フライングホヌとの邂逅。ANAハワイ ビジネスクラスで始まる特別な旅
夏の終わりの気配が漂う8月の午後、僕は成田国際空港の喧騒の中にいた。目的地は、常夏の楽園ハワイ。毎年のように訪れるこの島への旅は、僕にとって日常から解き放たれるための儀式のようなものだ。しかし、今年の旅は少し違う。心なしか、空港へ向かう足取りはいつもより軽く、胸の高鳴りは抑えきれないほどだった。なぜなら、今回のフライトは単なる移動手段ではないからだ。ホノルルまでの空の旅を共にするのは、ANAが誇る世界最大の旅客機、エアバスA380特別塗装機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」。その3号機、サンセットオレンジに輝く「ラー」が、僕を待っているのだ。
デジタルマーケティングという仕事柄、常に数字とロジックの世界に身を置いている僕にとって、旅は感覚を研ぎ澄ますための貴重な時間だ。街を歩き、空気を肌で感じ、ローカルなカルチャーに触れる。Photomoで発信しているのは、そうした体験の断片だ。そして、その体験は、実は空港に一歩足を踏み入れた瞬間から始まっている。特に、ハワイ路線のような夜出発のフライトは、僕にとって最高のプロローグを演出してくれる。

チェックインカウンターのオープンに合わせて空港に到着し、荷物を預ける。身軽になった体で向かうのは、もちろんANAラウンジ。ヨーロッパ便のような午前中のフライトでは、どこか慌ただしくなってしまいがちなラウンジでの時間も、夜便ならばたっぷりと満喫できる。これから始まる約7時間のフライト、そしてその先に待つハワイでの日々に思いを馳せながら、まずは旅の序章を心ゆくまで味わうことにしよう。そう、今日の主役である「ラーちゃん」との対面を前に、まずは地上でのウォーミングアップが必要なのだ。
旅の始まりを彩る空間。ANAハワイ ビジネスクラス搭乗前の成田空港ラウンジ活用術
エスカレーターを上がり、静謐な空気が漂うエリアへ。目の前に現れる「ANA LOUNGE」のサインは、これから始まるリラックスタイムへの招待状だ。スターアライアンスゴールドのロゴが並ぶ看板が、そのステータスを静かに物語っている。

僕がラウンジに入って最初に行う儀式、それはシャワールームの予約状況の確認だ。長距離フライトの前、特にリゾート地へ向かう便の前には、シャワーを浴びて心身ともにリフレッシュすることが不可欠だと考えている。これは譲れない僕なりの流儀だ。ラウンジの受付で状況を確認すると、幸いにも空きがあるようだ。フライト時間を逆算し、搭乗開始の少し前に浴びられるよう、スマートに予約を入れる。混雑している時期は、ラウンジに到着したら真っ先に予約することをお勧めしたい。この一手間が、後の快適さを大きく左右する。
成田空港 ANAラウンジ シャワーの賢い使い方
予約した時間になり、シャワールームへ。グレーのタイルで統一されたモダンで清潔な空間は、旅の前の高揚した気分を一度クールダウンさせてくれる。コンパクトながら機能的にまとめられた設計は、さすが日本の航空会社といったところだ。アメニティも揃っており、手ぶらで利用できるのも嬉しいポイント。

温かいシャワーを浴びながら、これからのフライトプランを頭の中で組み立てる。機内ではまず映画を一本観て、食事を楽しんだらすぐに眠りにつこう。そうすれば、ハワイに到着した瞬間からフルに活動できるはずだ。そんなシミュレーションをする時間は、実に楽しい。さっぱりとした体で着替えを済ませ、再びラウンジの喧騒へと戻る。これで、空の旅への準備は万端だ。
ラウンジグルメの誘惑。カレーとビール、そして〆のうどん
シャワーを終えた僕を待っているのは、もう一つのお楽しみ、ラウンジでの食事だ。正直に言うと、カレーの味だけで言えば、僕はJALのラウンジに軍配を上げる。しかし、ANAのラウンジで食べるカレーにも、また違った魅力があるのだ。それは、これから始まる旅への期待という最高のスパイスが加わるからかもしれない。

そして、カレーの隣には、キンキンに冷えたビールがなくては始まらない。自動で完璧な泡比率のビールを注いでくれるサーバーの前に立ち、グラスをセットする。琥珀色の液体が満たされていくのを眺める時間は、まさに至福のひとときだ。カレーとビールの組み合わせは、もはや説明不要のゴールデンコンビ。スパイシーなカレーを一口、そしてビールで喉を潤す。この瞬間のためにラウンジに来ていると言っても過言ではない。
さらに、日本の航空会社のラウンジならではの楽しみが、麺類だ。特に、海外へ発つ前には、無性に出汁の味が恋しくなる。今日はかき揚げうどんをチョイス。立ち上る湯気と出汁の香りが、日本人としてのDNAを呼び覚ます。つるりとした喉越しのうどんと、出汁を吸ったかき揚げが、旅の前の胃を優しく満たしてくれる。ラーメンも捨てがたいが、今日の気分はうどんで正解だったようだ。

こうして、シャワーと食事で心ゆくまでラウンジを堪能し、時計に目をやる。いよいよ、フライングホヌとの対面の時が近づいてきた。
空飛ぶウミガメの背に乗って。A380「フライングホヌ」ANAハワイ ビジネスクラス搭乗記
ゲートへと向かうと、ガラスの向こうに巨大な機体がその姿を現した。夕陽を思わせる鮮やかなオレンジ色に、愛らしい瞳が描かれた「ラー」。ハワイ語で「太陽」を意味するその名の通り、見ているだけで心が温かくなるような存在感だ。2階建ての巨体は、まさに空飛ぶウミガメ。これからこの背中に乗って、太平洋を越えるのかと思うと、興奮は最高潮に達する。
フライングホヌ 搭乗記:パーソナルな空間が確保されたビジネスクラスの座席
優先搭乗で機内へ。2階席に広がるビジネスクラスのキャビンは、落ち着いたネイビーを基調とした洗練された空間だ。今回僕が指定したのは「8G」。ANAのビジネスクラスのシートは、全席が通路に直接アクセスできるスタッガード配列が特徴だ。隣席との間には仕切りがあり、プライバシーがしっかりと確保されている。特に、窓側と中央の一部シートはペアシートになっており、カップルや家族での利用に最適化されている。僕のような一人旅の場合は、完全に独立したシートを選ぶことで、自分だけの空間を確保できるのが嬉しい。

シートに腰を下ろすと、その機能性の高さに感心する。大型のサイドテーブルには、手持ちの帽子や水を置いてもまだ余裕がある。フルフラットになるシート、大型のモニター、そして複数の収納スペース。細部にまで利用者の快適性が追求されているのが伝わってくる。枕やブランケット、そしてアメニティキットもすでに用意されており、これから始まる快適な空の旅を約束してくれているようだった。
絶品!ANA ビジネスクラス 機内食 和食の全貌
水平飛行に移り、お待ちかねのディナータイム。僕は迷わず和食を選択した。日本の航空会社に乗るからには、その粋を集めた和食を味わいたいというのが僕の持論だ。黒いお盆の上に、美しい器に盛られた料理が次々と運ばれてくる様は、まさに「空の上のレストラン」。

前菜の小鉢には、彩り豊かな季節の味覚が少しずつ。お造りは新鮮で、空の上でこれを味わえるとは、なんとも贅沢な気分だ。メインの煮物も、出汁がしっかりと効いていて、心に染み渡るような優しい味わい。そして、温かいご飯と味噌汁が、旅立つ前の心をほっと和ませてくれる。一つ一つの料理が丁寧に作られており、地上の一流料亭にも引けを取らないクオリティだと感じた。ちなみに、隣の人が頼んでいた洋食のハンバーグも非常に美味しそうだったことを、ここに記しておく。

夜便の真価。フルフラットシートでの快眠と目覚めの朝食
美味しい食事とワインでお腹が満たされたら、夜便の最大のメリットを享受する時間だ。シートをフルフラットにし、備え付けのマットレスを敷く。機内の照明が落とされ、静寂が訪れる。先ほどのヘルシンキへのフライトでは、フライト時間が長すぎて時間を持て余すこともあったが、ハワイ便の約7時間という時間は、食事を楽しんでぐっすり眠るのにちょうど良い。フルフラットシートの寝心地は格別で、僕は気づけば深い眠りに落ちていた。
「お客様、まもなく朝食のお時間ですが、いかがなさいますか」
CAさんの優しい声で目を覚ますと、窓の外はうっすらと明るくなり始めていた。ぐっすり眠れたおかげで、頭は驚くほどすっきりしている。到着前の朝食は、軽めにフルーツとヨーグルトをオーダー。フレッシュなフルーツの甘みと酸味が、眠っていた体を優しく起こしてくれる。プロテインが豊富なOikosのヨーグルトも、ハワイ到着後のアクティブな一日のための良いエネルギー源になるだろう。

ハワイ到着、そして次なる物語へ
あっという間にフライトは終わりを告げ、機体はダニエル・K・イノウエ国際空港へと着陸した。ドアが開いた瞬間に流れ込んでくる、むっとするような湿気を含んだ甘い空気。ああ、ハワイに帰ってきた。この感覚がたまらないのだ。
スムーズに入国審査を終え、タクシーでワイキキへ。今回の滞在先は、シェラトン・ワイキキだ。ホテルに到着すると、目の前に広がるのはワイキキビーチと一体になったかのようなインフィニティプール。この景色を見るたびに、ハワイに来たことを実感する。

フライングホヌ「ラー」に導かれた今回の旅は、最高の滑り出しとなった。次回は、このシェラトン・ワイキキの素晴らしいオハナスイートでの滞在について詳しくレポートしたいと思う。どうぞ、お楽しみに。
【実践情報】ANAハワイ ビジネスクラスの気になるアレコレ
さて、ここからはCityNomixらしく、今回の体験を踏まえて、読者の皆さんが気になるであろう実践的な情報をお届けしたい。
ANA ハワイ ビジネスクラス 料金は?
まず気になるのが料金だろう。ANAのハワイ路線ビジネスクラスの往復料金は、時期や予約タイミングによって大きく変動する。一般的に、閑散期であれば50万円前後から、年末年始や夏休みなどの繁忙期には100万円を超えることも珍しくない。早めに予約する「スーパーバリュー」などの割引運賃を狙うのが賢明だ。また、燃油サーチャージの変動も総額に大きく影響するため、常に最新の情報を公式サイトでチェックすることをお勧めする。
ANA ハワイ ビジネスクラス マイルでの予約は可能?
もちろん、マイルでの特典航空券予約も可能だ。必要マイル数は、シーズン(ロー、レギュラー、ハイ)によって異なり、往復で75,000マイルからとなっている。ただし、ビジネスクラスの特典航空券は非常に人気が高く、予約開始と同時に埋まってしまうことも多い。ANAの上級会員(ダイヤモンド、プラチナ)であれば、一般会員よりも枠が解放されやすいため、ステータスを持っていると有利になる。根気強く空席を探すか、キャンセル待ちを狙うのが現実的だろう。
A380 ハワイ ビジネスの座席選びのコツ
フライングホヌ(A380)のビジネスクラスは、全56席がアッパーデッキ(2階)に配置されている。前述の通り、スタッガード配列のため、どの席からも直接通路に出られるのが魅力だ。一人旅なら奇数番号の窓側席(A, K)か、偶数番号の中央通路側席(D, G)がプライベート感が高くおすすめ。カップルや家族なら、隣同士で会話がしやすい中央のペアシート(E, F)が良いだろう。個人的には、前方の方がエンジンの音が静かで落ち着けると感じた。
ANA ハワイ ビジネスクラス アメニティは何がもらえる?
ビジネスクラスでは、グローブ・トロッター製のポーチに入ったアメニティキットが提供される。中身は、雪肌精のスキンケアセット(化粧水、乳液、クリーム)、リップクリーム、歯ブラシセット、アイマスク、イヤプラグなど。長時間のフライトで乾燥しがちな機内でも快適に過ごせるアイテムが揃っている。このポーチはデザイン性も高く、旅の良い記念になるだろう。
総括:最高の旅の始まりを約束する、ANA ハワイ ビジネスクラス体験
今回のANA ハワイ ビジネスクラスでのフライトは、単なる移動時間を、旅の目的の一つへと昇華させてくれる素晴らしい体験だった。夜出発便のメリットを最大限に活かせる成田空港のANAラウンジでの豊かな時間。愛らしい「フライングホヌ」の特別感。そして、プライベートで快適なシートと、心尽くしの機内食やサービス。これら全てが組み合わさることで、ハワイへの期待感は最高潮に達し、到着後の活動へのエネルギーを十二分に充電することができた。もし、あなたが次のハワイ旅行を計画しているなら、少しだけ奮発して、この空飛ぶウミガメの背に乗ってみてはいかがだろうか。そこには、きっと忘れられない空の旅が待っているはずだ。
ANAラウンジ(成田国際空港 第1ターミナル)
公式サイト: https://www.ana.co.jp/en/ca/serviceinfo/international/inflight/guide/lounge/promotions/nrt.html#nrt01
場所: