ユーロスターでロンドンからパリへ。旅立ちの舞台は壮麗なる駅舎、セント・パンクラス

荘厳な歴史建築と旅の予感が交差する場所、セント・パンクラス駅

ロンドンの朝。歴史が息づくレストラン「Booking Office 1869」での優雅な朝食を終え、重厚な木の扉に手をかけました。扉の向こうに広がる日常を想像しながら、そっと開いたその瞬間、僕は息を呑んだのです。そこは、ありふれた街の風景ではありませんでした。光に満ちた、巨大な空間。鉄骨とガラスが織りなす壮麗なアーチ天井の下、静かに佇む流線形の列車。そう、そこはもう駅のホームだったのです。

暗い木製のドアのガラス窓越しに見える、明るいセント・パンクラス国際駅の構内。アーチ状の高いガラス天井が特徴的。
Booking Office 1869から直接セント・パンクラス駅へ。

予期せぬ光景に、一瞬、時が止まったかのようでした。レストランの扉一枚を隔てて、旅の世界が広がっているとは。こんなにもドラマチックな旅の始まりがあるでしょうか。この驚きこそが、セント・パンクラス国際駅が持つ魅力の序章に過ぎないことを、僕はまだ知りませんでした。 

ユーロスターでロンドンからパリへ:壮麗な玄関口の全貌

目の前に広がるのは、ヴィクトリア朝時代の工学技術の結晶、セント・パンクラス国際駅。そのスケール感と美しさに圧倒されます。ウィリアム・ヘンリー・バーロウが設計した見事な鉄骨とガラスのアーチ屋根、通称「バーロウ・トレイン・シェッド」が、広大なプラットフォーム全体を優雅に覆っています。 

ロンドンのセント・パンクラス駅構内。巨大な鉄骨とガラスのアーチ型天井の下に、広々としたプラットフォームが広がっている。左手には赤レンガの壁と「BOOKING OFFICE」の看板がある。
「Booking Office 1869」から一歩踏み出せば、そこはもうプラットフォーム。
広大な駅の構内。2階の通路から、壮大なアーチ型の鉄骨とガラスの天井を見上げ、階下を行き交う人々や店舗を見下ろしている。
光が降り注ぐ、セント・パンクラス駅の壮大なアーチ天井

ホームに停車しているのは、大陸ヨーロッパへの架け橋、ユーロスターです。この列車に乗れば、ここロンドンからパリへ、そしてブリュッセルへと直接アクセスできるのです。流線形の美しい車体を眺めていると、自然と心が躍ります。いつかここから、パリへの旅を始めたい。そんな想いが胸に込み上げてきました。

旅心をくすぐるメッセージ「I want my time with you」

ふと天井を見上げると、巨大な駅時計の隣で、ピンク色のネオンサインが柔らかな光を放っていました。そこに綴られていたのは「I want my time with you」という言葉。現代アーティスト、トレイシー・エミンの作品です。歴史的な建築の中に佇む、ロマンチックで少し切ない現代アート。これから旅立つ人、誰かを待つ人、それぞれの心に響くこのメッセージは、セント・パンクラス駅を単なる交通拠点ではなく、記憶に残る写真スポットに変えています。

広大な駅の構内。アーチ状のガラス天井の下に「I want my time with you」と書かれたピンクのネオンサインと大きな時計が掛けられている。
ロンドンのセント・パンクラス駅。「I want my time with you」のネオンサインが旅心を誘います。

この言葉は、まるで駅そのものが僕たち旅行者に語りかけているかのよう。「あなたとの時間を大切にしたい」。これから始まる旅の時間、誰かと過ごす時間、あるいは自分自身と向き合う時間。そのすべてを祝福してくれるような、温かいメッセージに感じられました。

「I want my time with you」というメッセージが書かれたピンク色のネオンサインが印象的な、セント・パンクラス駅の鉄骨構造の高い天井を見上げた様子。
トレイシー・エミンのネオンアート「I want my time with you」が輝くセント・パンクラス駅。

セントパンクラス駅の見どころと楽しみ方:ただの駅ではないエンターテイメント空間

セント・パンクラス駅の魅力は、その建築美やユーロスターだけではありません。構内はまるで一つの街のように、ショッピングや食事を楽しめる施設が充実しており、待ち時間さえも特別な体験に変えてくれます。まさにセントパンクラス駅の楽しみ方は無限大です。

便利なショップでロンドンのお土産探し

ホームから階下へ降りてみると、その利便性の高さに再び驚かされました。まず目に飛び込んできたのは「Marks & Spencer Food」。サンドイッチやサラダといった軽食から、飲み物、スナック菓子まで揃っており、移動中の食事やちょっとした買い出しに最適です。ここで美味しいお菓子を見つければ、素敵なロンドン土産にもなります。

セント・パンクラス駅構内にあるM&Sフードの店舗を上階から撮影した写真。天井近くにはクリスマスの飾りが施され、多くの買い物客で賑わっている。
ホテルからすぐ、駅構内のM&Sフードが本当に便利。

そして驚くべきことに、その向かいには英国王室御用達の高級食料品店「Fortnum & Mason」の店舗が。紅茶やジャムなど、質の高いお土産を探すのにこれほど便利な場所はありません。さらに、構内にはフランスのベーカリー「Paul」もあり、焼きたてのパンの香りが漂います。

フォートナム&メイソンの店舗の外観。ガラス張りのファサードの上に白いロゴが掲げられ、店内にはレンガの壁と商品棚が見える。
便利な場所にあるフォートナム&メイソン

子供から大人まで楽しめるおもちゃ屋「Hamleys」も見逃せません。棚には、ロンドン名物のパディントンのぬいぐるみがずらり。赤い帽子と青いダッフルコートをまとった愛らしい姿は、見ているだけで癒されます。赤い二階建てバスや黒いタクシーのミニカーなど、ロンドンらしいお土産も豊富に揃っていました。

おもちゃ屋の棚に、赤い帽子と青いダッフルコートを着たパディントンのぬいぐるみがぎっしりと陳列されている様子。
おもちゃ屋さんの一角が、パディントンでいっぱい!どの子を連れて帰ろうか迷ってしまいます。
おもちゃ屋の棚に、赤い二階建てバスやタクシー、ビッグ・ベンなど、ロンドンをテーマにしたおもちゃがずらりと並んでいる様子。
おもちゃ屋さんで見つけたロンドン名物たち

国際駅としての顔:ユーロスター乗り場と国境の緊張感

ショッピングエリアを抜け、案内に従って歩を進めると、いよいよユーロスターの乗り場が見えてきます。パリ、ブリュッセル、アムステルダムといった都市名が並ぶ電光掲示板が、ここが大陸への玄関口であることを示しています。

ロンドンのセント・パンクラス国際駅にあるユーロスターの出発コンコース。多くの旅行者が案内標識の下を行き交っている。
ユーロスターの乗り場。ここからパリに行けるなんて、すごく便利です。

多くの旅行者で賑わうコンコースを歩いていると、ふと、自動小銃を携えた警備員が二人、静かに巡回しているのが目に入りました。その引き締まった表情と姿は、この華やかな駅が、イギリスと大陸ヨーロッパを隔てる「国境」でもあるという厳然たる事実を突きつけてきます。パスポートコントロールとセキュリティチェックを経て、人々は国境を越えていくのです。この独特の緊張感もまた、国際駅ならではの空気感と言えるでしょう。

ロンドンのセント・パンクラス駅のホームに停車中のユーロスター。ガラスの壁越しに、アーチ型の鉄骨とガラスの天井が見える。
セント・パンクラス駅からパリへ。ユーロスターが待つホーム。

僕は、今日ここからパリへ向かうわけではありません。目的地はイギリス南東部の海辺の街、マーゲイト。Stussy Archiveを訪れるという、全く別の目的がありました。しかし、ユーロスターの乗り場を横目に、国鉄のプラットフォームへ向かう足取りは、どこか名残惜しいものでした。「次回こそは、ここから」。そう心に誓い、壮大なアーチ天井を見上げたのです。

セント・パンクラス国際駅のホームに停車しているユーロスター。ヴィクトリア朝の建築様式である壮大なアーチ型のガラス屋根が印象的。
ユーロスター、カッコイイですね。今度はここからパリに行きたい。
ロンドンのセント・パンクラス駅構内。鉄骨とガラスでできた巨大なアーチ状の天井を見上げた構図で、遠くには駅の時計が見える。
鉄骨とガラスが織りなす壮大なアーチ天井。この開放的な空間から、新しい旅が始まる。

ユーロスターでロンドンからパリへ:旅の準備とQ&A

セント・パンクラス駅からユーロスターでパリへ。その旅を実現するために、多くの人が抱くであろう疑問について、デジタルマーケターであるCityNomixの視点から情報を整理してみました。次の旅の計画に、ぜひ役立ててください。

ユーロスター ロンドンパリ何時間前までに駅に着くべき?

最も気になるのが、チェックインの時間でしょう。ユーロスターは公式サイトで、出発の90分前に駅に到着することを推奨しています。これは、手荷物検査と、イギリスからの出国審査・フランスへの入国審査が駅構内で行われるためです。特に週末やホリデーシーズンは混雑が予想されるため、余裕を持った行動が賢明です。ビジネスクラスの乗客は専用レーンがあり、30分前までで良いとされていますが、初めての場合はやはり早めの到着が安心です。

ユーロスター ロンドン パリ 停車駅は?

ロンドンのセント・パンクラス国際駅からパリの北駅(Gare du Nord)までの直通列車が最も一般的です。この場合、途中の停車駅は基本的にありません。一部の便では、イギリス国内のアシュフォード(Ashford International)やエブスフリート(Ebbsfleet International)に停車することがありますが、ほとんどの旅行者はノンストップの快適な旅を楽しむことができます。約2時間15分から2時間30分の列車の旅です。

ユーロスター ロンドン パリ 時刻表の確認方法

時刻表は、ユーロスターの公式サイトや公式アプリで簡単に確認できます。季節や曜日によって運行本数や発着時間が変動するため、旅行計画を立てる際には必ず最新の情報をチェックしましょう。特に、始発や最終列車の時間は、滞在プランに大きく影響します。早朝に出発してパリで一日を有効活用したり、夜の列車でロンドンに戻ったりと、柔軟な計画が可能です。

ユーロスター ロンドン パリ 入国審査の流れ

セント・パンクラス駅の大きな特徴は、乗車前にイギリスの出国審査とフランスの入国審査の両方が完了することです。まず手荷物検査を受け、次にイギリスの出国審査カウンターへ。その後、すぐにフランスの入国審査カウンターが続きます。パスポートにスタンプが押されれば、手続きは完了。パリ北駅に到着した際には、審査なしでそのまま駅の外へ出ることができます。これは非常にスムーズで、飛行機での移動に比べて大きなメリットと言えるでしょう。

ユーロスター ロンドン パリ 予約のベストタイミング

ユーロスターのチケットは、価格変動制です。一般的に、乗車日が近づくほど価格は高騰します。そのため、予約は早ければ早いほどお得です。公式サイトでは、最大で約6ヶ月前から予約が可能です。旅行の日程が決まったら、すぐにチケットを確保することをおすすめします。特に、人気の時間帯や週末の便は早く満席になる傾向があります。

ユーロスター ロンドン パリ 格安で乗るには?

格安チケットを手に入れるためのコツは、前述の通り「早期予約」が基本です。それに加え、平日の昼間の便など、比較的需要の少ない時間帯を狙うのも一つの手です。また、公式サイトで時折実施されるセールやプロモーションをチェックするのも良いでしょう。往復で予約する方が、片道ずつ購入するよりも割安になるケースが多いです。

ユーロ スター ロンドン パリ 距離はどれくらい?

ロンドンとパリの直線距離は約344kmですが、ユーロスターが走行する線路の総延長は約495kmです。このルートには、ドーバー海峡の地下を走る英仏海峡トンネル(Channel Tunnel)の約50.5kmが含まれています。この海底トンネルを高速で駆け抜ける体験も、ユーロスターの旅の醍醐味の一つです。

ユーロスター ロンドン パリ 往復チケットのメリット

往復でチケットを予約する最大のメリットは、価格面です。多くの場合、片道チケットを2枚購入するよりも合計金額が安く設定されています。また、帰りの便も同時に確保できるため、旅のスケジュールが確定し、安心して滞在を楽しむことができます。ロンドンを拠点にパリへ日帰り旅行、あるいはその逆のプランを立てる際にも、往復チケットは非常に便利です。

まとめ:旅の始まりを最高に演出するセント・パンクラス駅とユーロスター ロンドン パリの魅力

レストランの扉の先に広がっていた、壮大な旅の世界。セント・パンクラス国際駅は、単に列車に乗るための場所ではありませんでした。それは、ヴィクトリア朝の建築美と現代アートが融合し、ショッピングやグルメまで楽しめる、一つの目的地そのものです。そして、そこから始まるユーロスター ロンドン パリの旅は、きっと忘れられない体験になるでしょう。次にロンドンを訪れる時は、必ずここからパリへと旅立ちたい。そう固く心に誓い、僕は本来の目的地へと向かったのです。

St. Pancras International
公式サイト: https://stpancras.com/

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