版

レコードに手応えがなかったため、次はカセットテープのコーナーへ。しかし、ここでもOasisの姿は見えず。代わりに目に飛び込んできたのは、Blurの最新アルバム『The Ballad of Darren』のカセットでした。ライバルの作品とはいえ、これもまたブリットポップの歴史の一部。思わず手に取ってしまいます。

 

The Stone Roses、Daft Punk、Jamiroquai… 探していたアーティストたちの棚は、既に他の誰かによって掘り尽くされた後でした。「今日も不発か…」そんな諦めの気持ちが、心をよぎった瞬間でした。

 

【ロンドン レコード屋 オアシス】CDコーナーでついに発見した掘り出し物たち

「CD SINGLES : N / O」という仕切りのある棚に並べられたOasisのシングルCD
CDシングルコーナーで見つけた、大量のOasis Creation盤

肩を落としかけたその時、ふと視界の片隅に「CD SINGLES」のコーナーが映りました。レコードがダメなら、CDだ。藁にもすがる思いで棚を覗き込むと、信じられない光景が広がっていました。OasisのCreation Records時代のシングルが、山のように積まれているではありませんか。しかも、価格はほとんどが2ポンド。安い、安すぎる。

 

この発見に心拍数が上がります。一枚一枚丁寧にチェックしていくと、さらに驚くべきアイテムが次々と姿を現しました。まさに掘り出し物の連続です。

 

思わぬ掘り出し物!レアなシングルCDとの遭遇

棚の奥から出てきたのは、単なるシングルではない、コレクター心をくすぐる4つの逸品でした。

レコード店の棚に並ぶオアシスの「Dig Out Your Soul」「Morning Glory」などのシングルやソングブック
Music & Fashion Exchangeで見つけたオアシスのレアなシングルや関連作品

 

左上は『Dig Out Your Soul』のソング・ブック。おそらくNME(New Musical Express)誌の付録だったもので、タブ譜が収録されたCD-ROMのようです。右上は、オーストラリア限定でリリースされた『Morning Glory』のシングル。1995年のグラストンベリー・フェスティバルでの貴重なライブ音源が3曲も収録されています。

 

そして左下は、ベストアルバム『Stop the Clocks』のプロモーションEP。デモ音源やライブバージョンを含む4曲入りで、これもまた貴重な一枚。右下は、ライブビデオ『…There and Then』に付属していたボーナスCD。これもまた、ファンならずとも欲しくなるアイテムです。

 

中古レコード店のバーゲンコーナーでレコードの山の上に置かれた、エリック・クラプトンのシングルCD3枚(Motherless Child、Change The World、Tears in Heaven)
「BARGAIN」コーナーで見つけた、エリック・クラプトンの懐かしいシングルCDたち。

思わぬ収穫に気を良くし、他のアーティストの棚も見てみることにしました。すると、エリック・クラプトンの懐かしいシングルCDも発見。2ポンドという価格なら、迷わず購入です。

 

プロモーション盤という未知の世界

「PROMO CD ALBUMS」という手書きのサインが掲げられた木製の棚に、プロモーション用や雑誌付録などのCDが多数並んでいる様子
思わず二度見してしまう「PROMO CD ALBUMS」のコーナー

CDコーナーの探索を終えようとした、その時。私の目は、ある手書きのサインに釘付けになりました。「PROMO CD ALBUMS」。プロモ盤…だと? これは見過ごせません。逸る心を抑え、慎重に箱の中身を掘り進めていきました。

 

そして、ついに見つけ出したのです。Oasis関連のプロモ盤を。その中の一枚を手に取った瞬間、私は思わず息を呑みました。「なんてことだ!」心の中で叫んでいました。

 

諦めかけた心に火をつけたレア盤との出会い

レコード店の棚に並ぶノエル・ギャラガーのライブアルバム『The Dreams We Have as Children』とビーディ・アイのCD
ロンドンの中古レコード店で発見した、ノエル・ギャラガーのロイヤル・アルバート・ホールライブ盤とビーディ・アイのCD

そこにあったのは、つい先ほど訪れたばかりのロイヤル・アルバート・ホールで2007年に行われた、ノエル・ギャラガーのライブを収録した唯一の公式音源、『The Dreams We Have as Children (Live at the Royal Albert Hall)』ではありませんか。この運命的な出会いに、鳥肌が立ちました。

 

以前の記事『ロイヤル・アルバート・ホール巡礼記:Oasisノエルの伝説的ライブに想いを馳せて』でも触れたように、このライブはノエルのソングライターとしての才能が凝縮された歴史的名演です。Oasisのアンセムが、アコースティックギター一本で新たな命を吹き込まれる。その感動の記憶が鮮明に蘇ります。まさか、あの聖地を訪れたその日に、この音源を手に入れることができるとは。

 

さらに、リアムが結成したBeady EyeのプロモCDも発見。兄弟それぞれの活動を象徴するアイテムが、ここで揃うとは感慨深いものがあります。

 

レコード店のバーゲンコーナーに並ぶ、リアム・ギャラガー参加の『Carnation』CDとノエル・ギャラガーが参加したTailgunnerのプロモCD
レコード店で見つけた掘り出し物:リアム・ギャラガーによるThe Jam『Carnation』のカバーと、ノエル・ギャラガーがドラムで参加したTailgunnerのプロモ盤

興奮はまだ終わりませんでした。さらに掘り進めると、リアムがThe Jamの名曲をカバーした『Carnation』のシングル、そしてOasisのプロデューサー、マーク・コイルのバンド「Tailgunner」にノエルがドラムで参加したという、極めて珍しいプロモCDまで見つけてしまったのです。

 

学生時代に雑誌で情報を追いかけていた、あの頃の記憶が蘇ります。懐かしさと発見の喜びで、胸がいっぱいになりました。

 

訪問前に知っておきたいMusic & Video Exchangeの基本情報

今回、数々の素晴らしい出会いを果たしたMusic & Video Exchangeについて、少し詳しくご紹介します。ロンドンでレコード探しをするなら、絶対に外せない場所です。

 

アクセスと営業時間

Music & Video Exchangeは、活気あふれるノッティングヒル地区にあります。最寄り駅はNotting Hill Gate駅で、駅から歩いて数分の距離です。周辺には他にも系列店が点在しているので、一日中レコード巡りを楽しむことも可能です。

 

営業時間は店舗によって異なりますが、本店は毎日営業しています。ただし、週末の午後は非常に混雑するため、じっくりと探したい方は平日の昼間や、閉店間際を狙うのがおすすめです。公式サイトで最新の情報を確認してから訪れると良いでしょう。

 

公式サイト: http://mfeshops.com/

 Google Map:

 

【まとめ】ロンドンのレコード屋でオアシスの魂に触れる体験

結局、この日は両手いっぱいの戦利品を抱えて店を後にしました。レジで会計を済ませている間も、買い忘れはないかと店内を見渡してしまうほど、後ろ髪を引かれる思いでした。近年、レコードのレア盤を見つけるのは確かに難しくなっています。しかし、視点を変え、CDやプロモ盤にまで範囲を広げれば、まだまだ素晴らしい宝物が眠っていることを、今回の訪問は教えてくれました。

 

なにより、諦めなくて本当に良かった。この一言に尽きます。ロンドンでのレコード探しは、単なる買い物ではありません。それは、音楽の歴史を辿り、アーティストの魂の欠片に触れる、時空を超えた旅なのです。そして、Music & Video Exchangeは、その旅の最高の出発点であり、目的地でもあるのです。

 

さて、心の満たされた私は、次の目的地へと向かいます。今度は、Dover Street MarketでレアなスニーカーとStüssyを探す旅の始まりです!

 

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