日本橋兜町、新たな風と伝統が交差する街角で
PhotomoのCityNomixです。普段はデジタルマーケティングの喧騒の中に身を置きつつも、週末や仕事の合間を縫っては国内外の街へと足を運びます。そこで見つけるローカルな視点からの発見や、心揺さぶるカルチャーを掬い上げ、記事として発信するのが私のライフワークです。「歩いて、撮って、書く」をテーマに、世界の街角の息吹、デザインの妙、心惹かれるショップ、そして忘れられない食との出会いを、モノトーンでミニマルな雑誌のような世界観でお届けしています。Photomoは、単なる記録ではなく体験を、日常の風景ではなく感覚を伝えることを大切にしています。
今回訪れたのは、東京・日本橋兜町。かつて金融の街として栄えたこの地は、近年「BANK」をはじめとする再開発プロジェクトによって、歴史的建造物とモダンな感性が融合する、新たなカルチャースポットとして注目を集めています。そんな兜町の一角に、食通たちの間で噂のパティスリーがあると聞き、期待に胸を膨らませていました。その名も「Pâtisserie ease(パティスリー イーズ)」。初夏の日差しが眩しい、2025年5月20日の火曜日、午前11時前のことです。この時期にしては汗ばむほどの陽気で、まさに夏を感じる一日でした。

お店の開店は11時。人気店ゆえ、開店前には到着しなくては第一陣でのイートインは難しいだろうと予測し、少し早めに着く計画でした。しかし、実際に到着したのは10時57分。お店の前には列は見当たらず、「やった!」と一瞬胸を撫で下ろしましたが、すぐにお店の角を曲がった向こう側に行列を発見。やはり人気店、そう甘くはありません。それでも列の4番目。これは幸運と言えるでしょう。
洗練された空間と、甘美な誘惑のはじまり
ほどなくして、店員さんが現れ、先頭のお客様から順に店内へと案内が始まりました。「おはようございます」という清々しい挨拶に迎えられ、一歩足を踏み入れると、そこには緑の外壁からは想像もつかない空間が広がっていました。
コンクリート打ちっぱなしの壁面は、モダンでスタイリッシュな印象を与えます。しかし、不思議と冷たさは感じられず、むしろ落ち着いた雰囲気に包まれます。それはきっと、所々にセンス良く配置された観葉植物や、温かみのある木の什器、そして柔らかな照明が、無機質な空間に生命感と調和をもたらしているからでしょう。

甘い香りに誘われて、焼き菓子の森へ
店内に入ってすぐ左手に焼き菓子と自家製シロップ、ジャムが美しく陳列されたコーナーが。個包装されたフィナンシェやマドレーヌ、クッキーなどが木製の棚にずらりと並ぶ。手土産やギフトにも最適なラインナップです。

特に目を引いたのは、艶やかな焼き色のカヌレ(420円)と、チョコレートチップがアクセントのケークショコラ(440円)。どちらも丁寧に作られているのが伝わってきて、思わず手が伸びそうになります。

その隣には、個性的な形をしたアップルパイ(800円)が。一つ一つ丁寧にペーパーで包まれ、リンゴがたっぷり使われているのが見て取れます。そして、焦がしバターとアーモンドの香りがたまらないフィナンシェも。


また、自家製のシロップやジャムも充実しています。レモネードシロップ(2,400円)やジンジャーエールシロップ(1,980円)など洗練されたデザインのボトルギフトにも喜ばれそうです。

「カヌレが僕を呼んでいる…!」そんな心の声が聞こえましたが、ぐっと堪えます。なぜなら、今日の私の最大の目的は、ショーケースに鎮座する生ケーキたちだからです。焼き菓子たちに後ろ髪を引かれつつも、逸る心でケーキのショーケースへと向かいました。
宝石箱のようなケーキショーケース
「イートインでお願いします」と店員さんに伝えると、すぐにメニューを渡されました。その傍ら、視線は自然とショーケースへ。そこはまさに宝石箱。色とりどりのケーキが、キラキラと輝きながら私を誘惑します。
左から、シュー生地とパイ生地を合わせた「シューパイ」。濃厚なカスタードが詰まった「アマゾンカカオシュークリーム」。そして、ひときわ存在感を放つ「チャイカカオのティラミス」。その隣には、みずみずしいシャインマスカットが美しい「タルトミュスカ」。マンゴーとココナッツの「ヴェリーヌ」も。どれもこれも芸術作品のようです。


ショーケースの奥には、定番人気のメロンのショートケーキも確認できました。「ease」のスペシャリテとも言える逸品だそうで、こちらも気になるところです。
至福のイートイン体験:二つの特別なデザートとの出会い
イートイン利用にあたっては、いくつかのルールがあります。席は来店順で予約は不可、ワンドリンク・ワンケーキ制で利用時間は45分。これらの案内は、日本語と英語で分かりやすく記載されていました。

ドリンクメニューとデザートメニューを拝見。コーヒー(640円~)や紅茶(700円~)のほか、自家製レモネード(770円)や抹茶ラテ(700円)など、魅力的なラインナップ。デザートには、カスタードプリン(1,200円)も。

悩んだ末、ドリンクはアイスコーヒーとオリジナルハーブティーを注文。そしてケーキ選びです。店員さんに相談し、今回は夏らしい爽やかな「日向夏のミルフィーユ」と「アマゾンカカオのティラミス」に決定。季節限定の「日向夏のミルフィーユ」はイートイン限定で、価格は2,000円。その繊細な作りがメニュー写真からも伝わってきます。

限られた席で味わう、特別な時間
イートイン席は全部で7席のみ。第一陣で入れたのは本当にラッキーでした。席に着くと、お水とお手拭き、そしてナイフとフォークが丁寧に配膳されます。カウンター越しには、店員さんたちが手際よくデザートを準備している様子が見え、清潔感あふれるキッチンからは、えもいわれぬ甘い香りが漂ってきます。「ここに一日中いられる…」と本気で思いました。
ほどなくして、注文したアイスコーヒーとハーブティーが運ばれてきました。アイスコーヒーは浅煎りで、この暑い夏日にぴったりの爽やかな味わい。一方、オリジナルハーブティーは香りが非常に豊か。シナモンも使われているそうで、ほんのりスパイシーなアクセントが、香りに一層の深みを与えています。
コーヒーとハーブティーをゆっくりと味わいながら待っていると、いよいよお待ちかねのデザートが登場しました。
アマゾンカカオのティラミス:想像を超える衝撃
まずは「アマゾンカカオのティラミス」(980円)。希少価値の高いアマゾンカカオを贅沢に使用し、その芳醇な香りと深みのある味わいを最大限に引き出したという一品です。

見た目は、白いお皿の上にちょこんと乗った、まるで小さな雪のドームのよう。周りはホワイトチョコレートで薄くコーティングされています。スプーンを入れると、中のクリームはとろっとろ。口に運ぶと、まずカカオの豊かな香りが鼻腔をくすぐります。そして、驚くほど爽やかなクリーム。良い意味で、従来のティラミスのイメージを覆す軽やかさです。クリームの中には、アクセントとなるフルーツソースのようなもの(詳細は不明ですが、絶妙な酸味でした)が隠れていて、これがまた全体の味わいを引き締めています。濃厚でありながら後味はすっきり。これは間違いなく、記憶に残るティラミスです。
日向夏のミルフィーユ:初夏の太陽を閉じ込めた芸術品
続いて、「日向夏のミルフィーユ」。こちらは、先ほどのティラミスとは対照的に、夏らしいポップな色合いと存在感を放っています。

サクサクに焼き上げられた黄金色のパイ生地の間には、鮮やかなオレンジ色の日向夏クリームがたっぷりとサンドされています。その上には、これまた日向夏を使用した自家製アイスクリームが鎮座し、さらにその上から艶やかな日向夏ソースがとろり。まさに日向夏尽くしの一皿です。
それだけではありません。別添えで、日向夏の果実を透明なジュレで包んだ小鉢が付いてきました。このジュレがまた個性的で、まるで葛切りのような、ぷるんとした独特の食感。口に入れるとひんやりとして、夏の暑さを忘れさせてくれます。日向夏の果実そのものも、ほんのりとした苦味の奥にしっかりとした甘みがあり、非常にジューシー。

パイ生地の香ばしさとサクサク感、クリームの滑らかさ、アイスの冷たさ、そしてソースとジュレの爽やかな酸味と甘み。これら全てが口の中で見事なハーモニーを奏でます。柑橘の爽快な風味が、ミルフィーユの重さを感じさせず、飽きることなく一気に食べ終えてしまいました。まさに、初夏の太陽を丸ごと閉じ込めたような、素晴らしいデザート体験でした。
心地よい接客と、また訪れたくなる理由
「ease」の魅力は、その素晴らしいスイーツだけではありません。店員さんたちの接客も非常に丁寧で、デザートを選ぶ際のアドバイスも的確。カウンター越しのキッチンも常に清潔に保たれており、安心して食事を楽しむことができました。
ひっきりなしにお客様が来店し、テイクアウトの列も絶えません。ショーケースのケーキだけでなく、焼き菓子やギフトをビジネスシーンの手土産として購入していくスーツ姿の方も見かけました。開店前に焼き菓子を急いでオーダーされていた方もいたので、地元企業からの信頼も厚いのでしょう。ホールケーキも予約可能とのことで、特別な日にはぜひ利用してみたいと思います。
甘いものが大好きな私ですが、この「Pâtisserie ease」は間違いなくリピート決定です。次回は、今回涙をのんだメロンのショートケーキと、評判のカスタードプリンを味わってみたいと、今から心に誓っています。
「ご馳走様でした」と心からの感謝を伝えてお店を後にしました。口の中に残る幸福な余韻とともに、日本橋兜町の街並みが、いつもより少し輝いて見えたのは気のせいでしょうか。
まとめ:日本橋兜町で出会う、記憶に残るスイーツ体験
「Pâtisserie ease」は、洗練された空間で、独創的かつ繊細な絶品スイーツを味わえる、まさに都会のオアシスのような場所でした。特に今回いただいた「日向夏のミルフィーユ」と「アマゾンカカオのティラミス」は、味覚だけでなく、視覚や嗅覚、そして食感に至るまで、五感を刺激する素晴らしい体験をもたらしてくれました。
この感動を、Photomoの読者の皆さんにもぜひ味わっていただきたいです。日本橋兜町を訪れる際には、少し足を伸ばして「ease」の扉を開けてみてください。きっと、忘れられない甘美な思い出ができるはずです。
ちなみに、「ease」から徒歩だと約20分、車なら5分ほどの距離には、以前Photomoでもご紹介した「T-House New Balance」もあります。スタイリッシュな空間で最新のスニーカーカルチャーに触れた後、絶品スイーツで至福のひとときを過ごす、なんていうコースもおすすめです。
訪問するなら平日の朝一番が狙い目!
最後に、これから「Pâtisserie ease」を訪れる方へのおすすめポイントを。言わずと知れた人気店なので、イートインを狙うなら平日の開店前に並ぶのがベストです。イートイン席は7席と限られていますが、45分制なので、少し待てば入れる可能性もあります。テラス席も利用可能なので、気候の良い日にはそちらも良いでしょう。
店舗情報
Pâtisserie ease(パティスリー イーズ)
公式サイト:https://patisserie-ease.com/
所在地:〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町9-1
今回購入したもの:
- 日向夏のミルフィーユ
- アマゾンカカオのティラミス
- アイスコーヒー
- オリジナルハーブティー