ロンドンの心臓部、ソーホー。常に新しいカルチャーが生まれ、多様な人々が行き交うこのエリアは、訪れるたびに新たな発見がある刺激的な街だ。The Resident SOHOに滞在していた私は、その中心に身を置くことで、どこへ行くにも便利な環境を享受していた。周辺には魅力的なレストランが星の数ほど点在し、毎日の食事が冒険そのものだったと言えるだろう。
そんなソーホーでの食の探求の中で、ひときわ強く私の記憶に刻まれたのが「Dean Street Townhouse」だ。この名は、界隈ではレストランとしてだけでなく、ホテルとしても知られている。アフタヌーンティーや夜のバー利用も評判が良いと聞き、いつか訪れたいと思っていた場所だった。
ソーホーの喧騒に佇む、英国クラシックの館へ
The Resident SOHOにはレストランが併設されていないため、朝食は前日に調達するか、外でいただくのが常だった。ある土曜日の朝、ふと「Dean Street Townhouse は朝から営業しているだろうか」と思い立ち、Opentableを覗いてみると、幸運にも席を確保できた。夜に店の前を通りかかった際には賑わいを見せていたので、朝も混雑しているかもしれないと少し身構えていたが、意外にもスムーズに入店できたのは嬉しい誤算だった。
一歩足を踏み入れると、そこはソーホーの賑やかさとは一線を画す、落ち着いた空間。内装は非常にクラシックで、まさに英国の由緒正しいレストランといった趣だ。古き良き時代の息遣いを感じさせる調度品や、壁に飾られた絵画が、洗練された雰囲気を醸し出している。ウェイターの方々の立ち居振る舞いも丁寧で、心地よい緊張感と安心感を与えてくれる。
メニューに記された、ささやかな誠実さ
案内された席でメニューを広げる。伝統的な英国料理をベースにしながらも、現代的な感性が光る料理が並ぶ。ここで目に留まったのは、料理の価格だけでなく、「サービス料がかかる」という一文が丁寧に記載されていること。これは些細なことかもしれないが、店側の誠実さが感じられ、食べる前から好印象を抱いた。
さて、何をいただこうか。「The 朝食」というべき王道のイングリッシュブレックファーストも魅力的だが、その日は少し違う気分だった。メニューを眺めていると、「エッグベネディクト」の文字が目に飛び込んできた。卵料理が食べたい、でもありきたりではない何かを求めていた私の心に、それはすっと収まった。「朝はこういうのでいいんだ、こういうので」と、心の中で小さく頷いた。
期待を鮮やかに裏切る、至福の「Dean Street Townhouse 朝食 ロンドン」体験
オレンジジュースとコーヒーも注文し、待つことしばし。運ばれてきたのは、陽光を浴びて黄金色に輝くような、美しいエッグベネディクトだった。イングリッシュマフィンの上に鎮座するポーチドエッグ、そしてそれを優しく包み込むオランデーズソース。見た目からして、丁寧な仕事ぶりが伺える。
一口で心を掴む、自家製ソースの魔法
「ただのエッグベネディクトだろう」と、どこかで侮っていたのかもしれない。しかし、その一口は、私の浅はかな予想を心地よく裏切った。まず、このソースは何だ。濃厚でありながら、くどさは一切ない。自家製だというオランデーズソースは、バターの芳醇な香りと卵黄のコク、そしておそらくレモンだろうか、爽やかな酸味が見事に調和し、単に「美味しい」だけでは表現しきれない複雑で奥深い味わいを生み出している。
そして、主役であるポーチドエッグ。ナイフを入れれば、とろりと黄身が流れ出す完璧な火加減。マフィンの香ばしさ、ハムの塩気、それら全てが、この魔法のようなソースと一体となり、口の中で至福のハーモニーを奏でる。素材一つひとつが新鮮で、上質なものであることが、舌の上で明確に理解できる一皿だった。間違いなく、このソースが全体の味わいを決定づけるキーポイントであり、最後まで飽きることなく、夢中で食べ終えてしまった。
フレッシュなオレンジジュースでビタミンを補給し、香り高いコーヒーでポリフェノールもチャージ。Dean Street Townhouseでの朝食は、味覚だけでなく、心までも満たしてくれる、実に豊かな時間だった。この満足感を胸に、私はロンドンの街へと繰り出したのだ。
忘れられぬ味を再び求めて：ランチでの再訪という贅沢
あまりにもエッグベネディクトの味が忘れられず、リスボンへの小旅行からロンドンへ戻った後、私は再び「Dean Street Townhouse」の扉を叩いた。今度はランチでの訪問だ。「今日は魚の気分だな」と、メニューからサーモンのグリルを選び、サイドにはフレッシュなグリーンサラダを添えることにした。
パンとバター、脇役までもが主役級
料理を待つ間、「パンはいかがですか？」と尋ねられ、何気なくお願いしたのだが、これが嬉しい誤算第二弾だった。運ばれてきたパンは、想像を遥かに超える大きさ。そして、その味わいがまた格別なのだ。食事そのものが美味しいレストランは、パンやバターといった細部にまでこだわりが行き届いていることが多いが、ここも例外ではない。ふっくらと焼き上げられたパンの小麦の香り、そして添えられたバターの質の高さ。これだけでも十分に満足できそうだ、と思っていたところに、メインのサーモンが運ばれてきた。
皮はパリッ、身はジューシー。サーモングリルの理想形
目の前に置かれたサーモンは、まずその大きさに目を奪われる。そして、フォークとナイフを手に取り、そっと身に触れるだけで、その上質な脂の乗り具合が伝わってくるのだ。期待に胸を膨らませて一口。…旨い。ただ、それしか言葉が出てこない。皮目は香ばしくパリッと焼き上げられ、中の身は驚くほどジューシーで柔らかい。グリル料理は、素材の鮮度と火入れの技術が命だが、この一皿はその両方が完璧なレベルにあることを証明していた。
たっぷりのグリーンサラダも、シンプルなビネガーベースのドレッシングが爽やかで、濃厚なサーモンの風味と素晴らしいコントラストを生み出し、口の中を心地よくリセットしてくれる。このレストランのレベルの高さを再認識し、再び幸せな気持ちに包まれた。2度目の訪問も、期待を裏切らない大満足の体験。Dean Street Townhouseは、ソーホーでレストランを探すなら、間違いなくおすすめできる一軒だと確信した。
Dean Street Townhouseが人々を惹きつける理由
なぜ、これほどまでにDean Street Townhouseの食事が心に残るのだろうか。それは、単に美味しいというだけでなく、細部にまで行き届いたこだわりと、訪れる人をもてなそうという心意気が感じられるからだろう。
確かな素材選びと、それを活かす技術
朝食のエッグベネディクトも、ランチのサーモングリルも、使われている素材の良さが際立っていた。そして、その良さを最大限に引き出す調理技術。派手さはないかもしれないが、基本に忠実で、丁寧な仕事ぶりが料理の隅々から伝わってくる。
心地よいサービスと空間
スタッフの洗練されたサービス、歴史を感じさせるクラシックな内装、そしてソーホーというロケーション。これらが一体となって、Dean Street Townhouseならではの特別な食体験を創り出している。ホテルも併設しているため、レストランだけでなく、ラウンジでのアフタヌーンティーやバーでの一杯も、きっと素晴らしい時間に違いない。
予約のすすめとアクセス
私が訪れた土曜の朝は比較的空いていたが、特に週末のブランチやディナータイムは混み合うことが予想される。Opentableなどのオンライン予約を活用するのが賢明だろう。地下鉄の駅からもアクセスしやすく、ソーホー散策の拠点としても最適だ。
まとめ：ロンドン・ソーホーで見つけた、心を満たす美食体験
Dean Street Townhouseでの2度の食事は、私のロンドン滞在におけるハイライトの一つとなった。特に「Dean Street Townhouse 朝食 ロンドン」で味わったエッグベネディクトの感動は、今でも鮮明に思い出せる。そして、ランチでいただいたサーモングリルの完璧な火加減も忘れがたい。
もしあなたがロンドンを訪れ、ソーホーで思い出に残る食事をしたいと考えているなら、あるいは просто美味しい英国料理を洗練された空間で楽しみたいと思っているなら、Dean Street Townhouseは自信を持っておすすめできる。大切な人との食事にも、自分へのご褒美にも、きっとここは最高の選択肢となるはずだ。
PhotomoのCityNomixとして、これからも自身の足で稼いだリアルな体験を、読者の皆さんの次の旅のヒントになるよう発信していきたい。Dean Street Townhouseは、まさにそんな「伝えるべき価値」に満ちた場所だった。
公式サイト： https://www.sohohouse.com/ja/restaurants/dean-street-townhouse
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