ロンドンからマーゲートへの行き方:St. Pancras駅から始まる、心躍る鉄道の旅
ロンドンの喧騒から少し離れて、新たなインスピレーションを探しに行く。僕、CityNomixが今回目指すのは、イギリス南東部に位置する海辺の街、マーゲイト(Margate)。その目的はただ一つ、世界でも珍しい「Stüssy Archive」をその目で確かめるためだ。ロンドンから日帰りで行ける距離にあるこの街へは、鉄道でのアクセスが最もスマートだろう。旅の起点となるのは、歴史と現代性が交差する壮麗なターミナル、St. Pancras駅。ここから、僕の小さな冒険が始まる。
St. Pancras International駅の壮大なアーチを横目に、国内線が発着するSoutheastern Railwayのホームを目指す。ユーロスターが発着する国際線の華やかさとは少し趣が異なり、よりローカルな空気が漂う。案内表示に従ってまっすぐ進み、突き当りを右へ。すると、左手にSoutheasternのプラットフォームへと続くエリアが見えてくる。まずは、巨大な電光掲示板で目的地の文字を探すことから旅は始まる。

無数の行き先が並ぶ中、「Margate」の文字を探す。あった。Ramsgate行きに乗っても途中で停車するようだ。09:36発。この数字が、今日の旅のリズムを刻み始める。行き先を確認できた安堵感と共に、次のミッション、チケットの確保へと移る。デジタルネイティブらしくオンラインでの購入も考えたが、旅の記録として、そして一つの体験として、あえて券売機での購入を選んだ。
イギリスの電車切符の買い方を徹底解説:ロンドンからマーゲートへの行き方をマスターする
コンコースに設置された券売機の前へ。最近はEチケットが主流だが、物理的な切符を手にする瞬間は、旅の始まりを実感させてくれる儀式のようなものだ。さて、どうやって買うのだろうか。デジタルマーケターとしての分析癖が顔を出す。UI(ユーザーインターフェース)は直感的か、迷うポイントはないか。そんな視点で券売機と向き合うのも、また一興だ。

画面をタッチすると、行き先を入力する画面が表示される。検索窓には一文字ずつしか入力できないようだ。「M」と入力すると、Mで始まる駅名がリストアップされる。その中から「Margate」を選択。次に、片道(Single)か往復(Return)かを選ぶ。今回は日帰りなので、迷わず「Return」をタップ。様々な種類のチケットが表示されるが、時間帯に縛られない「Anytime Day Return」が最も自由度が高いだろう。これを選択し、支払いへ進む。クレジットカードのタッチ決済に対応しており、非常にスムーズだ。
「ガチャン」という小さな音と共に、オレンジ色の切符とレシートが出てきた。この手触り、このインクの匂い。これが旅の証だ。

チケットを手に、ホームへと向かう。プラットフォームは2階にあるため、エスカレーターで上へ。上がってすぐの場所にも券売機が設置されていた。ここで購入することも可能だったようだ。一つのタスクをこなすにも、複数の選択肢がある。街歩きと同じで、常に観察し、最適なルートを見つけることが大切だ。

セントパンクラス駅からマーゲイト行きの電車:サウスイースタン鉄道 乗り方ガイド
ホームの改札前には、同じように列車を待つ人々がちらほら。皆、電光掲示板に表示されるプラットフォーム番号を待っている。やがて表示が切り替わり、人々が一斉に動き出す。僕もその流れに乗り、指定されたホームへと足を進めた。
そこに待っていたのは、青と黄色のコントラストが鮮やかなSoutheasternの高速列車「ジャベリン」。流線形のスマートなボディが、これから始まる旅への期待感を高めてくれる。

ドアは閉まっている。海外の鉄道ではよくある、ボタンを押して自分でドアを開けるタイプだ。光るボタンを押すと、プシューという音と共にドアが開いた。このワンアクションが、非日常への扉を開くスイッチのように感じられる。

車内に乗り込むと、平日の午前中だからか、席にはかなり余裕があった。窓際の席に腰を下ろし、深く息をつく。ロンドンの喧騒が遠ざかり、静かな時間が流れ始める。ここからマーゲイトまで、約1時間30分の旅だ。
ロンドン〜マーゲイト間の高速鉄道
僕が乗車したSoutheasternの「ジャベリン」は、イギリス国内でも特に速い高速鉄道(High Speed 1)だ。ロンドン市内からケント州の沿岸部までを迅速に結び、従来の列車よりも大幅に所要時間を短縮してくれる。車内は清潔で快適。大きな窓からは、移りゆくイギリスの田園風景を存分に楽しむことができる。旅の時間を有効に使いたい旅行者にとって、これ以上ない選択肢と言えるだろう。
ロンドン〜マーゲイト間の電車の所要時間
St. Pancras駅からマーゲイト駅までの所要時間は、この高速鉄道を利用すると、およそ1時間30分から1時間50分程度。途中の停車駅の数によって多少前後する。車窓を眺めたり、読書をしたり、あるいは僕のように動画を見たりしていると、あっという間に過ぎてしまう時間だ。旅の途中で、車掌さんがチケットの確認にやってくる。購入した切符はすぐに見せられるように準備しておこう。

ロンドン〜マーゲイト間の電車の停車駅
St. Pancras駅からマーゲイトへ向かう高速列車は、いくつかの主要な駅に停車する。例えば、Stratford International、Ebbsfleet International、Ashford Internationalなどだ。路線や時間帯によって停車駅は異なるため、正確な情報は乗車前に電光掲示板や公式サイトで確認するのが確実だ。僕が乗った列車も、いくつかの駅で乗客を乗せ降ろししながら、東へと進んでいった。
ロンドン〜マーゲイト間の電車料金
料金は、購入するタイミングやチケットの種類によって大きく変動する。僕が購入した当日の「Anytime Day Return」は自由度が高い分、料金も比較的高めだ。もし事前に旅行計画が決まっているなら、早めにオンラインで「Advance」チケットを予約すると、かなり割安になることが多い。公式サイトをこまめにチェックすることをお勧めする。大まかな目安としては、往復で30ポンドから80ポンド程度と考えておくと良いだろう。
ロンドン〜マーゲイト間の往復電車チケット
日帰りの場合は、往復チケット(Return Ticket)の購入が断然お得で便利だ。先述の通り、「Anytime」は当日中どの列車にも乗れる柔軟性がある。「Off-Peak」はラッシュアワーを避けた時間帯に限り有効で、料金が安くなる。自分の旅のスタイルに合わせて最適なチケットを選ぶことが、賢い旅のコツだ。僕のように、券売機で「Return」を選べば簡単に購入できる。
ロンドンからマーゲイトまで車での行き方
もちろん、車でのアクセスも可能だ。ロンドンからはM2高速道路を利用して、約2時間ほどのドライブになるだろう。自分のペースで移動でき、途中で他の町に立ち寄れる自由さが魅力だ。しかし、ロンドン市内の運転の難易度や渋滞、そしてマーゲイトでの駐車スペースを探す手間を考えると、特に日帰り旅行では鉄道の利便性に軍配が上がるかもしれない。
ロンドン〜マーゲイト間のバス
最も経済的な選択肢は、長距離バス(Coach)だろう。National Expressなどの会社がロンドンとマーゲイトを結ぶ路線を運行している。所要時間は3時間以上かかることが多いが、料金は鉄道に比べて格段に安い。時間をかけてでもコストを抑えたい学生やバックパッカーには最適な移動手段と言えるだろう。Victoria Coach Stationから出発するのが一般的だ。
マーゲイト到着:潮風とカモメが迎える街、そしてStussyへ
列車が速度を落とし、プラットフォームに滑り込む。窓の外には「Margate」のサイン。ついに着いた。ホームに降り立つと、ロンドンとは明らかに違う、潮の香りが混じった空気が頬を撫でる。
駅舎はこぢんまりとしているが、趣のあるデザインだ。どこかブライトンの駅を彷彿とさせる雰囲気だが、もっとコンパクトで、よりローカルな温かみがある。

クラシックな煉瓦造りの駅舎を抜けると、目の前には海へと続く道が広がっていた。

Stussy Archiveは、駅から海に向かってまっすぐ進み、広場を右に曲がった先にあるはずだ。広場に近づくと、何やら鳴き声が聞こえる。見ると、広場の大きな岩の上に一羽のカモメが鎮座していた。まるで待ち合わせでもしているかのように、あたりを見渡しながら盛んに鳴いている。さすがは海辺の街。この光景に、思わずヘルシンキやブライトンの港を思い出し、少し感傷的な気分になる。

彼らはこの街の主人のようだ。悠然と岩の上に佇む姿は、まるで小さな王様のようだった。

カモメに別れを告げ、海岸沿いの道を歩く。潮風が心地よい。そして、ついにその場所は現れた。歴史を感じさせるオフホワイトの建物の角に、黒を基調としたモダンなファサード。紛れもない、Stüssyのロゴだ。

着いた。St. Pancras駅から約1時間半。時間とお金をかけて、ようやく目的地にたどり着いた。この扉の向こうには、どんな世界が広がっているのだろうか。高鳴る胸を抑え、一歩足を踏み入れる。この続きは、また次回の記事で。
まとめ:ロンドンからマーゲートへの行き方と、旅が教えてくれること
今回のロンドンからマーゲートへの行き方は、Southeasternの高速鉄道を利用するという、最もシンプルで快適なルートだった。St. Pancras駅でのチケット購入から、約1時間半の快適な列車の旅、そしてマーゲイト到着後の短い散策まで、すべてがスムーズで、一つの体験として非常に満足度の高いものだった。この旅は単なる移動ではなく、目的地への期待感を高め、街の空気へと心をチューニングしていくための重要なプロセスなのだと、改めて感じさせられた。さあ、次はいよいよStüssy Archiveの内部へと迫る。乞うご期待。



