St. Pancras London, Autograph Collection 宿泊記:歴史と現代が交差する場所
ロンドンの旅において、宿の選択は街との対話の始まりだと、僕はいつも考えている。単に夜を過ごす場所ではなく、その都市の空気感や歴史を肌で感じるための装置のようなものだ。今回、僕が選んだのは、キングス・クロス駅に隣接する壮麗なゴシック様式の建築物、セント・パンクラス駅。その中に静かに佇む「St. Pancras London, Autograph Collection」だ。
Photomoのテーマである「歩いて、撮って、書く」を体現する旅の拠点として、これほどまでに心を揺さぶる場所はそうないだろう。この記事では、僕、CityNomixが実際に体験したこのホテルの魅力を、時にデジタルマーケターとしての分析的な視点を交えつつ、旅人としての素直な感動とともにお届けしたい。歴史的建造物に泊まるという非日常的な体験が、あなたの次の旅のインスピレーションになることを願って。
セントパンクラス ホテルという選択:憧れと現実のはざまで
正直に告白しよう。僕が当初、心の底から泊まりたいと願っていたのは、同じ建物内にある「St Pancras Renaissance Hotel London」だった。その壮麗な階段や、ヴィクトリア朝の豪華絢爛な内装は、多くの映画や物語の舞台となっており、いつかはこの空間に身を置いてみたいと長年夢見ていた。
しかし、現実は厳しい。デジタルマーケターとして日々の数字と向き合う僕にとって、その価格は少々、いや、かなり勇気のいるものだった。旅の予算は限られている。そこでリサーチを重ねる中で、同じ建物内にありながら、もう少し現実的な価格帯で宿泊できる「St. Pancras London, Autograph Collection」の存在を知ったのだ。
マリオットのAutograph Collectionブランドは、それぞれが独自の個性を持つ独立したホテルの集合体。画一的なサービスではなく、その土地ならではの体験を重視する僕のスタイルに合致する。さらに、Marriott Bonvoyのポイントが貯まるという実利的なメリットも、この決断を後押しした。憧れの建物の空気を吸いながら、賢く旅をする。これぞCityNomix流だ、と僕は自分を納得させた。
圧巻のヴィクトリア朝建築:駅であり、ホテルであるということ
ホテルに到着してまず圧倒されるのは、その建築物としての存在感だ。赤レンガの壮大なファサードは、昼の光を浴びて力強く、夜にはライトアップされて幻想的な姿を見せる。

この建物は、単なるホテルではない。ユーロスターが発着する国際駅、セント・パンクラスそのものなのだ。チェックインを済ませ、部屋に向かうまでの道のりで、列車の発着を告げるアナウンスや、旅人たちの喧騒が微かに聞こえてくる。それはまるで、街の鼓動と一体になるような感覚だった。

歴史の重みを感じさせる外観とは裏腹に、ホテル内部はモダンで洗練されたデザイン。しかし、随所にヴィクトリア朝時代の面影が残されており、過去と現在がシームレスに繋がっていることを感じさせてくれる。夜、ホテルの周りを散策すると、その美しさはさらに際立つ。まるで物語の世界に迷い込んだかのような感覚は、ここに泊まる者だけが味わえる特権だろう。

静寂を求めた結果とは?St. Pancras London, Autograph Collectionの客室レビュー
旅先でのホテル選びにおいて、僕が最も重視することの一つが「静けさ」だ。街の喧騒から解放され、思考を巡らせたり、一日の体験を反芻したりする時間は、何物にも代えがたい。そこで今回も、予約時に「静かな部屋を」とリクエストを入れておいた。このささやかな願いが、予想外の体験をもたらすことになるとは、この時の僕はまだ知る由もなかった。
ロンドンでは珍しい広々とした客室:期待以上の空間体験
案内された部屋のドアを開けた瞬間、僕は思わず安堵のため息をついた。ロンドンのホテル、特に中心部のそれは、スーツケースを広げるのも一苦労なほどコンパクトなことが多い。しかし、この部屋は違った。ロンドン 広い部屋を求める旅人にとって、ここはまさにオアシスと言えるだろう。

窓は小さいものの、空間には十分なゆとりがある。簡単なストレッチや運動さえできてしまうほどの広さだ。キングサイズのベッドは旅の疲れを優しく受け止めてくれ、その両脇には無料のミネラルウォーターが置かれている。テラコッタカラーの壁と温かみのある照明が、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

リクエストが招いた長い廊下という名の冒険
「静かな部屋」という僕のリクエストは、見事に叶えられた。案内されたのは、エレベーターから最も遠い、廊下の突き当たりにある部屋。その結果、滞在中は驚くほど静かな時間を過ごすことができた。しかし、それには代償が伴った。部屋とエレベーターホールを結ぶ、どこまでも続くかのような長い、長い廊下だ。

外出するたび、食事に出るたび、僕はこの雰囲気のある廊下を往復することになった。最初は少し面倒に感じたが、数日も経つと、これもまたこのホテルならではの体験だと面白く思えてきた。扇模様のカーペットを踏みしめながら歩く時間は、思考を整理するための瞑想的な時間となり、デジタルな日常から離れるための良いスイッチになった。もしあなたが静寂を求めるなら、この「長い散歩」を覚悟の上でリクエストしてみるのも一興かもしれない。
上質なバスルームとロクシタンのアメニティ
客室の快適さを測る上で、バスルームの質は欠かせない。その点においても、このホテルは僕を満足させてくれた。落ち着いた色合いのタイルと柔らかな照明が印象的な洗面スペースは、非の打ち所がないほど清潔に保たれている。

そして、アメニティがすべてフランスのブランド「ロクシタン」で統一されていたのは嬉しい驚きだった。爽やかなヴァーベナの香りが、バスルームを満たし、一日の疲れを癒してくれる。シャワーは天井からのレインシャワーとハンドシャワーの2種類が完備されており、機能性も十分。トイレもまた、オリーブグリーンとブラウン系のタイルがおしゃれな、清潔感あふれる空間だった。


旅の拠点としての利便性とアクセス
どんなに素晴らしいホテルでも、アクセスが悪ければ旅の質は半減してしまう。特に、複数の都市を巡るような旅では、移動のしやすさが極めて重要だ。その点において、St. Pancras London, Autograph Collectionは、これ以上ないほどの理想的な立地を誇っている。
ユーロスター駅直結という最高のロケーション
このホテルの最大の強みは、何と言ってもユーロスター 駅直結であること。パリやブリュッセル、アムステルダムへと向かう国際列車の乗り場が、文字通り目と鼻の先にあるのだ。重いスーツケースを引きずって駅まで移動する必要がないというだけで、旅のストレスは劇的に軽減される。早朝の列車に乗る際も、時間に追われることなく、余裕を持って準備できるのは大きなアドバンテージだ。
また、隣接するキングス・クロス駅は、ロンドン地下鉄の主要なハブ駅でもある。6つの路線が乗り入れており、ロンドン市内のあらゆる場所へ簡単にアクセスできる。ヒースロー空港からもピカデリー線一本で来られるため、まさにロンドンの玄関口と言えるだろう。
キングスクロス ホテル周辺の魅力と散策のすすめ
キングスクロス ホテルとしての魅力は、交通の便だけにとどまらない。かつては少し荒れたイメージもあったこのエリアだが、近年の再開発によって、お洒落なレストランやショップ、文化施設が集まる注目のスポットへと変貌を遂げた。石炭倉庫をリノベーションした商業施設「コール・ドロップス・ヤード」を散策したり、運河沿いをのんびり歩いたりするのも楽しい。
また、大英図書館や、ハリー・ポッターで有名な「9と3/4番線」のフォトスポットも徒歩圏内。ホテルを拠点に、新しいロンドンのカルチャーを「歩いて、撮って、書く」ことができる。朝食はホテルで取らずとも、駅構内や周辺には魅力的なカフェが無数にあり、選択肢に困ることはなかった。
マリオット ロンドン系列としてのサービスと注意点
マリオット・インターナショナルが展開するマリオット ロンドン系列のホテルとして、一定水準以上のサービスが期待できるのも安心材料だ。スタッフは皆フレンドリーでプロフェッショナル。チェックインからチェックアウトまで、スムーズで心地よい対応だった。
CityNomixが感じたメリットとデメリット
このホテルでの滞在を振り返り、メリットとデメリットを整理してみよう。これは僕自身の体験に基づく主観的な評価だが、あなたのホテル選びの参考になれば幸いだ。
メリット:
- 圧倒的な立地:ユーロスター、地下鉄へのアクセスは完璧。
- 歴史的建造物での滞在:他では味わえない特別な体験価値。
- 広々とした客室:ロンドン中心部では貴重な空間的ゆとり。
- 静かな環境:リクエスト次第で、都会の喧騒を忘れられる。
- マリオットブランドの安心感:安定したサービス品質。
デメリット:
- 部屋までの距離:静かな部屋を求めると、廊下を長く歩く可能性がある。
- 価格:ロンドンの他のホテルと比較すると、決して安価ではない。
- 眺望:僕の部屋の窓は小さく、眺めは期待できなかった。
予約前に知っておきたいこと:Renaissanceとの違いは?
同じ建物内にある「St Pancras Renaissance Hotel」との違いは、多くの人が気になるところだろう。端的に言えば、Renaissanceは建物の歴史的な部分(旧ミッドランド・グランド・ホテル)をより色濃く残しており、豪華な共用部や内装が特徴だ。一方、Autograph Collectionは、よりモダンで機能的な客室を提供する新館部分に位置していることが多い。
どちらが良いというわけではなく、何を求めるかによるだろう。歴史的な豪華絢爛さを体験したいならRenaissance、モダンな快適さと少しでも費用を抑えたいならAutograph Collection、という選択になる。ただ、Autograph Collectionに宿泊していても、Renaissance側の美しいバーやレストランを利用することは可能だ。僕のように、両方の良いところを少しずつ味わう、というのも一つの手かもしれない。
まとめ:St. Pancras London, Autograph Collection 宿泊記で伝えたいこと
今回のSt. Pancras London, Autograph Collection 宿泊記を通じて僕が伝えたかったのは、単なるホテルのスペック情報ではない。歴史的な建築物に身を置き、街の鼓動を感じながら、静かな空間で自分と向き合う。そんな「体験」そのものの価値だ。
憧れのホテルには手が届かなかったけれど、その代わりに得られた発見もあった。長い廊下を歩く時間、ロンドンのホテルでは望めないほどの広い部屋でのくつろぎ、そして何より、旅の拠点として完璧なロケーションがもたらす心の余裕。これらはすべて、僕のロンドン滞在を豊かで密度の濃いものにしてくれた。
もしあなたが、ただ眠るためだけではない、記憶に残る滞在を求めているのなら。そして、ロンドンという都市の歴史と利便性を同時に手に入れたいと願うなら。このホテルは、きっとあなたの期待に応えてくれるだろう。長い廊下の先に、あなただけの静かな発見が待っているかもしれない。
公式サイト:St. Pancras London, Autograph Collection
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